2020年度公募 seeds-0259 - 【関東】 イメージセンサと磁気光学材料を活用し、小型の高速物理(真性)乱数生成器を実現
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VISION

ビジョン

革新的な物理乱数生成器で高速シミュレーション普及や次世代セキュリティの実現を

磁性材料とイメージセンサを用い、小型で低消費電力な高速物理乱数生成器を開発

乱数は、暗号・シミュレーション・機械学習やエンターテイメントの分野において、データ処理の基盤として重要な位置づけにあります。しかし、小型で高速かつ使いやすい物理乱数(真性乱数)生成器は未だ社会実装されていません。本事業では、磁気光学材料とイメージセンサをこれまでにない手法で応用することで、これからの社会に求められる物理乱数生成器を開発します。

データ処理の“あたりまえ”をもう一段階引き上げる

デジタル社会の到来に伴い、求められる情報セキュリティのレベルや、事象の予測(シミュレーション)精度が業界を問わず日々向上しています。これらの活動を支えるものが乱数です。無作為性が担保された数列を瞬時に生み出す技術がなければ、情報を暗号化してやり取りすることはできず、膨大な選択肢を仮定することもできません。
物理的な事象に基づく真に無作為な乱数(物理乱数)を生み出す手法は、古くはサイコロから始まり、これまで様々な手法が開発されて来ましたが、今後の高次元なデータ処理に対応可能かつ実用的なものは未だありません。本事業ではこれからの社会に即実装可能な形での物理乱数生成技術の開発を目指します。

USE CASE

最終用途例

小型で高速かつ低消費電力な物理乱数生成器

USE CASE 01スマートフォンやPC等の端末への組み込み

APPLICATION

APPLICATION

用途による使い分けが不必要な乱数生成器

現在は低速であるなどの問題から、用途に応じて使い分ける形で乱数生成器が利用されています。本研究では小型高速かつPC等の端末側へ組み込める形での開発をするため、多様な用途に共通して用いることが可能です。

MARKET

MARKET

セキュリティ領域

ユーザーの端末に高速な物理乱数生成器が組み込まれることで、乱数が必要となる二段階認証などのセキュリティ水準が向上します。サービサーがより安全にサービスを提供できるユーザー端末の需要は高まります。

USE CASE 02USB形式等の外部端末

APPLICATION

APPLICATION

一般的なPCで高次元なデータ処理を可能にする乱数生成器

既にUSBタイプ等の形で外付け可能な物理乱数生成器は存在します。しかし、これから要求されるデータ処理量に対してその速度が充分かつ小型で汎用的なものは未だありません。本技術はこの問題を解決します。

MARKET

MARKET

シミュレーション領域・機会学習領域

様々な事象を予測する際、また機会学習のタスクを実行する際など、真に無作為性が担保された乱数が必要です。外付け端末から充分な速度で乱数が供給される仕組みはコスト観点から多くのシーンで需要が見込まれます。

STRENGTHS

強み

従来技術よりも高速な乱数生成器となり、さらに実用化までの距離が近く

STRENGTHS 01

既存イメージセンサ技術を応用したCPUを占有しない乱数生成

従来の熱雑音による物理乱数生成法は100クロック以上かかることから、低速(~数十Mbit/s)でありCPUを占有します。本技術では1Gbit/sを超える速度となりその点を解決します。さらに、既存イメージセンサ技術を用いるため信号のデジタル化に特殊な装置は必要なく、かつ小型となり実用化が容易です。

TECHNOLOGY

テクノロジー

磁性材料から生じるランダムな磁区像から数列を生成する

TECHNOLOGY 01

磁性ガーネットのメイズ磁区像を撮影

磁性材料である磁性ガーネットにレーザーを入射し、その透過光を偏光子を通してカメラで観察します。ここに磁界が加わることで透過光の変更面が回転します(ファラデー効果)。結果としてスクリーンに映る磁区画像がランダムに生じることになります。これをノイズ源として数列を生成するという仕組みです。小型で耐久性の高いハードウェア構成として、モノリシック構造のデバイスを開発し、最終的にはスマートフォン用カメラモジュール程度のサイズ(10mm×10mm×8mm)を実現します。

