2022年度公募 seeds-2355 - 【関東】 産業用高出力レーザーのための超高耐力・メンテナンスフリーな新型ガス光学システムの開発
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

”壊れない”ガス光学素子で、メンテナンスやクリーニングが不要なレーザーシステム開発を目指す

ダメージフリーで動作する、レーザー波面クリーナー・集光加工機ヘッドの実現

高出力レーザーシステムが大型化する要因には、素子破壊を回避するために光学素子が大きくなってしまうこと、増幅器を通過する度に歪んでしまうレーザー波面を修正するための空間フィルターが必要になることなどが挙げられます。本研究の取り組みの1つとして、オゾンガスを媒質としたレーザー波面クリーナー素子に置き換え、システム全体として1/2以下の小型化を目指します。2つめの取り組みとして、レーザー加工や表面処理を行う際に回避できない課題とされている、加工対象物からの飛散物(デブリ)が集光レンズへ付着し、メンテナンスや交換を必要となってしまう問題を、根本的に解決する集光光学システムを開発します。

USE CASE

最終用途例

紫外レーザーで書き込むガス光学素子で、ダメージ知らずのレーザーシステム開発へ

USE CASE 01デブリフリー・メンテナンスフリー!パルスレーザー加工用ガス集光ヘッド

APPLICATION

APPLICATION

ガス媒質の瞬間生成レンズのために、デブリ付着が起こりません

集光レンズをデブリから保護するための、保護ガラスやガスの吹き付けが不要になります。近紫外~赤外光までの幅広い波長のレーザーで、AR(減反射)コートなしで使用可能な加工機ヘッドを開発します。

USE CASE 02コンパクト・超高耐力なレーザー波面クリーナー

APPLICATION

APPLICATION

レーザー増幅器間で高品質波面のみを選択できます

増幅器で発生する熱によるレーザー波面歪みなど、乱れた入射波面でも優れた単一波面のみを抽出することができます。従来の液晶やMEMS、デフォーマブルミラーに比較し、高速、小型、高耐力なものが実現できます。

USE CASE 03サブナノ秒立ち上がりの高速スイッチ素子

APPLICATION

APPLICATION

挿入損失はほぼゼロ!

破壊の心配がなく、挿入損失も無視できるスイッチ素子として、レーザー共振器などにも使用することができます。

STRENGTHS

強み

光学素子=汚れる、壊れる、のイメージを変える。超高耐力・高効率・高制御波面品質なガス光学素子

STRENGTHS 01

光学損傷に圧倒的優位な気体素子を製品化に繋げたい

光学素子の高耐力化は強く望まれていますが、技術は旧来のまま、耐力はほぼ横ばいの状況です。製品化を目指すガス素子を利用した波面クリーナー、加工機ヘッドでは、固体光学素子よりけた違いに強く、壊れたとしても繰り返し再生可能であるという特徴を生かしており、唯一無二のシステムとなります。

TECHNOLOGY

テクノロジー

オゾン+紫外レーザーで過渡的な光学素子をつくる

TECHNOLOGY 01

大気圧の気体中に大振幅粗密波を生成し、光学素子に

原理的にレーザー耐力が高く、損傷の修復が可能な気体素子は以前から望まれていました。しかし、どんな気体でも空気との屈折率差は10^-4程度にしかならないために、蜃気楼などの地球サイズの大きさでない限り光学素子にはならないというのが常識でした。ところが最近になって我々は、高濃度のオゾン含む気体に紫外レーザーで瞬時に熱分布を与えることで、大振幅の粗密波を励起する手法を見出しました。1気圧の気体中に、2気圧とほぼ真空に近い低圧力から成る周期構造が生成されるので、気体でも固体光学素子と同様の機能を持たせることができます。(特許番号5936110)

