2024年度公募 seeds-5227 - 【】 安価・低毒・ユニークな機能を持つ非鉛光電変換材料の開発
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

光電変換技術の革新によるデッドスペース利用やIoT普及の推進

塗布型ビスマス・アンチモン系半導体が拓く光電変換の未来

ペロブスカイト太陽電池の性能向上は目覚ましい一方で、有毒な鉛を含み、かつ水に溶け出しやすいといった問題があります。ペロブスカイト太陽電池と同様に塗布プロセス可能・フレキシブルな有機太陽電池も有力ですが、合成の都合上高価になりやすいことや酸素耐性の問題があります。これらの問題に対応するため、塗布プロセスで作製可能なビスマス(Bi)・アンチモン(Sb)系光電変換材料を開発することで、身近なデッドスペースを利用した光電変換の新市場開拓を目指します。また、提案者が独自開発した『波長センシング』可能な光電変換デバイスにより、エネルギー変換だけでなく光・イメージセンシング業界にも革新を起こします。

USE CASE

最終用途例

塗布型太陽電池、光検出器

USE CASE 01① 塗布型太陽電池

APPLICATION

APPLICATION

薄膜ならではのコンパクト発電

建物の壁面や耐荷重の低い屋根、自動車など曲面の屋根など、我々の身の回りに大量に存在するデッドスペースを利用した発電デバイスとして利用します。

MARKET

MARKET

太陽電池市場におけるコンパクト発電需要を想定

メガソーラーのような大型発電施設ではなく、薄膜ならではの都市や身の回りのデッドスペースを活用するためのデバイス需要を狙います。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

高耐久・安全な光電変換材料で長期にわたり安心して使えます

年々、有害物質の環境への排出規制や、社会からの風当りは厳しくなっています。長期的に社会に親和する光電変換材料を創成します。

USE CASE 02② 光量・色の両方を検知できる光検出器

APPLICATION

APPLICATION

イメージセンサーやカラーセンサー

工場のIoT化に伴い、製造ラインをモニタリングするイメージセンサーやカラーセンサーを、高解像度化あるいはコンパクト化する新原理の光電変換デバイスです。

MARKET

MARKET

IoTやイメージング関連業界での光検出器の高機能化

近年、工場の製造設備およびデータ収集の自動化が多くのメーカーで検討されており、今後マーケットの大幅拡大が予想されます。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

多様な製造ラインへの柔軟な組み込みに有利です

液晶フィルターを使わずに1セル多色検出ができれば、デバイスの薄膜化・コンパクト化により、製造ラインの微細な箇所への導入が容易になります。

STRENGTHS

強み

低毒化・安定化により社会適合性がアップ

STRENGTHS 01

低い毒性、溶出しにくい構造

BiやSbは鉛に比べ大幅に低毒であり、例えば致死量は鉛の1/6程度です。また、塗布プロセスで作れるため鉛ペロブスカイトと同様の価格(シリコンの1/5~1/3程度)と予想されます。また、材料の化学結合の性質上、高い耐水性が期待されます。

STRENGTHS 02

理論計算で優れた新物質に着目

Bi,Sb系材料の問題は、効率が低いことです。従来注目されてきたBi,Sbハロゲン化物材料は理論物性において、根本的に鉛ペロブスカイト材料に劣っていました。そこで、再度材料構造の選定に立ち戻り、鉛ペロブスカイトと類似の優れた特長である”直接遷移型バンド構造”を有する新物質に注目しました。

TECHNOLOGY

テクノロジー

独自技術でBi,Sb系光電変換材料の合成方法・機能を開拓!

TECHNOLOGY 01

材料のポテンシャルを引き出す膜結晶化法を開発

本研究で注目する擬ペロブスカイトは、組成に硫黄とハロゲンを含む”複合アニオン型物質”という、材料群としては非常に新しいものです。ゆえに、高品質に作る合成・成膜プロセスがありませんでした。太陽電池の性能は、材料の品質(結晶性や純度、ラフネスなど)に強く影響され、ポテンシャルがある材料でもプロセスが悪いと性能が全く出ません。これを解決するため、気固相反応を用いた高結晶化プロセスを開発しました。これにより、モデル物質として用いたSbSIにおいて、結晶粒径、および光誘起伝導度(太陽電池性能に重要な電荷の動きやすさの指標)を従来よりも30倍程度も向上させることに成功しました。

TECHNOLOGY 02

SbSI光センサー:光の強さに加え、『色』も見分ける新機能

擬ペロブスカイト構造は、優れた太陽電池性能が期待されますが、一方で1次元構造を持つSbSIは非常に特異な機能を示します。それは、光の色によって電圧が変化する”波長応答機能”です。従来の光検出器は、光をあてた時の出力電流から光の強度を検知できます。一方でSbSI光検出器は、光の強度だけでなく、その出力電圧から光の色を読み取れます。これはデバイス内での可逆な光化学反応により引き起こされる全く新しい原理によります。

PRESENTATION

共同研究仮説

安定な非鉛材料の開発研究により、光電変換材料の新たな社会実装のカタチを提供する

共同研究仮説01

Bi,Sb系擬ペロブスカイトの成膜プロセス開発とデバイス化

新材料に特化したデバイス最適化

材料やプロセス開発における化学的アプローチは我々の研究の範疇です。一方で、デバイス構造や作製条件の最適化には、様々な検討や知見の蓄積が必要であり、デバイス作製技術を有する企業との共同が重要と考えられます。素材業界やエレクトロニクス業界など、再エネに興味を持たれている企業様との共同が考えられます。

共同研究仮説02

1D型SbSIカラーセンサーの開発

カラーセンシングモジュールの開発

我々はシンプルな単接合型の光電変換デバイスを作成しており、材料の最適化や物性解明を行ってます。一方で、カラーセンサーやイメージセンサーに用いるためのモジュール化技術に関しては、専門的なデバイス加工技術を持つメーカー様との共同が重要と考えられます。

RESEARCHER

研究者

西久保 綾佑 大阪大学大学院工学研究科 助教
経歴

経歴 2021年~現在:大阪大学大学院工学研究科・助教, 2018~2021年:JSPS特別研究員DC1
主な実績 原著論文40報以上, 応用物理学会M&BE分科会奨励賞(2023年), 井上研究奨励賞(2022年), 応用物理学会講演奨励賞(2021年), プレスリリース3件
Research Map: https://researchmap.jp/rnishikubo

研究者からのメッセージ

日本の強み―エレクトロ二クスと素材技術―を生かし、光電変換の新たな産業シーズを開拓しましょう

近年、太陽光パネルや半導体のシェアは大半が海外メーカーが占めています。しかし、日本企業の技術的優位性そのものが失われたわけではないと思っております。日本企業には世界をリードできる素材技術やエレクトロニクスの高度な技術があり、産学連携の共創効果により、薄型太陽電池や光デバイス分野で革新を起こしていきましょう。