化学物質の常時モニタリングによる環境安全、プロセスモニタリング
化学センサのIoT化が可能になると環境中の化学物質のモニタリングが可能となり、製造現場でのプロセス中・廃液中の薬品のモニタリング、農業現場での栄養成分・農薬類のモニタリング、水道の水質モニタリング、河川・土壌・海洋中の有害物質の環境モニタリングなど、幅広い応用が期待できます。これにより、工業製品や農作物の生産効率の向上や環境保全、生体への化学物質暴露の防止など、様々な効果が期待できます。
若手研究者産学連携
プラットフォーム
研究の成熟度
TRL1
基本原理・
現象の確認
基礎研究
TRL2
原理・現象の
定式化
基礎研究
TRL3
実験による
概念実証
応用研究
TRL4
実験室での
技術検証
応用研究
TRL5
使用環境に
応じた技術検証
実証
TRL6
実環境での
技術検証
実証
TRL7以上
実環境での
技術検証
※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度
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ビジョン
化学センサのIoT化が可能になると環境中の化学物質のモニタリングが可能となり、製造現場でのプロセス中・廃液中の薬品のモニタリング、農業現場での栄養成分・農薬類のモニタリング、水道の水質モニタリング、河川・土壌・海洋中の有害物質の環境モニタリングなど、幅広い応用が期待できます。これにより、工業製品や農作物の生産効率の向上や環境保全、生体への化学物質暴露の防止など、様々な効果が期待できます。
最終用途例
APPLICATION

河川や土壌中の有害物質は人の手によって測定されていますが、多くの地点を高頻度に測定することは難しいです。IoT化学センサにより常時モニタリングすることで、有害物質の漏洩等に迅速な対応を可能にします。
APPLICATION

工場での工業製品の製造や、農場での農作物の生産では試薬や土壌中の化学物質量の管理が重要です。これらの物質の常時モニタリングを実現することにより生産効率の改善に貢献します。
強み
従来技術でも洗浄液やバルブ、ポンプなどを駆使してセンサ表面を洗浄することは可能でしたが、大型化や洗浄液の交換の問題がありました。本技術では洗浄液を必要とせずにセンサ表面を洗浄するため、洗浄液交換等のメンテナンスを必要とせず、小型化も可能なため、様々な場所に設置することが可能となります。
テクノロジー
環境中では微生物、油脂、泥といった様々な汚れ物質の付着、増殖が想定されます。これらの汚れ物質には弱アルカリ性~強アルカリ性の液を用いた洗浄が効果的です。通常はアルカリ性の洗浄液を流して洗浄を行いますが、本研究では電気的な操作によって化学センサ表面上のpHを局所的に操作することで、試薬フリーな洗浄を実現します。
化学物質の測定技術に、様々な物質を電極表面上で酸化還元させた時に流れる電流から物質濃度を測定する電気化学測定法があります。本技術では電気化学センサ用電極として優れた性質を示すホウ素ドープダイヤモンド(BDD)電極に微細で高密度に金ナノ粒子を標識することにより、ヒ素の検出において環境排出基準(10ppb)を大幅に上回る0.5ppbを達成しています。
共同研究仮説
本技術は現在自己洗浄技術の基礎検証中です。この技術は幅広い化学センシングに応用できると考えています。皆様が測定したい物質の測定に合わせた自己洗浄技術を導入したセンサシステムの構築をご一緒に開発していただける企業の方を探しています。
環境中の化学物質のモニタリングの実証や効果の検証を行うには、国プロなどを活用し、実証試験を行う必要があります。実証試験を行いたい課題やフィールドをお持ちの企業の方や、そのためのセンサシステム、情報蓄積システム、情報解析などに協力いただける企業の方を探しています。
イベント動画
研究者
【経歴】
2013.3. 九州大学大学院 システム生命科学府 博士(工学)
2013.4~2015.3 産業技術総合研究所 生産計測技術研究センター 研究員
2015.4~2018.9 産業技術総合研究所 製造技術研究部門 研究員
2018.10~2019.12 産業技術総合研究所 製造技術研究部門 主任研究員
2020.1~2025.3 産業技術総合研究所 センシングシステム研究センター 主任研究員
2025.4~現在 産業技術総合研究所 ウェルビーイング実装研究センター 研究チーム長
2022.4~現在 佐賀大学大学院 理工学研究科 准教授(兼務)
製造業、電気機器メーカー、分析機器メーカー複数社