2022年度公募 seeds-2509 - 【北陸】 Mnを利用しナノ組織制御した耐熱Ti合金の創製
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VISION

ビジョン

航空機エンジンを軽く、頑丈にする新しいモノづくり

熱力学計算を利用した新しい耐熱チタン合金を設計し、高温クリープ特性の向上に寄与

航空機エンジンに使用されているチタン合金は、ターボファンエンジンの場合、前段のファンや圧縮機に採用されてきました。燃焼器やタービンから離れた前段では比較的温度上昇が低く、600℃以下の環境でチタン合金が使われています。この600℃の壁を突破するにはナノスケールの材料組織をうまく制御することが一つの問題解決策になると予想しています。熱力学計算を用いて「混合のエントロピー」の概念を利用してナノスケールの組織制御を目指しています。同時に熱力学計算ソフトも活用し、これらの学理を駆使して、新しい耐熱チタン合金の開発にチャレンジしています。

USE CASE

最終用途例

混ざりにくい元素を焼結ルートを使って混ぜて、ナノスケールからエンジンの耐熱性を制御

USE CASE 01航空機エンジン圧縮機のディスクとブレードへの応用

APPLICATION

APPLICATION

まずは小型ドローン用のジェットエンジンへの応用

鋳造ルートでは偏析が生じるような元素を用いるため、粉末焼結法を利用して均一に材料中に分散させる必要があります。まずは小型のディスクとファンが作製できる規模の材料開発から始めています。

STRENGTHS

強み

レゴブロックの要領で部材形状を形成

STRENGTHS 01

ボトムアップで理想とする耐熱性を付与

X線回折による材料中の欠陥の定量評価、電子による顕微鏡観察および結晶配向状況の評価など、ナノ・原子レベル解析技術をもっていますので、この技術を十二分に発揮して原子レベルから部材形状まで造り上げます。これまでの成果で既存の耐熱チタン合金では550℃でも結晶回転が起きてしまうことを突き止めています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

元素同士の好き嫌いをうまく利用

TECHNOLOGY 01

元素同士の好き嫌いは混合のエンタルピーから抽出

混合のエンタルピーの概念を用いて、耐熱Mg-Al-Ca-Mn合金のクリープ特性向上のメカニズムを明らかにしてきました(T. Hommaら, Acta Mater., 59 (2011) 7662.)。耐熱性を担うような化合物を形成させる好きなもの同士の元素を、密集させて集めます。同様な概念で耐熱チタン合金中に新しいナノスケールの金属間化合物を微細分散すれば、600℃を超える高温変形を抑止することを期待しています。アルミニウム、マグネシウム、チタン合金に対する長年のナノスケールの組織解析技術を認めて頂き、軽金属学会から軽金属学会躍進賞もいただいたおります。

PRESENTATION

共同研究仮説

エンジン開発に向けた大型化および金属積層造形による試作

共同研究仮説01

実機エンジン開発を見据えた大型部品の試作

新耐熱チタン合金の実用化には大型部品の試作が不可欠

航空機、ドローン、自動車、船舶等の部品を扱う企業との共同研究を希望しています。特に放電プラズマ焼結を用いた焼結ルートから塑性変形を入れて新しいチタン合金を開発しているため、大型部材の開発が将来的に問題になることを予想しています。

共同研究仮説02

金属積層造形への転用

開発合金のSPSによる製造と金属積層造形のマッチングを実現

航空機、ドローン、自動車、船舶等の構造部品は複雑形状を有するので、3次元積層造形(AM)法がその威力を発揮します。しかし、AMで耐熱チタン合金の開発を行うにはコストも時間も浪費します。放電プラズマ焼結(SPS)は迅速に焼結が可能で合金開発のローテーションも早く、低コストで材料開発を実現します。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

本間 智之 長岡技術科学大学 機械系 准教授
経歴

■経歴
2005年3月 筑波大学 数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻 修了
2004年4月-2005年3月 物質・材料研究機構

NIMSジュニアリサーチアソシエイト
2005年4月-2007年3月 The University of Sydney, Australian Key Center for Microscopy & Microanalysis, Research Associate
2007年4月-2012年4月 長岡技術科学大学 機械系 助教
2012年5月 長岡技術科学大学 機械系 准教授 博士(工学)
■研究室ホームページ
https://mcweb.nagaokaut.ac.jp/~thonma/researchmap
https://researchmap.jp/read0105272/

研究者からのメッセージ

中性子、X線、電子回折を利用したナノ・原子レベル組織解析技術の応用

長岡技術科学大学は実践的な研究をモットーとしています。学生の8割は高専卒の学生で構成され、設計やモノづくり、プログラミングを高専時代に身に着けてきます。私達は常に企業のニーズに合致した研究開発を手掛けており、これまでも企業において問題視されてきた種々の問題を解決し、学生を巻き込みながら企業様と共同研究を行い社会貢献を続けています。
ナノスケールの情報はマクロスケールの航空機用部材の物性に直結しており、25年以上のナノ組織解析技術を通した研究実績から、新しい材料開発をユニークに推し進める視点を身に着けています。チタン合金の600℃の壁を打ち壊すことができるコンセプトを手にした今、関連企業様との幅広いコラボレーションの可能性を模索したいと考えています。2025年からの1年間で結晶回転の起きない新耐熱材料の開発も進めていきます。