2025年度公募 seeds-008-0035 - 【東北】 熱マネージメントによる高輝度・高安定なペロブスカイト色変換膜の開発
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

マイクロLEDは材料的な壁に直面し、赤色の高効率化・低コスト化達成が課題

超スマート社会に向けたマイクロLEDディスプレイで豊かな社会生活・地域格差の是正に貢献

マイクロLEDディスプレイは赤色LEDの高効率化・低コスト化が喫緊の課題とされています。本事業では、①フィルター不要の波長変換(色変換)技術、②ペロブスカイトナノ結晶の劣化原因解明、③鉛フリーペロブスカイト材料の高性能化という3つのアプローチにより、高輝度・高安定なマイクロLEDの開発を目標に研究を推進します。これらの技術は、銀ナノ構造を用いた熱マネージメントと表面プラズモン効果の活用により、デバイス寿命の向上と環境規制への対応を目指しています。

USE CASE

最終用途例

次世代社会を支え、地域格差を是正するディスプレイデバイス

USE CASE 01超小型ウェアラブルAR/VRデバイス

APPLICATION

APPLICATION

眼鏡やコンタクトレンズ型の、超軽量・高精細なARデバイス

現実世界に違和感なく情報を重ねて表示し、長時間の装着でも疲れないデバイスを介して、ナビゲーションや作業支援をハンズフリーで行える社会の実現が期待されます。

USE CASE 02遠隔医療・教育支援システム

APPLICATION

APPLICATION

専門医の手術や熟練技術者の指導を高精細な映像で遠隔地に再現

専門家が不足する地域でもリアルタイムで高度な医療や教育が受けられるようになり、地域による情報・技術格差の是正に繋がることが期待されます。

STRENGTHS

強み

ナノ領域での材料融合と熱設計で効率・コスト・デバイス寿命
すべてにアプローチ

STRENGTHS 01

高効率と低コストの両立

高い外部量子効率を持つ青色LEDと波長変換効率を組み合わせる独自技術を活用しています。既存の技術と比較して低コスト化を実現する塗布技術や、InGaN系LEDの集積化において課題であった赤色の発光効率の低さを解決し、1000時間以上のデバイス寿命と外部量子効率40%以上の両立を目指しています。

STRENGTHS 02

長期間安定動作と高い信頼性

金属ナノ構造によるサーマルマネジメント技術により、ペロブスカイト材料の最大の弱点である寿命の問題を改善し、電流注入型LEDに比べて長期間にわたる安定動作を実現しています。

STRENGTHS 03

環境規制への対応力

鉛フリーペロブスカイト材料の安定化に取り組むことで、環境規制に対応し、持続可能な材料技術の開発も進めています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

波⻑変換技術による⾼輝度⾚⾊ペロブスカイトナノ結晶LEDを新規開発

TECHNOLOGY 01

ペロブスカイトナノ結晶膜による高輝度・長寿命の
⾚⾊変換LED

青色に発光する窒化物半導体LEDの上にペロブスカイトナノ結晶膜を形成することで、高輝度な波長変換型の赤色LEDを新たに開発しました。この方式は、ペロブスカイト材料に直接電流を流さず、青色光を赤色光に変換するため、素子の劣化を抑えられます。その結果、従来の電流注入型LEDと比較して輝度が1桁向上し、高輝度でありながら世界最高水準の長いデバイス寿命を達成しました。また、製造プロセスには安価な塗布技術を用いるため、低コスト化も実現可能です。この技術により、高輝度・長寿命・低コストなフルカラーLEDの提供が期待されます。

PRESENTATION

共同研究仮説

ペロブスカイトナノ結晶の高精細塗布を用いた高輝度・高安定・低コストな
マイクロLEDの実現

共同研究仮説01

高精細印刷技術でのマイクロLEDの実現

実用装置でのマイクロLED作製プロセスの実証

インクジェット装置等を活用し、量産を見据えた高精細パターニングプロセスの条件最適化を共同で行いたいと考えております。低コストかつ安定的な生産技術を共に確立し、本技術の事業化を加速させたいと考えております。

共同研究仮説02

マイクロLEDの高性能化に向けたナノ結晶封止用ポリマー / 青色マイクロLEDアレイへのペロブスカイトナノ結晶膜の実装

更なるペロブスカイト発光素子の安定化に向けて

ペロブスカイト材料の量産化と高信頼性化に向け、デバイスを保護するポリマーや封止材料を共同開発を考えております。電気系の知見と化学材料技術を融合させ、耐久性の高い製品開発を目指したいと考えております。

波長変換型マイクロLEDの独立駆動に向けて

本研究の波長変換ペロブスカイト材料を用いた試作デバイスを共同開発したいと考えております。LEDドライバー技術と組み合わせ、開発から評価までを共に行うことで、次世代ディスプレイの早期実用化を目指します。

LABORATORY

研究設備

理論・シミュレーションからデバイス作製・発光特性評価まで

LABORATORY 01

光・電磁波・熱に関する多くのシミュレーション技術

有限差分時間領域法(FDTD)や厳密結合波解析(RCWA)によるナノ領域での光学シミュレーション、有限要素法解析(FEM)による構造解析、平面波展開法(PWE)によるフォトニックバンド構造計算が可能です。

LABORATORY 02

様々なニーズに応える顕微分光測定

自作の顕微分光測定装置を用いて様々な材料の発光特性を多角的に評価できます。角度分解測定、時間分解測定、低温測定、反射・透過測定、積分球による発光効率評価など測定できますが、ニーズに合わせてカスタマイズも可能です。

LABORATORY 03

ペロブスカイトの塗布などのプロセス装置

合成されたペロブスカイト材料をスピンコートで塗布し、青色LEDに搭載して波長変換型のLEDを作製するプロセスを実施しています。

RESEARCHER

研究者

大音 隆男 山形大学大学院理工学研究科数理情報システム専攻・准教授(PI)
経歴

2009.3 京都大学工学部電気電子工学科卒業
2011.4 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2014.3 京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程修了:博士(工学)
2014.4 上智大学理工学部プロジェクト博士研究員
2017.10 山形大学大学院理工学研究科助教:日本学術振興会卓越研究員
2021.1 TI-FRISフェロー
2023.4 山形大学大学院理工学研究科准教授

【受賞歴】
山形県科学技術奨励賞(県知事表彰:2025)、インテリジェント・コスモス奨励賞(2025)、応用物理学会 Poster Award (2019)、応用物理学会講演奨励賞(2009)等、9件

研究者からのメッセージ

次世代ディスプレイの未来を共に創る、ペロブスカイトマイクロLEDの熱設計と塗布技術

Society 5.0が求める次世代ディスプレイの実現には、マイクロLED技術が不可欠です。しかし、その普及は「赤色LEDの高効率化と低コスト化」という大きな壁に阻まれています。私たちはこの根本課題を解決すべく、青色LEDの光をペロブスカイトで赤色に変換する独自の技術を開発しました。本事業では、さらにサーマルマネジメント技術で弱点を克服した、高輝度・長寿命・低コストな新方式を開発します。この革新的技術のポテンシャルを最大限に引き出し、社会実装へと繋げるため、貴社の技術と私たちのシーズを融合させ、ディスプレイ・材料・製造プロセスの知見を結集し、共に市場をリードする製品を創り上げ、未来の社会を豊かにしたいと強く願っております。