2021年度公募 seeds-1178 - 【近畿】 永久磁石と磁気センサを用いた新規非破壊鉄筋計測システムの創出
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VISION

ビジョン

国内外のインフラ整備需要の急速な拡大に対応した安価で高精度な新しい検査技術の普及を目指して

国内における社会インフラの老朽化問題と海外の旺盛なインフラ整備需要

1960 年代の高度成長期に建設されたインフラや建屋などの鉄筋コンクリート構造物の経年劣化が進んでおり、状況の把握やメンテナンスが求められているということは言を俟ちません。インフラの予防保全の推進や老朽化建屋のリノベーション工事を進めることは、取り壊しと新規建設に要する経費を不要とし、高い経済効果をもたらします。このような場面では、点検や診断、補修などを効率的に、正確に行う必要性がますます高まっています。

また、新興国を中心とした世界のインフラ需要は膨大であり、経済協力開発機構では2030年までに年平均約6.3兆ドルと試算されています。そのような中、開発したインフラの点検・整備の必要性は世界的に見ても重要性を増していることは明らかです。

一般社団法人建設コンサルタンツ協会令和3年度建設コンサルタント白書(2-5海外事業環境)」

永久磁石法によるコンクリート埋設鉄筋の迅速かつより高精度な非破壊検査の実現へ

本研究開発は、新たな原理(永久磁石法)に基づく鉄筋検査法をシステム化し、鉄筋の位置・径・かぶり厚さを推定できるハンディでコンパクトなセンサシステムから、2 次元スキャンによる正確な配筋状況の把握や破断や腐食などの健全状況の診断が非破壊で可能なシステムまでを構築するものです。

将来的には、当該システムを鉄筋計測の新たなスタンダードとして世の中に広く普及し、より精度の高い、迅速な検査を可能とするサービスを国内外のインフラ整備需要の急速な拡大に対応して提供していきたいと考えています。

USE CASE

最終用途例

道路、鉄道、橋梁等のインフラやビル、マンションなどの建物など、多様な鉄筋コンクリート構造物を対象とした幅広い用途で活用

USE CASE 01ハンディセンサによるあらゆる鉄筋コンクリートの簡易的な検査への活用

APPLICATION

APPLICATION

手軽に高感度検査

老朽化した建造物等の構造探査において、持ち運び容易なハンディセンサで探査深度0-200mmの範囲にある鉄筋の位置や、鉄筋径を把握でき、大型の検査機器が持ち込めない箇所でも手軽に高感度な検査を行うことができます。

USE CASE 02二次元スキャンによる鉄筋コンクリート内部の可視化や破断・腐食状況を推計する本格的な検査への活用

APPLICATION

APPLICATION

内部の可視化や破断・腐食状況を推計

塀や広いコンクリート壁、鉄道インフラなどのの検査においては、二次元スキャンによる鉄筋コンクリート内部の配筋状況の可視化及び鉄筋の破断や腐食状況を推計する本格的な検査を、自動測定ロボットを活用して迅速かつ人の負担を最小限に実現することが期待できます。

STRENGTHS

強み

シンプルな原理で既存の非破壊検査手法に比べ安価で高精度な検査が可能に

STRENGTHS 01

既存の非破壊検査手法の欠点を補う機能性の高さで高精度な診断

本事業で採用している「永久磁石法」はこれまでにない手法で非常にシンプルな原理にも関わらず、電磁誘導法より探査深度が大きく、電磁波レーダ法では感知することのできない鉄筋径も推定可能であるという感度の良さを持ちます。また、コンクリートの状態にも左右されず鉄筋のみを狙って探査することができ、破断診断も可能です。腐食箇所も診断可能と考えています。

STRENGTHS 02

シンプルな原理で安価な機器製造が可能なため調査コストの低減に寄与

永久磁石と汎用的な磁気センサを用いたシンプルな仕組みのため既存の検査機器に比べ安価に製造が可能な予定です。ハンディセンサシステムについては製造材料費を10万円以下に抑えることを目標としており、販売価格も同程度の機能性を持つ競合品より安価に設定できる可能性が高く、詳細検査の事前調査のコスト削減に貢献できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

永久磁石の特性を活用したシンプルな原理を利用した汎用性の高いセンサシステムの開発

TECHNOLOGY 01

永久磁石と磁気センサ(ホールセンサ)を用いた非破壊検査の新原理「永久磁石法」

永久磁石の上下対称な磁力線に鉄筋が近づくと、鉄筋が磁力線を吸い込むため、磁力線の対称性が破れる。上下対称位置に磁気センサを対配備すると、この磁界の対称性の破れが差動増幅検出され、高感度な鉄筋検出が可能となります。これにより電磁誘導法や電磁波レーダ法で検出されてしまう非磁性金属や空洞などは検出せず、原理上鉄筋のみの検出が可能となっています。

TECHNOLOGY 02

高感度なハンディセンサシステム

永久磁石法を用いた300 mm/10秒以上の速度でのラインスキャンにより、探査深度200 mmまでの埋設鉄筋パラメータ(かぶり厚さ、太さ、位置)を推定可能な、製造材料費10万円以下の無線ハンディセンサシステムの開発を進めています。

PRESENTATION

共同研究仮説

シンプルな構造、鉄筋のみを狙って見つけ出す優れものです

共同研究仮説01

電磁波レーダーや電磁誘導法でお困りのことはないでしょうか

お使いの鉄筋探査機でお困りのことはないでしょうか。本研究で開発している探査機は、コンクリートの状態や空洞・湿潤状態に左右されず、非磁性金属にも左右されず、鉄筋のみを狙って見つけ出します。ぜひ一度お使いいただけないでしょうか。お気軽にお声がけいただけましたら幸いです。お役に立てることがありましたら、ご一緒に開発を進めさせていただけましたら幸いです。

共同研究仮説02

用途に応じた設計が容易です

無線ハンディタイプ、壁面スキャンタイプを製作完了しております。センサモジュール部の部材の費用を安く抑えることができ、構造もシンプルですので、用途に応じて様々なタイプのシステムを容易に設計できます。機器の共同開発や、販売にご興味がある皆様のお声がけをお待ちしております。

RESEARCHER

研究者

千葉 大地 大阪大学・産業科学研究所 教授
経歴
2004~2008 JST ERATO研究員

2008~2013 京都大学科学研究所 特定助教・助教・准教授

2013~2019 東京大学工学系研究科・物理工学専攻 准教授

2019~現在 大阪大学産業科学研究所 教授

【受賞歴】

2017年 日本学術振興会 第13回日本学術振興会賞

2017年 文部科学省 科学技術への顕著な貢献2017 ナイスステップな研究員

2020年 文部科学省 令和2年度文部科学大臣表彰 科学技術省・研究部門

2021年 第39回大阪科学賞

研究者からのメッセージ

ナノの世界の計測技術をインフラモニタリングへ

ナノテク、マテリアルサイエンスをバックグラウンドに研究活動を進めてまいりました。まさか鉄筋探査機を開発することになるとは思っていませんでしたが、これまでの磁気や計測の知識と経験を活かして取り組みたいと考えています。