TECHNOLOGY 02

磁区像からの乱数生成

<動画準備中> ※公開まで今しばらくお待ち下さい

PRESENTATION

共同研究仮説

アプリケーションイメージに合わせた研究開発を

共同研究仮説01

物理乱数生成器をどのような形で実装するかは企業ニーズを踏まえる

最適な磁性材料開発、アルゴリズム開発、ハードウェア試作の3点をスコープとして検討を開始

イメージセンサの新用途探索、セキュアな端末の検討、シミュレーションや機械学習サービスの高度化、など様々な領域に資する研究開発となります。実装要件をご提示頂ければそれを踏まえた開発を予定しております。

共同研究仮説02

アプリケーションイメージに合わせた研究開発を

物理乱数生成器をどのような形で実装するかは企業ニーズを踏まえる

最適な磁性材料開発、アルゴリズム開発、ハードウェア試作の3点をスコープとして検討を開始しております。イメージセンサの新用途探索、セキュアな端末の検討、シミュレーションや機械学習サービスの高度化、など様々な領域に資する研究開発となります。実装要件をご提示頂ければそれを踏まえた開発を予定しております。

LABORATORY

研究設備

物理乱数生成器開発を行う環境・設備

LABORATORY 01

磁気光学効果測定装置

乱数源となる磁気光学材料の基礎特性を詳細に測定する装置です.本研究室はこの他にも,磁気光学材料を作り,評価する十分な設備があります。
https://mitolab.net/facilities/

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

水戸慎一郎 東京工業高等専門学校 電子工学科
経歴

2008年より豊橋技術科学大学 井上研究室で磁気光学効果を用いたデバイスに関する研究に従事。
2011年に豊橋技術科学大学大学院博士後期課程を期間短縮卒業。アリゾナ大学 Mansripur研究室で光ドップラー効果に関する研究に関わった後、
2012年に東京工業高等専門学校電子工学科に着任。新しい磁気光学材料と光デバイスを開発する傍ら、ワイヤレスセンシングに関する研究にも着手し、第31回中小企業優秀新技術・新製品賞で産学官連携特別賞を受賞
https://biz.nikkan.co.jp/sanken/shingizyutu/31shingizyutu.html
情報処理技術と磁気光学技術との融合を模索する中で、磁区を用いた物理乱数生成という着想に至り、
2020年に基礎技術の開発と検討に関する成果を発表
https://iopscience.iop.org/article/10.35848/1347-4065/ab6cb0/pdf
同様の内容で2019年度電気学会優秀論文発表賞を受賞
https://www.iee.jp/blog/epaward_2019/

研究者からのメッセージ

全てのコンピュータに高速物理乱数生成器を

乱数生成器の需要は、今後確実に高まると考えています。コンピュータの性能が向上し、AIなどの新しい技術が目覚ましい発展を遂げていますが、これに伴って、シミュレーションや機械学習のシードとして、乱数生成に求められる速度はどんどん上がっていくと考えられます。また、量子コンピュータなどの技術でその安全性が危惧されている通信においても、より大量で予測不可能な乱数が求められています。加えて、高速乱数生成と確率ビット(probabislitic bit,PBit)による新しい情報処理の試みも始まっています。現在は一人一台以上のコンピュータを所持していますが、ここに高速乱数チップが搭載されるようになる未来は、それほど低い確率ではないと考えています。
 光磁気ディスク(MO)を生み出した、日本の磁気光学関連技術は、非常に高い水準にあります。また、イメージセンサ技術も極めて高水準です。本研究開発はこれらを組み合わせ、世界に類のない小型高速の乱数生成器を早期に生み出す試みです。開発をご一緒できましたら幸いです。