2022年度公募 seeds-2535 - 【近畿】 ポストシリコン半導体材料として期待される原子層半導体への新規ドーピング技術
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VISION

ビジョン

半導体の微細化・省エネ化の両立により近未来の高度デジタル社会実現へ貢献

低消費電力原子層半導体デバイスがもたらす微細化と省エネ化の両立

現在のシリコンベースの半導体テクノロジーでは、数nmのスケールまで微細化を進めると電流が流れにくくなったり、その制御が難しくなるといった問題が生じてきます。この困難を解決できる材料として注目されているのが原子数層の厚みしかない「原子層半導体」と呼ばれる材料です。しかし、従来技術では、電流制御に必要なキャリアドーピングを行う際に、電流の通り道であるチャネルにその流れを妨げる不純物や欠陥が導入されてしまうことが問題となっています。そこで、本研究では、基板分極とのリモート相互作用を利用するという新しいアプローチでこの困難を解決し、半導体デバイスの省エネ化と微細化を両立させることを目指します。

USE CASE

最終用途例

超低消費電力微細半導体デバイス

USE CASE 01超低消費電力微細半導体デバイスで近未来のデジタル社会の進歩に貢献

APPLICATION

APPLICATION

サブnm半導体プロセスのチャネル材料

ロジック半導体やメモリ半導体で2030年代に到来が予想されるサブnmプロセスのチャネルや高速応答光デバイスの受光部として利用可能。

STRENGTHS

強み

チャネル層に散乱因子を含まないキャリアドーピング技術

STRENGTHS 01

基板分極を利用することで、散乱因子導入のないドーピングを実現

チャネル層へのドーピング。基板分極の効果により原子層半導体へのキャリアドーピングが可能であることを示す結果を得ており、応用物理学会で発表している(https://doi.org/10.11470/jsapmeeting.2020.1.0_3448)

TECHNOLOGY

テクノロジー

極性半導体基板を用いた原子層半導体へのリモートドーピング

TECHNOLOGY 01

チャネル層をクリーンに保つドーピング技術

窒化物半導体上のMoS2やWSe2対し、その自発分極を利用してキャリアドーピングが可能であることを示した。それに伴う光学スペクトルの変化、バレー分極の制御、表面ポテンシャル変調を観測しており、これらの現象が基板分極の向きによって大きく変化することを見だしている。これらの成果について国際学会で5回、国内学会で4回発表を行った。論文は現在執筆中である。表彰などの実績はない。

PRESENTATION

共同研究仮説

平坦な分極反転基板作製方法の確立や圧電ゲートの開発

共同研究仮説01

pn接合実現へ向けた、平坦な分極反転構造基板の作製

半導体ウェハ―メーカーと平坦な分極反転構造基板作製技術を開発

半導体ウェハメーカーと、極性半導体や強誘電体を用いた「原子層レベルで平坦な分極反転構造を有する基板開発」を行う。この技術により、p型、n型を同じ基板上に連続的に作製できるようになるため、CMOSなどのpn接合型デバイスとしての利用が可能となり、用途が大きく広がる。

共同研究仮説02

極性基板の分極を制御する圧電ゲートの開発

極性基板の分極制御圧電ゲートを開発し、キャリア量を制御

圧電素子の開発経験のある企業と、極性基板材料に圧力を印加して分極を制御する技術を開発する。分極を制御することで、キャリア量の制御が可能になり、デバイスの制御性が向上する。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

毛利真一郎 立命館大学 理工学部 
電気電子工学科(准教授)

経歴

■経歴

2021年4月-立命館大学理工学部 准教授
2016年4月 – 2021年3月立命館大学 理工学部 助教 (助教)
2011年4月 – 2016年3月京都大学 エネルギー理工学研究所 研究員・ポスドク (研究員)
2009年3月 – 2011年3月千葉大学 先進科学センター 助教

(特任助教(2009年3月31日までは特任研究員))
2008年4月 – 2009年2月京都大学 物質細胞統合拠点 研究員
2008年4月 – 2009年2月京都大学 研究員・ポスドク

(物質細胞統合拠点研究員)京都大学 理学博士(2009年3月)

■代表論文
“Tunable Photoluminescence of Monolayer MoS2 via Chemical Doping “,Shinichiro Mouri, Yuhei Miyauchi, Kazunari Matsuda Nano Lett. 13(12) 5944, (2013).

■URL

https://researchmap.jp/iguchan2003
https://www.genshiso.com

研究者からのメッセージ

微細化で後れを取る日本の半導体産業を何とかしたいという思いで考えたテーマです。

周辺技術は一流だと思いますが、日本の半導体技術が生き残るには、「次世代」技術でイニシアティブを握ることが欠かせないと思います。原子層半導体は、高いナノ材料研究の蓄積がある我が国と親和性の高い材料ですが、今のところ外国勢に後れを取っている部分も多く、巻き返しに向けて思い切った投資が必要な分野です。私自身、まだまだ未熟な点も多いですが、半導体材料分野の優れた技術を持つ企業の方の協力を得ることで、何とかこの分野で世界の頂点を目指したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。