2025年度公募 seeds-008-0014 - 【東海】 「異性化技術」 を活用したバイオ関連素材の高付加価値化
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

異性化技術の活用によるバイオ関連素材の 「高付加価値化」 と 「低価格化」

異性化による体内吸収性向上と物性変化を利用した新たなものづくり

一部の例外を除き、微生物や植物に含まれる化合物の二重結合はトランス型として存在する。
トランス型化合物は高い結晶性と低い溶解性を示し、
これが体内吸収性や加工効率の低さにつながる。
一方、トランス型をシス型に異性化すると結晶性が低下してアモルファス化し、
体内吸収性も飛躍的に向上する。
さらに近年では、カロテノイドなど一部の機能性脂質において、
トランス型よりもシス型の方が抗がん作用や抗肥満作用などの
生理活性が高いことが報告されている。
本研究は、異性化によるこれらの有用な変化を活用した新しいものづくりに挑戦する。

USE CASE

最終用途例

既存品を上回る「高機能」と「低価格」を両立した食品素材・化粧品素材・飼料添加物の創出を目指す

USE CASE 01高付加価値な食品・化粧品素材

APPLICATION

APPLICATION

体内吸収性と生理活性の高い機能性脂質素材

カロテノイドやポリフェノールなどの機能性脂質は、有用な生理活性を有している一方で、体内吸収性が低いことが産業利用の制約となっている。異性化技術の活用により、これらの体内吸収性を飛躍的に向上できる。

USE CASE 02異性化による物性変化を活用し、バイオ関連素材の製造コスト低減を目指す

APPLICATION

APPLICATION

異性化に伴う高溶解化や結晶性低下により、加工効率を向上させる

抽出や製剤化(乳化・粉末化)などの前工程または同時に対象化合物を異性化し、加工に適した物性へ改変することで、製造コストを低減できる。

USE CASE 03畜産・水産物の効率的な「色揚げ剤」の製造を目指す

APPLICATION

APPLICATION

高吸収色揚げ用カロテノイド素材の開発

体内吸収性の高いシス型カロテノイドを豊富に含む畜産・水産飼料を用いることで、効率的に卵や肉を色揚げできる。

STRENGTHS

強み

「高効率異性化制御技術」 と 「高精度な分析技術」

STRENGTHS 01

従来のバッチ式手法から脱却した高効率連続異性化技術

これまで機能性脂質の異性化は、バッチ式の加熱法で行われてきた。
しかしこの方法は効率が低く、大規模設備を要する。
我々が開発した連続式加熱法は高効率で、既存設備を活用できる点に特徴がある。

STRENGTHS 02

天然由来の触媒を利用した高効率異性化技術

我々は植物に広く分布する硫黄化合物(ポリスルフィド類やイソチオシアネート類)が、二重結合の異性化を促進する触媒として作用することを明らかにした。
この知見を活用して、化学薬品フリーの効率的な異性化技術を開発した。

STRENGTHS 03

シス-トランス異性体を高精度に分析可能な技術

異性体の特性を生かした素材開発において、精密な分析は不可欠である。しかし異性体の分析はしばしば困難であり、開発のボトルネックとなってきた。
我々は順相HPLCなどを用い、高精度な異性体分析技術を開発した。

TECHNOLOGY

テクノロジー

高効率異性化技術と不安定な異性体の安定化技術

TECHNOLOGY 01

新規の固体触媒/
フローリアクターを用いた高効率異性化技術

シリカゲルと天然由来イソチオシアネート類を組み合わせることで、
従来の均一系触媒では困難であった再利用性と高い反応効率を両立した
固体異性化触媒を開発した。
本触媒は複数回の反応に繰り返し使用しても活性の低下がほとんど見られず、
環境負荷とコストの両面で優れた特性を示す。
さらに、加熱式フローリアクターを用いた連続異性化プロセスを設計・構築し、
従来のバッチ式と比較して短時間で高収率かつ高選択的に
目的の異性体を得ることに成功した。
この技術により、省エネルギーかつスケーラブルな製造が可能となり、
産業応用に直結する高効率な異性化プラットフォームの確立に寄与する。

TECHNOLOGY 02

不安定なシス型の機能性脂質を 「安定化」 できる
製剤化技術

シス型化合物はトランス型より熱力学的に不安定であるため、
長期保管中にトランス型へ異性化してしまう。
我々は製剤処方を工夫することでシス型を安定化する技術を開発した。
具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリビニルピロリドンを
用いた製剤化により、シス型機能性脂質が長期保管後もトランス型へ
異性化しないことを実証した。

PRESENTATION

共同研究仮説

バイオ関連素材の高付加価値化

共同研究仮説01

バイオ関連素材の高機能化と加工適性の向上

異性化技術の活用可能性評価

異性化処理によって対象化合物の吸収性や生理活性を高め、さらに物性(加工適性)を改変できるかを体系的に検討し、
その有効性と応用可能性を明らかにしたい。

RESEARCHER

研究者

本田 真己 大学院総合学術研究科/理工学部化学教室
経歴

2010年3月 北海道大学大学院(修士)卒業
2010年4月 カゴメ株式会社 入社
2016年3月 博士(工学) 取得
2018年4月 名城大学 助教
2020年9月 JST A-STEP(育成型) 代表者
2022年4月 名城大学 准教授
2023年3月 JST A-STEP(本格型) 代表者

研究者からのメッセージ

異性化技術を活用した次世代ものづくりを共に推進しましょう

異性化技術は、機能性脂質の吸収性や生理活性を高め、加工適性も改変できる革新的な手法です。
私たちは固体触媒や連続フローリアクターを駆使し、効率的かつ環境負荷の少ない異性化プロセスを開発してきました。
これらの技術を活用し、高機能で低コストな食品・化粧品素材、飼料添加物の創出を共に実現し、産業応用の新たな可能性を切り拓きましょう。