2023年度公募 seeds-4760 - 【関東】 ナノデバイスを指向した有機-無機ハイブリッドナノ粒子のCO2ドライクリーニング技術
  • エレクトロニクス
  • ケミカル
  • 素材
  • IT・通信
  • 自動車・機械
  • 化学
  • 生産・加工
  • 新素材
  • 次世代デバイス
  • 電気通信・半導体
  • #環境調和プロセス
  • #蓄電池・燃料電池
  • #透明導電フィルム
  • #放熱シート
  • #超臨界CO2洗浄
  • #CO2ドライクリーニング
  • #表面修飾ナノ粒子
  • #有機-無機ハイブリッドナノ材料
  • #省エネルギー
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

ハイブリッドナノ粒子の市場は近年成長著しいが、洗浄乾燥技術に課題を内包しており、社会普及が遅れている

ハイブリッドナノ粒子の洗浄乾燥技術を転換し、ナノ材料が調和する社会を実現する

無機ナノ粒子表面に有機分子が結合した「有機無機ハイブリッドナノ粒子」は、溶媒への完全分散やポリマーとの完全混和を可能とするため、次世代ナノデバイスの実現に不可欠な先端材料として、合成技術と高機能化に関する研究が加速度的に進められてきた。しかし、合成後のナノ粒子を洗浄乾燥する技術は、古典的な手法に依存しており、不純物の残存・粒子凝集という問題が生じていることがナノ粒子の産業利用を遅らせている。これに対して本事業は、研究代表者が新規に開発したCO2洗浄乾燥法によってナノ粒子の完全洗浄と凝集回避を実現し、既存の洗浄乾燥技術を転換することで、ナノ材料が調和する社会を実現することをビジョンとする。

USE CASE

最終用途例

新規CO2洗浄乾燥法によって、ナノ粒子を活用した放熱シート・導電ナノインク・イオン電導膜の開発を支援

USE CASE 01易加工性と高放熱性を併せ持った放熱シートの開発

APPLICATION

APPLICATION

CO2洗浄乾燥法による放熱ナノ粒子のポリマー混和性改善

CO2洗浄乾燥技術を利用し、熱伝導フィラー(Al2O3, AlN)とポリマーとの混和性を顕著に向上させることで、易加工性と高放熱性(高充填性)を両立し、CPU等における演算処理速度を向上させましょう!

MARKET

MARKET

CPUやSSD内部のパワー半導体に実装する放熱シートの市場

パワー半導体の市場規模予測(2030):5.4兆円、放熱シートの市場規模予測(2025):5200億円

USE CASE 02超濃厚系・超高分散系のAgナノインク開発

APPLICATION

APPLICATION

CO2洗浄乾燥法による導電Agナノ粒子の液分散性の向上

従来の洗浄乾燥技術をCO2洗浄乾燥技術に転換し、より小さな銀ナノ粒子を用いた超濃厚系・超高分散系のAgナノインクを開発し、極薄な透明導電フィルムひいては極薄フレキシブル画面を実現させましょう!

MARKET

MARKET

フレキシブル画面に利用する銀ナノインクの市場

フレキシブル画面の市場規模予測(2027):5.3兆円、銀ナノインクの市場規模予測(2030):6500億円

STRENGTHS

強み

高純度・高分散性のハイブリットナノ粒子を高速生産する新規CO2洗浄乾燥技術

STRENGTHS 01

高速完全洗浄を実現する超臨界CO2洗浄法を新規開発

洗浄工程では、粒子間隙に存在する非修飾の界面活性剤を溶解除去する必要があるが、通常の液体溶媒はナノ空隙への浸透速度が遅いため、不純物が残存しやすい点が問題である。対して、超臨界CO2は液体溶媒の10倍~100倍という高い拡散性を持つため、ナノ空隙へ高速侵入し、ナノ粒子の完全洗浄を実現できる。

STRENGTHS 02

超高濃度分散を実現する超臨界CO2乾燥法を新規開発

乾燥工程では、真空蒸発法が多用されるが、毛細管力に起因した粒子同士の凝集が課題であることが知られている。対して、超臨界CO2乾燥では、気液界面の消失に起因した「ゼロ毛細管力」を実現できるため、粒子凝集を回避し、溶媒への分散性やポリマーとの混和性を著しく向上させることができる。

