2025年度公募 seeds-008-0040 - 【九州】 水中のPFASを一挙に除去・無害化する金属ナノ粒子×ゲル複合材料の開発
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

PFASを省コスト・簡便に除去・無害化する技術で、安全な水資源の提供に貢献

卑金属ナノ粒子×ゲルの複合材料と通水システムにより、PFASをその場で除去・無害化

難分解性のポリ/パーフルオロ化合物(PFAS)による環境汚染と健康懸念が広がっています。特に、生物にとって不可欠な水資源のPFAS汚染が懸念され、法による水質や輸出入の規制が全世界で進んでいます。従来は吸着や分離による除去が主流でしたが、高濃度残渣の発生による二次汚染が不安視されています。
本シーズでは、安価かつ地上に豊富に存在する卑金属である鉄ナノ粒子と、水になじみやすいゲルを複合化することで、高活性なPFAS分解機能を付与した新規材料と連続浄水システムを提供します。これにより、安価・安全・省エネルギーにPFASを除去しその場で無害化できる新しい浄水器や水処理技術の構築を目指します。

USE CASE

最終用途例

高エネルギーや特殊設備が不要で、吸着残渣からの二次汚染を回避できる、PFAS汚染水の連続浄化技術

USE CASE 01家庭用浄水器

APPLICATION

APPLICATION

「誰でもどこでも」PFASを除去し無害化可能に

PFASの除去・分解できる浄水カートリッジを提供します。高い還元力をもつゼロ価鉄ナノ粒子により、常温常圧で通水するだけで吸着から分解を一挙に達成します。高濃度残渣が生じないので漏洩の心配がありません。

MARKET

MARKET

浄水器市場におけるPFASの無害化技術

従来の浄水器は吸着除去するまででしたが、本シーズでは吸着PFASをさらに無害化するという付加価値を提供し、
これまでにない新規家庭用浄水器を開拓します。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

消費者の水資源に対する健康不安を抜本的に解決

「誰でもどこでも」PFASを除去・無害化できる家庭用浄水器で、水資源に対する不安を払拭し、人々のQOLの向上に貢献します。

USE CASE 02工業用純水製造装置

APPLICATION

APPLICATION

PFAS除去とその場無害化による、安全で持続的な工業プロセス

PFASを無害化できる純水製造装置を提供します。粒子や多孔体など、
ニーズに合わせた充填材を提供します。
高温・高圧設備は不要です。高濃度残渣を発生しないため、
従来の吸着材に比べて交換頻度を下げられます。

MARKET

MARKET

ものづくりのための純水製造市場におけるPFASの無害化技術

従来は高濃度残渣の無害化のため、外部業者による処理が必要でした。
本シーズでは、オンサイトでPFASを無害化でき、交換頻度の削減による省コスト・省力化が見込めます。
プロセスの信頼性向上にもつながります。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

PFASを排出しないものづくりで、人々の信頼を獲得

事業者自身でPFASを除去・無害化まで行うことができれば、持続可能なものづくりに資することができ、ステークホルダーや消費者からの大きな信頼性獲得に繋がります。

USE CASE 03廃水・環境水用水処理装置

APPLICATION

APPLICATION

PFASの漏洩を防ぎ、安全で持続的な浄水プロセスを提供

PFASの除去し無害化できる水処理装置を提供します。
既存の浄化槽や吸着塔に導入できます。高温・高圧設備は不要です。
高濃度残渣を発生しないため、PFAS漏洩の危険性が少ないです。

MARKET

MARKET

水処理設備市場においてPFAS高濃度残渣を発生しない新規装置

従来は高濃度残渣の無害化のため、外部業者による処理が必要でした。
本シーズでは、吸着材上でPFASのその場分解が可能であるため、漏洩による二次汚染の心配がありません。

IMPLEMENTATION

IMPLEMENTATION

PFASの排出を食い止め、清浄な水環境の構築に貢献

廃水中のPFASを除去・無害化までできれば、安全な水の獲得と高濃度残渣の発生の抑制を両立でき、社会の水質環境の保全に繋がります。

STRENGTHS

強み

鉄とゲルの複合材料により、PFASを効率的に分解・無害化する浄水技術

STRENGTHS 01

安価・安全

本シーズでは、地球上に豊富に存在する鉄と、合成材料であるハイドロゲルを用いて、
非常に安価かつ安全な原料からPFAS分解用複合材料を開発します。

STRENGTHS 02

省エネルギーに分解

非常に高い還元力をもった鉄をゲルに包み込むことで、ナノサイズを保ったまま安定に固定できます。
これにより、常温・常圧でPFASを分解し、無害化できます。

STRENGTHS 03

二次汚染を回避

PFAS汚染水と接触させることで、吸着除去と分解を一挙に達成します。
これにより、材料上にPFASが残存し、二次汚染につながる可能性を回避できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

