2020年度公募 seeds-0221 - 【関東】 メンテフリー&ワイヤレスなIoTセンサの実現を目指して。 振動発電デバイス向け磁性材料と厚膜形成技術を開発
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VISION

ビジョン

Society 5.0時代のカギを握る、IoTセンサ向け自立型電源の実現と普及を目指して

振動を電気エネルギーに効率的に変換する「磁歪式振動発電」に適した磁性材料の開発と材料形成技術の確立

現場のリアルデータを記録するIoTセンサは、Society 5.0時代におけるキープロダクトです。その実装シーンは、製造工場、防犯設備、インフラ管理、防災現場、漁業、etc…私たちの生活のあらゆる場面に広がります。
本研究では、IoTセンサのワイヤレス化で課題であった給電問題を解決すべく、自立型電源となる発電デバイスに適用可能な「振動発電」(振動を電気エネルギーに変換する仕組み)に着目した研究開発を行います。特に、耐久性、耐熱性の点から磁歪効果を利用した振動発電に着目し、高出力化のための磁性材料を開発し、製造容易性とコスト低減を考慮した材料形成技術を確立することに主眼を置いています。

あらゆる「現場」に設置可能なIoTセンサの実現により、次の時代の社会環境を実現する

人々の生活・産業のあらゆる場面でデジタルデータが活用され、高度なサービス提供や安心・安全な社会を実現するSociety5.0時代。本研究は、そのような未来社会の実現をビジョンとして掲げています。
「現場のリアルデータをどれだけ取得できるか」が、我が国のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現のカギを握るといっても過言ではありません。本研究の成果として、発電デバイスを実装したメンテナンスフリーでワイヤレスな電源自立型IoTセンサが実現されることで、日本のDXの加速に寄与することを目指しています。

USE CASE

最終用途例

昼夜問わず発電可能な自立型電源デバイス

USE CASE 01工場や工事現場の自動監視

APPLICATION

APPLICATION

微小振動を伴う機器の温度等をオンライン監視

製造工場で絶え間なく稼働する設備機器。その稼働環境や機器の状態を常に把握するセンサとして活用が見込まれます。デジタル対応が難しかった旧式設備にも適用可能なデバイスが実現できれば、日本の製造産業の裾野までDX対応が普及する可能性を秘めています。

USE CASE 02インフラ管理

APPLICATION

APPLICATION

トンネル内壁や橋などの構造物の異常応力検知による事故防止

“日本各地のインフラをいかに持続的に維持管理するかは、大きな社会課題です。
微細な振動を電力に変換する自立発電デバイスを備えたセンサがあれば、給電の難しい山間地や、電源が設置しにくい構造物に対しても設置が可能となり、我が国のインフラ管理の在り方を大きく変えることができます。”

STRENGTHS

強み

発電用材料の要求特性一新により、材料選択の幅が拡張され、量産化・低コスト化に適する形成法も利用可能に

STRENGTHS 01

発電時の物理現象の理論的検証に基づいた新アプローチ

発電時、材料内で生じる磁歪現象に基づいて、材料に要求される特性を理論的に見直すと、発電用材料の選択の幅を拡大させることが出来ます。そして、その結果、従来、用いることが出来なかった材料形成法も利用可能となり、低コスト化、量産化、小型化の道が開けます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

発電性能と材料特性の理論的検証に基づき、発電用磁歪材料を新たに提案

TECHNOLOGY 01

材料選定のポイントとなる3つの磁気特性

振動を電気エネルギーに変換する場合、耐久性と耐熱性の観点から、磁歪と呼ばれる性質が現れる磁性材料を活用した発電方式が有効です。
本研究では、発電性能と3つの磁気特性(①磁歪定数、②磁気異方性エネルギー、③飽和磁束密度)の関係を理論的に検証し、「①磁歪定数が小さくても、②磁気異方性エネルギーが低ければ出力電圧の増大が可能である」ことを見出しています。この新たなアプローチにより、従来、実用化の障壁となっていた「材料とその形成法の選択肢の少なさ」の問題を解決できます。高出力特性の点から、今回、磁歪材料としてFeリッチ組成のFe-Co合金を提案していますが、レアメタルフリーFe基合金の適用も可能です。

TECHNOLOGY 02

製造容易性と生産コストを考慮した材料形成技術

従来方式では、結晶配向性がある単結晶等の磁歪材料の板を、ヨークの機能も備えたベースの板に接着剤で貼り付けた機構がとられていました。一方、本研究で提案する「厚膜式」デバイスは、低コスト化・量産化に優れる形成法を利用したもので、磁歪材料の選択の幅が拡張されることにより、実現可能となりました。更に、単結晶等を用いていない点だけでなく、振動の特性に応じて多様な剛性の材料をベース材料として選定できる点にも特徴があります。

PRESENTATION

共同研究仮説

企業様と共に、振動発電デバイスへの技術実装を進めたいと思います。

共同研究仮説01

振動発電に必要となる磁性材料と厚膜形成技術の特徴

IoTセンサのワイヤレス化で課題であった給電問題を解決すべく、自立型電源となる発電デバイスに適用可能な「振動発電」(振動を電気エネルギーに変換する仕組み)に着目した研究開発の成果を社会実装に結実させることを目指します。

LABORATORY

研究設備

材料、デバイスの試作から特性評価まで

LABORATORY 01

膜形成装置

特性制御が容易な超高真空仕様の蒸着およびスパッタ装置から、生産性に優れるめっき装置まで、研究室規模での材料形成装置を保有しています。

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LABORATORY 02

膜特性評価装置

構造特性に加えて、磁気・磁歪特性を評価する装置を揃えており、研究室で一連の膜特性を解析できます。また、横浜国立大学には機器分析センターが併設されており、必要に応じて様々な特性評価を行うことが可能です。

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LABORATORY 03

振動試験機

振動の振幅や周波数を変化させて、発電性能を評価できます。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

大竹充 横浜国立大学 大学院工学研究院
経歴

准教授、研究室主宰者。2011~2015年 中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科にて助教、2015~2018年 工学院大学 工学部 電気電子工学科にて助教、 2018年より現職。
日本磁気学会の学術奨励賞(2010年)や論文賞(2016,2020年)を受賞。150編を超える査読有り論文を学術雑誌で出版。
米国電気電子学会IEEE、電気学会、電子情報通信学会、映像情報メディア学会、応用物理学会、日本磁気学会、日本金属学会、日本鉄鋼協会の正会員。日本磁気学会論文誌の主任編集者、映像情報メディア学会論文誌の編集者、エネルギー・マグネティクス研究会やマルチメディア・ストレージ研究会の委員を務める。

研究者からのメッセージ

様々な領域の方の声を大切に研究開発を行います

研究者は、材料、物性から、電気電子関連の応用までを専門としています。文理問わず、様々な領域の方と連携し、そして、シーズだけでなく、ニーズ・オリエンテッドな思考で研究開発を進め、実用化、普及に繋げて行きたいと思っております。