若手研究者産学連携
プラットフォーム
研究の成熟度
TRL1
基本原理・
現象の確認
基礎研究
TRL2
原理・現象の
定式化
基礎研究
TRL3
実験による
概念実証
応用研究
TRL4
実験室での
技術検証
応用研究
TRL5
使用環境に
応じた技術検証
実証
TRL6
実環境での
技術検証
実証
TRL7以上
実環境での
技術検証
※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度
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ビジョン
最終用途例
APPLICATION
カロテノイドやポリフェノールなどの機能性脂質は、有用な生理活性を有している一方で、体内吸収性が低いことが産業利用の制約となっている。異性化技術の活用により、これらの体内吸収性を飛躍的に向上できる。
APPLICATION
抽出や製剤化(乳化・粉末化)などの前工程または同時に対象化合物を異性化し、加工に適した物性へ改変することで、製造コストを低減できる。
APPLICATION
体内吸収性の高いシス型カロテノイドを豊富に含む畜産・水産飼料を用いることで、効率的に卵や肉を色揚げできる。
強み
これまで機能性脂質の異性化は、バッチ式の加熱法で行われてきた。
しかしこの方法は効率が低く、大規模設備を要する。
我々が開発した連続式加熱法は高効率で、既存設備を活用できる点に特徴がある。
我々は植物に広く分布する硫黄化合物(ポリスルフィド類やイソチオシアネート類)が、二重結合の異性化を促進する触媒として作用することを明らかにした。
この知見を活用して、化学薬品フリーの効率的な異性化技術を開発した。
異性体の特性を生かした素材開発において、精密な分析は不可欠である。しかし異性体の分析はしばしば困難であり、開発のボトルネックとなってきた。
我々は順相HPLCなどを用い、高精度な異性体分析技術を開発した。
テクノロジー
シリカゲルと天然由来イソチオシアネート類を組み合わせることで、
従来の均一系触媒では困難であった再利用性と高い反応効率を両立した
固体異性化触媒を開発した。
本触媒は複数回の反応に繰り返し使用しても活性の低下がほとんど見られず、
環境負荷とコストの両面で優れた特性を示す。
さらに、加熱式フローリアクターを用いた連続異性化プロセスを設計・構築し、
従来のバッチ式と比較して短時間で高収率かつ高選択的に
目的の異性体を得ることに成功した。
この技術により、省エネルギーかつスケーラブルな製造が可能となり、
産業応用に直結する高効率な異性化プラットフォームの確立に寄与する。
シス型化合物はトランス型より熱力学的に不安定であるため、
長期保管中にトランス型へ異性化してしまう。
我々は製剤処方を工夫することでシス型を安定化する技術を開発した。
具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリビニルピロリドンを
用いた製剤化により、シス型機能性脂質が長期保管後もトランス型へ
異性化しないことを実証した。
共同研究仮説
異性化処理によって対象化合物の吸収性や生理活性を高め、さらに物性(加工適性)を改変できるかを体系的に検討し、
その有効性と応用可能性を明らかにしたい。
研究者
2010年3月 北海道大学大学院(修士)卒業
2010年4月 カゴメ株式会社 入社
2016年3月 博士(工学) 取得
2018年4月 名城大学 助教
2020年9月 JST A-STEP(育成型) 代表者
2022年4月 名城大学 准教授
2023年3月 JST A-STEP(本格型) 代表者
https://researchmap.jp/Masaki_Honda
・食品科
・分析化学
・プロセス化学
食品企業、化粧品企業、水産・畜産飼料企業
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