PFASを分解可能な金属ナノ粒子をゲルと複合し、高活性かつ安定な水処理複合材料を開発

TECHNOLOGY 01

ゲルの網目に金属ナノ粒子を”くるむ”

親水性のモノマー原料を分子レベルで架橋することで、ハイドロゲルを生成させ、そこに金属ナノ粒子を担持します。ゲルはナノサイズの高分子網目をもち、そこに金属を担持すれば、ナノサイズの金属粒子を調製できます。このとき鎖と金属表面は多点で相互作用しており、ゲルから金属ナノ粒子が漏出することはありません。また水によくなじむため、水中のPFASもよくゲル内に拡散でき、金属の効率的な作用が期待できます。
これまでに数ナノメートルのPdナノ粒子の担持と、漏れの無い連続触媒反応に成功しています。この金属ナノ粒子としてPFAS分解能をもつナノスケールゼロ価鉄を担持することで、水中のPFASの効率的分解を狙います。

TECHNOLOGY 02

水を”流しこむ”孔をつくり、処理速度を向上

相分離を利用することで、ゲルの作製と孔を形成させます。この孔はマイクロメートルの比較的均一なサイズをもち、大きな表面積と空隙率をもちます。これを空のステンレス管やガラス管に作製すれば、水を”直接流通できる”カラムとなります。水処理における処理速度の向上やスケールアップにおいて、効果を発揮します。
これまでに、水中のPFASを連続で吸着できる流通カラムの開発に成功しています。この多孔質ゲルからなるカラムをPFASの連続分解に適用することで、より実践的な水浄化プロセスの構築が期待できます。

PRESENTATION

共同研究仮説

社会実装に向けた実証試験・改良・新ニーズ探索

共同研究仮説01

複合材料のスケールアップ

浄水器や浄水設備のための複合材料の製造方法の検討

家庭用の小型浄水器から、工業用の浄水設備まで、ニーズに合わせた複合材料を製造するためのスケールアップ検討などを共に行って頂ける共同研究先を求めています。

共同研究仮説02

ニーズの探索

実利用を想定した試験研究・開発

本技術では、まず水中のPFASを材料上に吸着・濃縮し、その場で分解します。そのため、低濃度から高濃度廃液まで対応が可能です。

その他、社会・産業のニーズにマッチしたターゲットへ共に展開してくださる共同研究先を求めています。

大スケールでの水処理プロセスの実証試験

本技術ではカラム型の水浄化を基盤としているため、実践的な大規模水処理への展開を見据えています。

その際に求められる技術課題やスペック等について、共に社会実装を目指してくださる共同研究先を求めています。

RESEARCHER

研究者

松本 光 九州大学大学院工学研究院化学工学部門 助教
経歴

■経歴
2016.3 九州大学 卒業
2021.3 九州大学大学院修了・博士(工学)
2018.4~2021.3 JSPS 特別研究員(DC1)
2021.4~2023.3 旭化成株式会社 技術開発職
2023.4~現在  九州大学大学院 工学研究院 助教

■特許
特許第7231574号「新規な多孔性架橋ポリマー、それを用いた固定化触媒および装置 」(登録日:2023/02/20)

■受賞歴
化学工学会年会最優秀学生賞 2021
化学工学会学生賞審査会学生賞 2019 他3件

  • 専門領域

    ・反応工学
    ・触媒化学
    ・高分子材料
    ・プロセス化学
    ・吸着・分離

  • 共同研究の経験がある企業/業界

    製薬メーカー

研究者からのメッセージ

安心で安全な水資源で人々の暮らしに貢献する

水はすべての生きとし生けるものに必須の物質です。いま、その貴重な水資源がPFASに汚染され、人々の健康をおびやかしつつあります。

PFASに対する世界的不安が、私たちの暮らしを大きく変えてしまう、そんな未来を変えたいと思い本シーズの研究開発に取り組んできました。
安全で安心な水資源を確保することの重要性はSDGsにも掲げられています。

これからの持続可能な社会のためには、「省エネ・省コスト・誰でもどこでも」PFASを無害化できる、そんな未来が求められています。

私たちと一緒に明るい未来をつかむため協力してくださる企業様と出会えることを強く願っています。