2026年度掲載 seeds-009-0011 - 【関東】 新しい材料の性能を最大限に引き出す、電磁界解析とAIによるモータ・電気機器の形状自動設計
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

仕様や材料が変わっても、最適な電気機器の形状を短期間で設計する

仕様や材料が変わるたびに、機器の形状を一から見直していませんか?

モータは世界の電力消費の4割超を占め、電気自動車、空飛ぶクルマ、空調機器などで一層の高性能化が求められています。レアアースの供給リスクが高まるなか、磁石や電磁鋼板などの新しい材料への切替えが急がれていますが、その性能を引き出すモータや変圧器などの形状を決めるには、多くの時間と試行錯誤が必要です。仕様や材料が変わるたびに形状を見直す必要があり、短期間での開発は困難です。本研究は、電磁界解析と数理最適化、AIを組み合わせ、材料の性能を最大限に引き出す電気機器の形状を短期間で自動設計することを目指します。

USE CASE

最終用途例

電動車から空調、磁気部品まで、電気機器の幅広い製品へ

USE CASE 01電気自動車・ハイブリッド車の駆動モータ

APPLICATION

APPLICATION

少ない磁石で同じ出力を出すモータ

磁石の使用量を抑えながら同じ出力を出せる形状を設計し、材料費とレアアース調達のリスクを低減します。

MARKET

MARKET

電動車の駆動モータの需要

政府は2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%とする目標を掲げており、駆動モータの高性能化と省レアアース化の需要が高まっています。

USE CASE 02空飛ぶクルマ・高速圧縮機のモータ

APPLICATION

APPLICATION

高速回転に耐える軽いモータ

高速回転時の強度を設計段階で考慮し、軽くて壊れにくいモータを実現して、機器の小型化に貢献します。

MARKET

MARKET

軽く、高速で回るモータの需要

空飛ぶクルマやドローン、高速圧縮機では、軽さと高速回転時の強度を両立したモータが求められています。

USE CASE 03データセンター・ビル空調のモータ

APPLICATION

APPLICATION

運転条件全体で効率の高いモータ

実際の運転条件の全体で効率が高くなる形状を設計し、データセンターの冷却などに使われるモータの電力消費を削減します。

MARKET

MARKET

データセンターの冷却需要

世界のデータセンターの電力需要は2030年に2倍以上となる見通し(IEA)で、冷却や空調に使われるモータの効率向上が求められています。

STRENGTHS

強み

最適化で形状を生み出し、電磁界解析に基づくAIで瞬時に評価する

STRENGTHS 01

形状を生み出す:経験を超える性能へ

市販の設計ソフトは寸法の調整が中心ですが、本技術は鉄・磁石・空隙の配置そのものを自由に決め、人が思いつかない形状を生み出します。例として、磁石を約3分の2に減らしたモータで、磁石量当たりのトルク密度が試作機の実測で22%向上しました。

STRENGTHS 02

AIで瞬時に評価:探索は数百時間から数秒に

電磁界解析の結果を学習したAIが、形状を入力するだけで性能を瞬時に予測するため、時間のかかる解析を繰り返さずに形状の良し悪しを判断できます。公開ベンチマークのモータでは、594時間かかった探索を8.6秒に短縮し、設計時間全体も約半分になりました。

STRENGTHS 03

一度の学習を、次の設計にも使い回せる

一度作ったAIの学習データは、目的や運転条件を変えた設計にも再利用できるため、新しい製品の検討を短期間で始められます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

電磁界解析・トポロジー最適化・AIを組み合わせた設計技術

TECHNOLOGY 01

形状そのものを自由に探すトポロジー最適化

トポロジー最適化は、設計する領域に鉄・磁石・空隙をどう配置するかを計算機が自由に決める設計法です。寸法だけを調整する従来の設計と異なり、穴の数や形状まで変えられます。一方で評価する形状の数が膨大になるため、本技術では設計領域を分けて交互に探索し、条件が増えても計算量が増えにくいようにしています。電磁気の設計では試作機で効果を確認済みで、高速回転時の応力もすでに最適化に組み込んでいます。

