若手研究者産学連携
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ビジョン
本研究では、現在、機能性多糖類のモデルケースとしてフルクタンを蓄積するオオムギを開発しています。フルクタンは、飼料に豊富に含まれることで家畜の嗜好性が向上することが分かっています。このフルクタンを蓄積するオオムギを開発することで、より健康な家畜育成・家畜のブランド化等に貢献します。
また、本研究を通じて、遺伝子改変技術を活用した機能性オオムギの開発手法が確立されれば、10年以上を要する従来の育種による手法に比較して、3年程度の短期間でオオムギの開発が可能になります。これにより、企業・農家の目的に合ったオオムギの開発・生産・流通を加速させます。
このようにオオムギの高付加価値化に貢献することで、国内におけるオオムギ生産・流通の活性化に寄与します。
最終用途例
強み
本研究を担当する研究者が属する岡山大学は、世界中から収集されたオオムギ遺伝資源を有しており、多様性解明に向けたゲノム研究等に取り組んでいます。一方、本研究を担当する研究者は、オオムギの遺伝子改変技術の高度化や有用遺伝子解析に取り組んでいます。本研究は、これら研究資源を活用して得られたオオムギの低デンプン変異体および形質転換技術を活用します。
テクノロジー
本研究を担当する研究者は、独自に開発したスクリーニングシステムにより、デンプン関連のオオムギ突然変異体を収集しています。これまでに、本来の野生型のデンプン粒子とは大きく異なる突然変異体を5系統単離し、これらの変異体の交雑により得た二重変異体から、デンプンの蓄積量が小さい変異体(starchless変異体)を獲得しました。
このstarchless変異体は、光合成産物である糖がデンプンに占有されずに過剰に存在しているため、機能性多糖類への容易な代謝誘導が期待されます。図に示すヨウ素で染色した穀粒の断面からも、starchless変異体はデンプンが少ないため、ヨウ素呈色が薄いことが分かります。
本研究を担当する研究者は、オオムギの形質転換およびゲノム編集技術の高度化に取り組んでいます。これまでに、それらの遺伝子改変技術を可能にするオオムギ遺伝子座TFAを同定しました。低デンプン変異体は遺伝子改変が難しい系統ですが、交雑によりTFAを導入することで、遺伝子改変が可能な低デンプンオオムギを作出できます。また、このTFAは他のオオムギ品種にも導入可能であり、多様な品種で遺伝子改変効率の向上が期待できます。
共同研究仮説
モデルケースとしてフルクタンを蓄積するオオムギの開発を進めて、開発手法の確立、知見の蓄積を目指します。その上で、共同研究相手と連携して、目的に合った機能性多糖類を蓄積するオオムギの品種開発、成分分析、試験栽培、商品開発を、一気通貫で進めます。試験栽培には、大学が保有する閉鎖系育成室を使用します。
研究設備
イベント動画
研究者
2012年 2月 岡山大学資源植物科学研究所 助教
2018年 2月 同 准教授
実績(受賞歴・特許実績等)
International Barley Mutant Workshop Best Poster Award (2018/06)
特願2016-124749・形質転換感受性のオオムギの作出方法(2016/06)
学会発表歴(招待講演)
Plant and Animal Genome XXV (2017/01)
第16回NC-CARP産学連携コンソーシアム講演会(2018/06)
論文
Selection of transformation-efficient barley genotypes based on TFA (transformation amenability) haplotype and higher resolution mapping of the TFA loci. (2017/04)
Genomic regions responsible for amenability to Agrobacterium-mediated transformation in barley. (2016/11)
2005年4月 岡山大学資源植物科学研究所 助手
2016年4月 同 准教授
実績(受賞歴・特許実績等)
イネ科植物及びその作製方法 (特願2020-169225) (2020/10)
第125回日本育種学会優秀発表賞 (2014/03)
学会発表歴(招待講演)
第65回 日本食品科学工学会 シンポジウム (2018/08)
おかやまバイオアクティブ研究会 第45回シンポジウム (2014/06)
7th International Rice Genetics Symposium (2013/11)
論文
Scientific Reports(Imaging Amyloplasts in the Developing Endosperm of Barley and Rice)(2019/03)
Plant Physiology(Amyloplast Membrane Protein SUBSTANDARD STARCH GRAIN6 Controls Starch Grain Size in Rice Endosperm)(2016/01)