においバイオセンサを実環境での活用へと展開
においを計測するセンサ技術はこれまでに様々研究開発が進められてきました。しかし、それらを活用して実社会での応用利用がなされた例はそれほど多くありません。また、バイオセンサ技術の研究開発も盛んに行われていますが、においセンサ分野での実用化には様々な課題が残されています。本研究を通じて、より多くの人にとって使いやすいにおいバイオセンサを開発し社会実装することで、様々な分野でのにおい情報活用を実現します。
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においを計測するセンサ技術はこれまでに様々研究開発が進められてきました。しかし、それらを活用して実社会での応用利用がなされた例はそれほど多くありません。また、バイオセンサ技術の研究開発も盛んに行われていますが、においセンサ分野での実用化には様々な課題が残されています。本研究を通じて、より多くの人にとって使いやすいにおいバイオセンサを開発し社会実装することで、様々な分野でのにおい情報活用を実現します。
最終用途例
APPLICATION
水道水に含まれるカビ臭は微量でも大きな問題となりますが、水源地などで本センサシステムを活用することで、カビ臭発生の長期的モニタリングを実現し、においの第1次スクリーニングとしての活用が期待されます。
強み
私たちの研究グループが保有している昆虫細胞型においセンサは、センサとして必要な機能が培養細胞内に遺伝子導入されているので、継代培養をすることで長期間にわたりセンサ利用することが可能です。細胞の継代培養を自動化する機能をシステムとして組み込むことで、長期でのにおいモニタリングを実現します。
テクノロジー
私たちの研究グループでは、昆虫の嗅覚受容体を発現した培養細胞を利用することで、においを検出するセンサ素子である「センサ細胞」を開発しており、複数の系統化された細胞を保有しています。このセンサ細胞は周囲に存在するにおい分子濃度に応じて蛍光強度変化を示し、においを蛍光として高感度に検出することができます。
センサ細胞のにおい分子に対する応答を利用して、においの識別やにおい成分の濃度を定量することができます。複数の異なるにおい受容体を発現したセンサ細胞のそれぞれの応答をパターンとして多次元データ解析することで、においを識別することができます。また、能動センシングなどの計測技術を活用することで、においに含まれる各成分濃度を定量することもできます。
共同研究仮説
人は水道水のカビ臭には鋭敏な感覚を持っています。したがって、カビ臭発生時の迅速な対処は重要であり,定期的な検査など多大なコストがかけられています。本研究の昆虫細胞利用型の匂いバイオセンサを活用してカビ臭モニタリングすることで、カビ臭を迅速に検出し、その対処に役立てられる可能性があります。
イベント動画
研究者
2019年9月 東京工業大学工学院情報通信系 博士課程修了
2017年4月〜2020年3月 日本学術振興会 特別研究員
2019年10月〜2020年3月 東京工業大学科学技術創成研究院 特別研究員
2020年4月〜2022年7月 東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員
2022年8月〜現在 東京大学先端科学技術研究センター 特任助教