2022年度公募 seeds-2560 - 【近畿】 高真空・高温などの極限・特殊環境下における潤滑剤としてのイオン液体の開発
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VISION

ビジョン

「潤滑」という観点から日本産業をけん引する航空宇宙や半導体、風力発電分野発展への貢献

航空宇宙産業、半導体産業、風力発電産業等の発展を支える

航空宇宙産業、半導体産業、風力発電産業の発展は、稼働環境に適した潤滑剤を見つけるだけではなく、耐用年数も非常に重要です。例えば、航空宇宙産業の課題として、宇宙探査機は星間空間といった深宇宙探査を行うために高寿命が求められ、洋上風力発電機においては、建設コストが陸上よりも大幅に増加し、不具合が発生するとメンテナンスや部品交換作業に多大な費用が必要となります。したがって、高性能かつ高寿命な潤滑システムを構築することで、日本産業を支えることを目指します。

USE CASE

最終用途例

極限・特殊環境における高寿命の潤滑システムの構築

USE CASE 01深宇宙探索へ向けた宇宙探査機軸受用潤滑剤の開発

APPLICATION

APPLICATION

高真空・高低温における数十年単位で安定稼働する宇宙探査機

宇宙環境は、真空であることはもちろん、場所により温度も大きく変わることがわかっています。そのような環境で長期間低摩擦・低摩耗を発揮する潤滑剤を開発します。

USE CASE 02風力発電機に使用される軸受用潤滑剤の開発

APPLICATION

APPLICATION

高寿命かつコンタミの影響を受けない潤滑剤の開発

風力発電の耐用年数の延長には潤滑剤による安定稼働が必要です。また、周囲温度やコンタミの混入の影響も考えられるため、そのような環境で低摩擦・低摩耗を発揮する潤滑剤を開発します。

STRENGTHS

強み

物理的に非常に安定な潤滑剤

STRENGTHS 01

温度や真空度に左右されない潤滑性能

通常の潤滑剤は、使用温度や真空度によって潤滑性能が大きく変化しますが、今回使用するイオン液体は、幅広い温度域で安定な物質であり、低蒸気圧性なので真空でも存在できます。実際に、温度を大きく変えても摩擦係数が0.01以下を示す超低摩擦現象の発現が確認されています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

極限・特殊環境における高い潤滑特性

TECHNOLOGY 01

真空・高温雰囲気における低摩擦発現

本研究で使用するイオン液体は、高真空や高温雰囲気においても低摩擦、特に既存潤滑剤と比較しても良好な特性であることがわかっています。この結果は、真空や高温雰囲気で使用される機械システムへの応用に可能性があります。DOI:10.1299/jamdsm.2020jamdsm0032、DOI:10.18914/tribologist.21-00014

TECHNOLOGY 02

コンタミや電流の影響を受けにくい潤滑剤

潤滑剤の性能劣化の一つには摩擦雰囲気中の水分などがコンタミとして混入することが挙げられています。本研究で使用するイオン液体は、疎水性を高めることで、高湿度環境下でも低摩擦を維持することがわかっており、水分が混入しやすい環境においても機械システムへも応用も期待できます。また導電率が高いことから摩擦試験片の電食を伏せく可能性があります。

PRESENTATION

共同研究仮説

日本産業をけん引する分野における潤滑システムの構築

共同研究仮説01

宇宙空間の実環境を想定したイオン液体の応用

実際の真空度、温度、荷重条件に従った試験

現在、イオン液体は高いポテンシャルを持っていると言われ、高温や真空での試験が実施されてきました。一方で、これらはある一定条件での試験であり、実環境の条件とは異なり、寿命試験なども行われていません。したがって、実際の機械システムの設計・潤滑に携わる企業様を探しております。

共同研究仮説02

風力発電機の実環境を想定したイオン液体の応用

コンタミ試験や耐久試験、電食試験

イオン液体にコンタミとして塩水が混入した時の摩擦試験や摩耗試験を行う。また、電流が流れることによる摩擦試験片の電食が危惧される。したがって、基礎的な潤滑特性の結果だけでなく、実際の摩擦条件や摩擦材料を模擬した実験も必要であるため、実際の機械システムの設計・潤滑に携わる企業様を探しております。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

川田将平 関西大学(助教)
経歴

■経歴
2015年4月~2018年3月 日本学術振興会 特別研究員DC1
2018年3月 東京理科大学 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程 修了 博士(工学)
2018年4月~2021年3月 東京理科大学 工学部 機械工学科 助教
2021年4月〜現在 関西大学 システム理工学部 機械工学科 助教

■受賞歴
2015年9月 ITC Tokyo 2015 Poster Award for Young Tribologists
2018年3月 電気通信大学ナノトライボロジー研究センター第二回シンポジウム 優秀ポスター賞
2019年5月 日本表面真空学会 講演奨励賞 新進研究者部門
2020年4月 日本機械学会賞(論文)
2020年5月 日本トライボロジー学会奨励賞
2022年4月 日本機械学会奨励賞(研究)

■個人HP
https://sites.google.com/view/s-kawada908/home

研究者からのメッセージ

従来と異なる奇抜な潤滑システムの構築を目指して

イオン液体は、物理的に安定で非常に興味深い物質です。潤滑剤としてのポテンシャルも非常に高いと期待していますが、まだまだ基礎研究の段階を脱していません。今後は、実用化に向けて従来にはない機能を持った潤滑システムの構築を目指しています。