半導体式ガスセンサの高感度化・省電力・小型化による新たなガスセンシング
半導体式ガスセンサの高感度・高選択性・省電力・小型化が可能になると、呼気や皮膚ガスから日々の健康管理やガンの診断が可能になります。また、住宅や工場、農場などの大気成分や、食品や農産物の化学物質のモニタリングが可能となり、安心安全な暮らしの実現、工業製品や農作物の生産効率の向上、フードロスの削減などが期待されます。
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ビジョン
半導体式ガスセンサの高感度・高選択性・省電力・小型化が可能になると、呼気や皮膚ガスから日々の健康管理やガンの診断が可能になります。また、住宅や工場、農場などの大気成分や、食品や農産物の化学物質のモニタリングが可能となり、安心安全な暮らしの実現、工業製品や農作物の生産効率の向上、フードロスの削減などが期待されます。
最終用途例
APPLICATION
呼気や皮膚ガスに含まれるガス成分と、ガンや生活病には相関があることが分かっています。ガスセンサの小型化や高感度化により手軽にスクリーニング検査が可能になれば、早期診断や再発防止が可能になります。
APPLICATION
製造現場では、わずかな不純物の混入によって製品の質が変わります。また、農場では二酸化炭素等のガス濃度により生産効率が変化します。これらの微量ガスをモニタリングすることで、生産効率の向上が期待されます。
APPLICATION
水素社会の実現には水素ステーションや燃料電池の普及が必要不可欠です。それと同時に、水素ガスの漏洩を管理する必要があります。高感度ガスセンサにより厳しい管理規制への対応が可能になります。
強み
従来技術では貴金属や他材料と複合化することでガスセンサの高感度化が進められています。本技術では半導体にナノ構造を導入するだけで、pptオーダーまで感度を増大させることが可能で、小型化、省電力化、低コスト化が期待できます。
テクノロジー
ガスセンサの超高感度化を実現したウニ状のナノ階層構造体は、シュウ酸塩と水だけで合成が可能です。また、従来法では、ナノ粒子の合成・洗浄・分散・集積と複数のプロセスが必要でしたが、本技術では、反応溶液に別の材料を浸漬させておくと、合成と同時に材料表面に集積させることが可能で、環境負荷の低減、低コスト化が期待できます。
従来の半導体式ガスセンサの多くは、ppmからppbオーダーの検出感度でした。また、多湿環境では感度が低下してしまいます。本技術では、ウニ状の酸化ニオブ構造体を導入することで、アセトンガスに対して乾燥雰囲気でpptオーダー、湿潤雰囲気でもppbオーダーの検出感度を実現しました。また、水素等のガスにおいてもppbオーダーの検出感度を達成しています。
共同研究仮説
ナノ階層構造を導入したガスセンサの開発
本技術では、センサ素子や基板上にナノ階層構造を直接析出させる技術の構築を目指しています。高感度ガスセンサの素子作製、デバイス化、MEMS型センサ開発にご興味のある企業の方と一緒に、企業における生産の観点を取り入れつつ、新しいガスセンサの開発に挑戦したいと考えています。
食品、工場、住宅などで極微小なガスを検出
本技術では、すでにpptからppbオーダーの感度を持つガスセンサを開発しています。社会実装には、実証試験を行う必要があります。食品の鮮度や安全チェック、製造現場での化学物質や不純物ガスの管理、住宅におけるストレスガスの確認など、実環境におけるセンシングにご協力いただける企業の方を探しています。
金属酸化物などのナノ構造体の合成・析出
ナノ材料の液相プロセスは、導入の難しさから生産プロセスに至るケースが多くありません。本技術では、高い反応性と安定性を両立したナノ構造体を、比較的低エネルギー、低環境負荷で合成することができます。ガスセンサ以外でも、液相プロセスの実装にご協力いただける企業の方を探しています。
研究者
■経歴
2013.9 東京工業大学総合理工学研究科物質科学創造専攻 博士(工学)
2014.4-2015.3 スタンフォード大学 客員研究員(日本学術振興会特別研究員)
■代表論文
“Acetone gas sensor based on Nb2O5@SnO2 hybrid structure with high selectivity and ppt-level sensitivity”, Sensors and Actuators B: Chemical
https://doi.org/10.1016/j.snb.2023.134144
■受賞
日本セラミックス協会 第77回協会賞「進歩賞」(2023年)
■経歴
2017.3 大阪大学大学院工学研究科応用科学専攻 博士(工学)
2017.4-2021.3 産業技術総合研究所 産総研特別研究員
2021.4-現在 産業技術総合研究所 研究員
■受賞
日本化学会東海支部 奨励賞(2021年)
産総研 領域長賞「論文賞」(2022年)
知財図鑑 知財番付<小結>(2022年)
永井科学技術財団 第40回 奨励賞(2023年)