TECHNOLOGY 02

粗密波の形状制御で回折格子、レンズ、スイッチ等の動作も可能に

気体には境界がないので光波面の精度を維持できないだろう、と思われるかもしれません。我々は、ガス流路の開発やガス流速の制御により、開放空間にも関わらず、制御されるレーザー波面がλ/10以上の高い波面精度となることを実証しています。さらに、曲面形状の粗密波をガス中に励起することで、フレネルレンズのような集光光学素子も実証しており、M^2=1.1というほぼ理想に近い集光特性が実現できることも示しています。(特開2021-105693)

PRESENTATION

共同研究仮説

加速する高出力レーザーの社会実装に不可欠な長期安定性・信頼性が担保できるシステム開発を目指す

共同研究仮説01

産業用レーザー装置実機への試験導入

デモ、お試し、試作機製作、どんなご要望でもお待ちしています。

産業用レーザー加工機、高出力レーザーを開発する企業様に対して、本事業で開発する波面クリーナー、集光加工機ヘッド試験機のデモを行い、試験機としてのプレ導入や、ご要望に応じたカスタマイズを行います。性能を実機レベルで評価して頂き、一連のシステムとして稼働できるまでを共同研究で進めていくことを希望します。

共同研究仮説02

さらに使えるガス光学システム開発を目指して

高濃度・高圧オゾン生成のノウハウが必要です。

より高繰り返しレーザーへの対応や、よりフレキシビリティを持った光学素子の開発のためには、オゾン層厚みの低減が有効ですが、これは同時にオゾンの高濃度化が必要です。オゾンの生成ノウハウをお持ちの企業様と連携し、実際に試験利用を行いながらこのガス光学素子の適用範囲を広げていくことに取り組みたいと思います。

LABORATORY

研究設備

レーザーの準備から設計、試作機製作までお任せください。   

LABORATORY 01

近紫外~赤外光までのパルスレーザーへの対応が可能です。

例えばレーザー加工では、材料の種類、どのような加工を行うか、レーザーのパルス幅、照射強度、繰り返し周波数、集光条件、掃引速度などありとあらゆる最適条件の探索が必要です。企業様で適用を検討して頂くレーザーに対して、大学側の設備も利用しながら試験を行える環境を用意しています。

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LABORATORY 02

お持ちのレーザーに合わせた試作機設計も可能です。

機械工作、3Dプリンターによるガス流路の試作品を設計・提供します。「使えるかわからないけど試してみたい」も大歓迎です。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

道根百合奈 電気通信大学レーザー新世代研究センター
(特任助教)
経歴

■経歴
2016年4月~2019年3月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2020年3月 電気通信大学大学院情報理工学研究科 博士(工学)取得
2019年10月~2020年5月 電気通信大学レーザー新世代研究センター

産学官連携研究員
2020年6月~現在 電気通信大学レーザー新世代研究センター 特任助教
■受賞
2016年9月 学生優秀発表賞, 日本物理学会領域2
2017年5月 優秀論文発表賞, レーザー学会
2020年3月 第10回日本学術振興会育志賞 等
■関連論文・雑誌
1. Y.Michine et.al, COMMUNICATIONS PHYSICS 3, 24 (2020)
2. オゾンガスを利用した次世代レーザーシステムの開発, OZONEWS IN JAPAN, 118
3. 壊れない夢のオプティックス, OPTRONICS 40
4. パルスレーザ加工のための新しいガス光学システム, レーザ加工学会誌29
■Web
https://www.uec.ac.jp/research/information/opal-ring/0007721.html

研究者からのメッセージ

目立つ競合技術のない今のうちに、スピーディに実用化まで行いたい!

高出力レーザーに関する技術開発は、世界中で競争が繰り広げられています。気体で光学素子?無理でしょう。と言われていたこの技術も、この数年で格段に性能が上がり、我が国のレーザー粒子加速プログラムへの導入も期待されています。最近では、新しい超高耐力光学素子として、海外の大型レーザー施設などにも注目され始めています。しかし、せっかく日本で開発された技術です。競合がない今のうちに、製品化まで一緒にトライして下さる企業様を募集しています。こんなアプリケーションには利用できるか、というようなご相談もお待ちしています。