TECHNOLOGY

テクノロジー

超臨界CO2洗浄法によるナノ粒子の高速完全洗浄と超臨界CO2乾燥法によるナノ粒子の分散性向上を実証

TECHNOLOGY 01

既存の液体洗浄に対する超臨界CO2洗浄法の優位性を実証

研究代表者は、ナノ粒子系に適した超臨界CO2洗浄乾燥プロセスを独自に設計し、超臨界CO2洗浄では洗浄効率99%以上という、ハイブリッドナノ粒子の完全洗浄を実現した。また、超臨界CO2洗浄と既存のエタノール洗浄で、洗浄効率を比較検討した結果、より高い洗浄効率を得ることにも成功し、既存の液体洗浄対する優位性も実証した。

TECHNOLOGY 02

既存の加熱乾燥法に対する超臨界CO2乾燥法の優位性を実証

研究代表者は、超臨界CO2乾燥技術と従来技術である加熱蒸発法において、ナノ粒子のハンドリング性を決定づける「凝集度合い」と「有機溶媒への再分散性」を比較検証した。その結果、既存の加熱蒸発法では、ナノ粒子が緩慢凝集し、液体溶媒中で沈殿を形成したのに対して、超臨界乾燥法では、ナノ粒子の緩慢凝集が抑止され、液体溶媒中で均一に分散した。このように、加熱蒸発法と比較して、超臨界CO2乾燥法がナノ粒子の凝集を抑止し、有機溶媒への高い再分散性(高いハンドリング性)を実現できることを立証した。

PRESENTATION

共同研究仮説

超臨界洗浄乾燥技術の共同開発とハイブリッドナノ粒子を利用した製品の共同開発

共同研究仮説01

超臨界洗浄乾燥技術の共同開発

洗浄乾燥技術の側面からのナノ粒子の高機能化

共同研究先にはハイブリッドナノ粒子の合成メーカーを想定しております。ナノ粒子の品質(純度・分散性)・コスト競争性(生産性・自動化)を、洗浄・乾燥技術の側面から劇的に向上させ、より広範なナノ粒子用途の拡大を一緒に図っていけたらと考えています。

共同研究仮説02

ハイブリッド放熱ナノ粒子を利用した放熱シートの共同開発

超臨界CO2洗浄乾燥技術を利用した放熱シートの高機能化

共同研究先には放熱材料メーカーを想定しております.研究代表者がCO2洗浄乾燥技術を用いて放熱ナノ粒子を処理し,共同研究先が放熱シートとしての利用能(放熱性・加工性)を評価し,研究代表者の材料設計・プロセス設計にフィードバックすることを想定しています.

RESEARCHER

研究者

織田耕彦 東京工業大学物質理工学院 助教
経歴

・経歴
2020年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科 博士課程 修了
2020年4月 東京工業大学物質理工学院 応用化学系 助教(現職)
・実績
超臨界CO2・超臨界水を活用した有機-無機ハイブリットナノ粒子の設計(合成・分離・洗浄・乾燥・分散)に関して、査読論文8編(筆頭 or 責任)、学会発表31件の実績を有する。
代表論文)Kai Ikeda, Yusuke Shimoyama, Yasuhiko Orita* J. Supercrit. Fluids, 199, 105966 (2023).
・著者リンク
https://researchmap.jp/orita_researcher

研究者からのメッセージ

ナノ産業と環境が調和する社会を一緒に実現いたしましょう

私はこれまで超臨界流体を活用したナノ粒子の合成に関する研究を展開してきました。一方で、ナノ粒子の合成や機能化を目指す研究を遂行する中で、ナノ粒子の利用が敬遠される理由は、ナノ粒子に取り扱いの難しさにある点も痛感してきました。そのような問題認識から、独自の超臨界CO2洗浄乾燥技術を構築し、ナノ粒子の取り扱い易さを少しでも向上させようと研究にまい進してきました。その結果、ナノ粒子の完全洗浄や液中分散性の飛躍的な向上といった成果が得られ、ナノ粒子の取り扱いやすさを劇的に改善することに成功してきました。また、超臨界CO2洗浄乾燥技術は、コア元素の種類に関係なく、ナノ粒子全般に適用可能な汎用技術となります。つきましては、業界に関係なく、ナノ粒子の洗浄乾燥でお困りの企業ご担当者様と幅広く意見交換させていただければと思います。その結果として、ナノ産業と環境が調和する社会の実現を一緒に目指す機会が得られれば幸いです。