TECHNOLOGY 02

AIの性能予測で形状の評価を瞬時に

トポロジー最適化では、数万通りの形状を電磁界解析で評価するため、1回の最適化に数百時間を要します。当研究室では、形状を入力するだけで性能を予測する深層学習のAIを最適化に組み込み、有望な形状だけを電磁界解析で確かめることで、解析の回数を大幅に減らしてきました。公開ベンチマークのモータでは、最適形状のトルクと鉄損を電磁界解析と比べた予測誤差を2%未満に抑えています。形状を画像として扱うため、変圧器やリアクトルなどにも同じ枠組みを適用できます。

PRESENTATION

共同研究仮説

次の電気機器の形状を、AIと一緒に見つけませんか?

PRESENTATION 01

少ない磁石で動く駆動モータの共同開発

実測データで設計AIを高精度化

モータ・自動車業界に携わる企業と、製品の要求仕様と実測データを用いて設計AIの精度を高め、少ない磁石で同じ出力を出す駆動モータを共同で開発します。

PRESENTATION 02

高速・高効率モータの設計

強度を含む設計手法の実証

空調・圧縮機・航空機器に携わる企業と、高速回転の条件で求められる強度を設計段階で考慮する手法を実証します。試作評価を通じて、開発期間と試作回数の削減を目指します。

PRESENTATION 03

新材料を生かす機器の形状の提示

材料データを用いた形状探索

磁石・電磁鋼板などの材料開発に携わる企業と、開発中の材料の特性データから性能を最大限に生かすモータや磁気部品の形状を探索・試作し、材料の採用先へ示す性能データを共同で作成します。

LABORATORY

研究設備

解析・AI・試作評価までを学内で一貫して実施

LABORATORY 01

モータ負荷試験装置

試作したモータのトルクや効率を実測する負荷試験装置を備え、AIが設計した形状の性能を実機で確認できます。

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LABORATORY 02

解析・AIの計算環境と研究室

電磁界解析とAIの学習を行う複数の計算機を備え、大規模な形状探索を学内で実行できます。

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RESEARCHER

研究者

佐々木 秀徳法政大学 理工学部 電気電子工学科 准教授
経歴

2018年3月 北海道大学大学院情報科学研究科 修士課程修了。2018年4月~2021年3月 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所。2021年3月 北海道大学大学院情報科学院 博士後期課程修了、博士(工学)。2021年4月 法政大学 理工学部 電気電子工学科、現在 准教授。AIによるモータ特性予測の論文(IEEE論文誌、2019年)は被引用220件超。IEEE CEFC 2026 Best Paper Award、国際コンテスト Novelty部門 アカデミックチーム第1位(2025年)。

  • リサーチマップ

    https://researchmap.jp/h_sasaki

     

  • 専門領域

    電磁界解析
    電気機器設計
    トポロジー最適化
    機械学習
    最適化

  • 共同研究の経験がある企業/業界

    モータメーカー、自動車メーカー、空調機器メーカー、重電メーカーなど5社と、AIや最適化を用いたモータ設計に関する共同研究を実施しています。

研究者からのメッセージ

電磁界解析とAIで、設計の現場で使える技術をつくりたい

世界の電力の4割超はモータが使用しています。そのモータの形状を決める設計には、今も多くの時間と試行錯誤が必要です。近年、AIの技術は急速に進歩していますが、電気機器の設計にそのまま使うには、学習データの準備、物理法則との整合、予測の信頼性など、多くの課題が残っています。当研究室では、電磁界解析とAIを組み合わせ、AIを設計の現場で実際に使える形にする技術の開発に取り組んでいます。私自身、メーカーの研究所で設計に携わった経験があり、実務で使えるかどうかを常に意識して研究を進めています。今後はモータに限らず、変圧器や磁気部品の設計にも広げていきたいと考えています。製品の課題や材料をお持ちの企業の方、設計・解析ツールやICTに携わる企業の方からのご相談をお待ちしています。試作評価まで含めて、一緒に取り組めれば幸いです。