2022年度公募 seeds-2617 - 【東海】 3Dプリンターの新規利用法としての異種ポリマーパターニングと機能開拓
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VISION

ビジョン

ポリマー種×パターニングが拓く樹脂機能化法

パターニングという新概念が拓く樹脂の可能性発掘

1900年代の人工樹脂の誕生以来、樹脂は“均質であるもの”という考えが盲目的な概念として一般化されています。一方で、本取り組みは、 “異種ポリマーのパターニングという概念”を導入することで力学物性向上・機能拡張を目指すという点で、アイデアの独創性があります。通常、樹脂の力学物性は構成ポリマーの分子特性に基づいて制御されますが、本技術では、単一のポリマーでは表現できない力学的特異性を、異種ポリマーパターニングにより広範に表現し得るという点で、一般概念を突破する革新性があります。

USE CASE

最終用途例

ロボティクス・ドローン・ウェアラブルデバイス・フレキシブルデバイスなどの先端技術産業

USE CASE 01パターニングによる特殊エラストマー開発

APPLICATION

APPLICATION

人工筋肉やロボット用素材

生体の筋組織では柔軟性と鋭敏な弾性回復という特異的な力学特性が見られます。本技術を応用すれば、弾性率の異なるエラストマー樹脂のパターニングにより、低歪みでの柔軟性と高歪みでの高弾性を再現できます。

USE CASE 02パターニングによるフィルム変形デザイン

APPLICATION

APPLICATION

フレキシブル/ウェアラブルデバイス用フィルム

フレキシブルデバイスやウェアラブルデバイスでは、力学的特異性を示す材料が重宝されます。パターニングデザインにより、ある方向の力に対して柔軟性が高く、他の方向には曲げにくい樹脂フィルムを設計できます。

USE CASE 03パターニングによるバイオミメティクス

APPLICATION

APPLICATION

羽ばたき型ドローンの羽部材

昆虫の羽の特徴的なタイルパターニング構造を模倣し、揚力を稼ぐための最適な曲げ・ねじり変形が印加されるよう設計することができます。

STRENGTHS

強み

硬軟/親・撥水などの性質の異なるポリマーを自在に樹脂内にパターニングすることが可能

STRENGTHS 01

局所樹脂改質による物性デザイン

生体・生物の特殊な機能を、異種ポリマーのパターニングにより再現できる可能性があります。また、フレキシブル/ウェアラブルデバイスなどの先端産業では、力学的異方性(特定方向の力に対して柔軟で他には曲げにくい性質)が好ましいとされており、本パターニング樹脂でその力学的異方性をデザインすることができます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

ポリマー種×パターニングデザインの複合的設計により、新しい樹脂の可能性を開拓

TECHNOLOGY 01

パターニングという概念により人工樹脂の限界を突破

特許:①特願2022-066342、パターニングポリマーゲル及びその作製方法 ②特願2022-066300、光パターニング重合による弾性率局所可変フィルム及びその作製方法
受賞:①第71回高分子学会年次大会優秀ポスター賞(高分子学会)、②第183回東海高分子研究会講演会(2022年夏期研究会)(高分子学会東海支部)

PRESENTATION

共同研究仮説

現場のお困りごとを基に、パターニング樹脂の機能開拓および用途探索を行いたいです。

共同研究仮説01

ポリマー種×パターニングという新概念が拓く機能開拓

パターニングフィルムの可能性を一緒に探索しましょう

複数種のポリマーを適材適所で配置したパターニングフィルムは、その組み合わせおよびデザインにより機能の無限の拡がりが期待(材料設計の多様化)できます(様々なニーズへ対応)。特に力学物性に関して、既存の単一ポリマーから成る樹脂では成し得ない効果を探索することで、新規樹脂・新規産業創出にアプローチします。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

林 幹大 国立大学法人 名古屋工業大学(助教)

経歴

■研究歴
2015年3月    名古屋大学 博士後期課程修了 博士(工学)
2015年4月    ESPCI Paris-Tech, 博士研究員
2016年4月    東京工業大学, 博士研究員
2017年2月    名古屋工業大学 助教 着任

(2020年10月 PIとして独立研究室発足)

■大型プロジェクト
NEDO 官民による若手研究者発掘支援事業(2020年12月−2026年3月)
JST 大学発新産業創出プログラム(START) 社会還元加速プログラム (SCORE) (2021年8月−2022年3月)
■受賞

高分子研究奨励賞, 高分子学会 (2020年), Polymer Journal 日本ゼオン賞(2021年)

研究者からのメッセージ

「パターニング」という概念を基に、人工樹脂に新しい可能性を

1900年代の人工樹脂の誕生以来、樹脂は“均質であるもの”という考えが盲目的な概念として一般化されています。一方で、本取り組みは、 “異種ポリマーのパターニングという概念”を導入することで力学物性向上・機能拡張を目指すという点で、アイデアの独創性があります。通常、樹脂の力学物性は構成ポリマーの分子特性に基づいて制御されますが、本研究では、単一のポリマーでは表現できない力学的特異性を、異種ポリマーパターニングにより広範に表現し得るという点で、一般概念を突破する革新性があります。これは、「一次元バーコードと二次元バーコード(例えばQRコード)では情報量に圧倒的な差がある」、という実例と類似しています。このように、本技術は、ポリマー樹脂開発に関する産業分野全体に対する大きなインパクトが期待でき、将来的には学術としても新しい潮流を生み出してきたいと思っています。