2020年度公募 seeds-0250 - 【東北】 レーザー加工機の製造コスト低減を見据えた、磁気による2次元光制御を適用したハイパワーレーザーの開発
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

レーザー加工機の製造コストを低減させる技術開発により、日本のハイパワーレーザー開発を後押しする

磁気を利用した新しい原理に基づく高出力のQスイッチレーザーの開発

レーザー加工とは、ハイパワーで照射したレーザーの照射面を制御し熱エネルギーによって加工する手法です。
本研究では、磁気光学効果という、磁場をかけた物質の透過光や反射光の偏光状態が変化する現象を活用し、レーザーを制御します。この制御手法は、原理的に、集積化が可能な唯一のQスイッチ(発振を制御し高出力パルスを得る手法)素子であると考えられており、ハイパワーレーザーの小型化や量産化による製造コスト低減が期待されています。
また、磁気光学を使ったQスイッチレーザーの開発には、本研究の研究者グループが世界で初めて実現し、関連特許も取得しています。

磁気による制御を可能としたレーザーの製品化により日本のハイパワーレーザー開発を後押しする

レーザー加工等の産業機で使用できる高出力で安定な固体レーザーは、現在は海外メーカーのものが主力であり、日本勢の挽回が期待されています。この状況を打破するために、新原理の磁気で制御するレーザーの製品化を目指しています。

USE CASE

最終用途例

量産に向いた加工用ハイパワーレーザー

USE CASE 01ハイパワーレーザーによる高効率加工とレーザーの製造コスト低減の両立

APPLICATION

APPLICATION

スピン制御Q スイッチレーザーによる高効率加工

レーザー光の照射面をスピン制御Qスイッチで任意に制御することにより、一度の照射で幅広い面を加工すること出来るため、短時間で広範囲の加工が可能になります。

MARKET

MARKET

ハイパワーレーザーの製造コスト削減を狙う

本光制御装置は、膜の積層により製造することを想定しています。従来の組み立て式と比較し、大量生産に向いた構造であり、製造コストを低減することが出来ると期待されています。

STRENGTHS

強み

従来不可能であったハイパワー対応できる2次元の光制御

STRENGTHS 01

新しい原理に基づくハイパワー対応した2次元の光制御

レーザー加工を効率化するためには、一度の照射で幅広い面を加工することが求められています。
しかし、従来技術では、熱や光電効果による影響から実現が困難でした。本技術は、磁気の制御といった新しい原理に基づく制御手法を用いることで、従来の問題点を克服し、ハイパワー対応できる2次元光制御を実現します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

磁気を活用した光制御

TECHNOLOGY 01

スピン制御Qスイッチ

磁気光学効果(磁場をかけた物質の透過光や反射光の偏光状態が変化する現象)を活用し、レーザーの光路を任意に形成することが可能とすることで、2次元的にレーザーの照射面を制御します。また、磁気光学を使ったQスイッチレーザーの開発には、本研究の研究者グループが世界で初めて実現し、関連特許も取得しています。
従来技術の問題点は、「微細化により熱が無視できないこと」「配線が作る光の散乱・吸収・歪みによる影響」「光電効果により制御できないこと」でした。本技術は、微弱な磁界で制御可能であるため熱がほとんど発生せず、加えて、絶縁体を用いるため光電効果が発生しないため、上記の問題点を解決できると期待されています。

PRESENTATION

共同研究仮説

スピン制御Qスイッチを用いたハイパワーレーザーの実用化

共同研究仮説01

企業の開発仕様に合わせたデバイス開発

スピン制御レーザーを集積化し、実証

原理的に可能とされているが、実際に集積化して見せた研究はまだ行われていません。そこでまずは、スピン制御レーザーを集積化し、実証を進めます。
その中で、波長やパルス幅、繰り返し周波数など、応用先によって要件や使用すべき材料が変わるため、企業様の開発仕様に合わせてデバイス開発を進めたいと考えています。

LABORATORY

研究設備

磁気光学・高周波磁気に特化した研究室

LABORATORY 01

材料作製からデバイス・システム構築まで一気に可能

磁性材料を成膜できるスパッタ装置、マイクロプロセスが可能なクリーンルーム、光学系(デバイス作製・評価系)、シミュレーション環境があります。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

後藤太一 東北大学 電気通信研究所
経歴

2009年4月 – 2011年9月日本学術振興会 特別研究員 DC1
2011年10月 – 2012年3月日本学術振興会 特別研究員 PD
2011年12月 – 2013年7月マサチューセッツ工科大学 材料科学工学科 博士研究員
2012年4月 – 2013年7月日本学術振興会 海外特別研究員
2013年8月 – 2022年3月豊橋技術科学大学 工学(系)研究科(研究院) 助教
2014年4月 – 2017年3月豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所 助教(兼務)
2015年10月 – 2019年3月国立研究開発法人 科学技術振興機構 さきがけ 研究員(兼務)
2016年11月 – 2020年12月現在マサチューセッツ工科大学 材料科学工学科 客員研究員(兼務)
2022年4月 – 2022年9月豊橋技術科学大学、電気・電子情報工学系、非常勤講師
2022年4月 – 現在東北大学、電気通信研究所、准教授
2022年6月 – 現在東北大学、学際科学フロンティア研究所、TI-FRISフェロー (称号)
2022年7月 – 現在東北大学、ディスティングイッシュトリサーチャー (称号)
2022年10月 – 現在東北大学、工学部、准教授 (兼務)

受賞
2016年9月一般社団法人 電気学会 優秀論文発表賞 磁性ガーネットを用いたレーストラック型オンチップ光アイソレータの開発
2017年3月公益社団法人 応用物理学会 講演奨励賞 磁気ドメインを利用した薄膜Qスイッチレーザー
2017年12月The Institute of Electrical and Electronic Engineers (IEEE) Nagoya Section IEEE Nagoya Section Young Researcher Award
2018年1月愛知県 第12回わかしゃち奨励賞(基礎研究部門)最優秀賞
2018年9月一般社団法人 電気学会 優秀論文発表賞(基礎・材料・共通部門表彰) 前進体積波モードのスピン波を用いた位相干渉演算器の開発(IV)
2019年4月文部科学省 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 磁気的位相干渉を用いた機能性マイクロデバイスの研究

特許や獲得研究費など: https://researchmap.jp/taichigoto/

研究者からのメッセージ

国産の技術を国産メーカーで世に出したいと思います。

スピン制御レーザーは,豊橋技術科学大学で2016年に発明され実証されました。その後,高出力化と小型化を進めています。本レーザー素子の中で使用されている技術は多岐にわたります。構成される部品で見ると,磁気光学膜,レーザー素子,両方を制御するための電子回路,磁場印加機構があります。結晶,磁気,光,電気の技術を合わせて使っています。サイズでみると,ナノスケールの原子配置を制御することで高品位の磁気光学膜を実現し,ナノ秒レベルの高速な大電流大電圧の電磁気応答制御を行うことで,キロワットレベル光出力を得ています。幅広い技術が必要でありますが,一方でどこか1つに秀でた技術があると,性能を飛躍的に向上することができたり,新しい機能を付加することが可能です。
この原理は,これまでになく,また,素子内に,ノウハウ的な技術があるため,まねしづらく,学術界では着目されています。海外からの,問合せは多くある状況ですが,国のプロジェクトで育てたテーマですので,是非,国内企業とともに製品化できればと思います。