2020年度公募 seeds-0972 - 【関東】 性能評価が多分野にわたる対象にも対応できる高効率な最適設計手法・分析法
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VISION

ビジョン

評価コストが高く,複数指標を考慮しなくてはならない最適設計問題の解決を効率化します

1目的・多目的設計問題解決の効率化ために物理モデルを近似モデルに置き換える手法を活用します

工業製品の開発においては,複数の指標を同時に考える必要があり,それらは相反していることもあります.例えば,機械性能を上げたいが,小売り価格は上げたくない,言った設計要求は開発者にとって日常的な問題となっています.加えて,機械性能などの評価にコストがかかるケースでは,試作やシミュレーション工数の削減が実用的な回数や時間に限られています.
実世界の設計問題解決のため,「物理モデルに替わる近似モデルを用いた評価コストの低減」と「近似モデルを利用した1目的・多目的両方に対応した遂次サンプリング」に関する技術を組み合わせた高効率大域的多目的最適化法の研究を進めています.

新製品の設計・開発,スケジューリングなど多くの最適化問題を効率的に解決,開発サイクル短縮に貢献します

研究と実応用を進めております本手法の特徴は,1つだけでなく,複数の性能評価に基づき実用的な設計が効率的にできることです.サンプリングベースの手法であることから,有り得る設計解を見落とさずに発見することが期待でき,これらのサンプルの傾向を分析することによって,製品の設計に関する知識を蓄積することができます.
革新的な新製品の市場投入に加え,知識の蓄積は研究開発の場では必須であると考えています.この技術は航空宇宙工学など多くの工学問題に適用され,良好な結果を残しています.

USE CASE

最終用途例

任意の性能評価法に基づく多分野融合設計

USE CASE 01シミュレーションに基づく複数の性能指標に基づく最適設計問題を効率的に解決

APPLICATION

APPLICATION

超音速翼の低抵抗化・低騒音化・低重量化問題への適用

超音速機主翼の設計においては,燃費向上のための低抵抗化,低重量化に加え,衝撃波に起因する騒音を低減する必要があります.本事例ではこの3目的の設計問題を解き,目的関数とパラメータの関係を定量化しました.

USE CASE 02シミュレーション技法が確立されていない分野においても実験により評価値を取得することで適用可能です.

APPLICATION

APPLICATION

空力制御デバイスの作動条件の最適化

逐次的にサンプルを取得していく手法であることを生かし,最適性の指標を実験で得つつ,進めることもできます.本事例では,実験により評価値を取得し,プラズマアクチュエータによる流れ最適化を行ったものです.

STRENGTHS

強み

少ないサンプル評価で製品設計・検討期間を短縮し,技術革新に必須な設計情報を俯瞰的に取得できます

STRENGTHS 01

近似モデルを用いて必要な情報を得るための評価工数を削減します

最適解にたどり着くための評価工数(シミュレーション,実験)を削減しつつ,設計問題全体の傾向を知識化できる点が強みです.類似の手法として進化計算がありますが,それと比べると必要な評価数は1/100程度です.また,近似関数を分析する手法により,パラメータと機械性能との相関を導出できます.

TECHNOLOGY

テクノロジー

Kriging法による近似モデル上で取得する「改善期待値」から,最良点となり得る設計点を取得する

TECHNOLOGY 01

1目的問題に加えて,多目的問題や制約付き問題にも対応します

本最適設計法ではKriging法を用います.この手法では,まずパラメータの数に応じた回数,物理モデルでのシミュレーションや実験を行います.そのパラメータと評価値のセットから近似関数を目的関数分作り,多目的の改善期待値と制約満足度の積が最大となるパラメータの組み合わせを求めます.
近似モデルにはサンプル点の分布により不確実さがありますが,この手法ではそれを斟酌した改善期待量を求めることで,最適解の探索と近似モデルの精度向上を図ります.
追加サンプル点を取得したのちに,そのデータセットから有望な設計を抽出するほか,近似モデルを分散解析などによる分析から,パラメータ寄与度などの知識を得ます.

PRESENTATION

共同研究仮説

製品性能の向上のためにどのようにパラメータを与えるべきか,指針を取得します

共同研究仮説01

革新的新製品の投入,新概念の開発に向けた研究の力になります

既に確立した評価法に基づいて最適設計を進めることができます

乗用車の構造最適設計を行う共同研究を仮定します.その際,構造のシミュレーション技法,または実験手法を共同研究先が持つ場合,評価パラメータを当方が定義して先方に送信,評価いただいた値を当方に送り返していただくループを数回繰り返します.

RESEARCHER

研究者

金崎 雅博 東京都立大学システムデザイン学部航空宇宙システム工学科
経歴

現東京都立大学教授(2020-),JAXA客員研究員兼任(2016-).東北大学にて2004年に学位取得,その後,JAXA客員研究員(2004-2008),首都大学東京准教授(2008-2020).進化計算による空力設計を学んだのち,近似モデルによる最適設計を主な専門としています.
JAXAや自動車メーカー,その他国内の大学との共同研究実績があります.JAXAとの共同研究では,超音速航空機の空力騒音最適設計,火星探査航空機やハイブリッドロケットのシステム設計などの実績があります.
兼任先であるJAXAでは,進化計算と近似モデルを選択できる最適設計ツールセットHarmoneeの開発にあたっています.

過去の論文業績として,乗用車用配管の複雑形状に対する形状定義と進化計算による最適設計や旅客機空力デバイスの配置最適化があり,それぞれで関連の学会賞(平成19年度自動車工業会若手奨励賞,平成21年度日本航空宇宙学会奨励賞)を頂いています.

研究者からのメッセージ

本最適設計法は高効率かつ汎用性がありますので,企業さんと連携して製品の革新をお手伝いしたく思います

私が研究を進める手法は,高効率であるだけでなく,汎用性が高い手法です.従いまして,最適設計やそれに向けた分析を指向する研究に組み入れることができれば大いに役立つものと思います.実際に,当研究室に所属する学生も,それぞれの研究対象についてこの手法を活用し,成果を挙げています.私の出身が航空宇宙ですので,それらの事例は多くありますが,それ以外の事例にも取り組みたいと考えています.
本手法の特徴として最適解探索の効率性がありますが,それ以外にも広く有り得る設計解を収集できる点も特徴です.それらの設計解(サンプル)に基づいた分析により,「なぜその製品の性能が良いのか」と言う知見を得ることもできます.こうした知見は,その分野内での開発を優位に進めることができるものであり,知見を得つつ最適設計を行うことは有益であると考えています.