2022年度公募 seeds-2672 - 【中国】 高温超電導コイルを用いた非接触給電による超急速充電への挑戦
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VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

低損失化かつ大容量化が可能な「高温超電導コイル」によって充電技術を革新する

蓄電池電車を普及させることで2050年カーボンニュートラルを実現させる

日本における運輸部門のCO2排出量は非常に多く,全排出量の約20%を占めています。その中でも,鉄道は他の交通機関に比べて環境へ配慮されているのの,鉄道網全体の約4割は非電化区間であり,化石燃料を用いた気動車やハイブリッド車が走行しています。そのため,蓄電池鉄道の導入によるCO2の削減が検討されているものの,充電時間の長時間化が問題となっており,今後の蓄電池電車の普及は「急速充電化」にかかっている状況です。そこで,提案する超急速充電可能な「高温超電導コイルを用いた非接触給電システム」が実現すれば,蓄電池電車が広く普及し,CO2を削減できることから,地球環境温暖化対策に貢献できると考えています。

USE CASE

最終用途例

大容量バッテリへの急速充電~蓄電池電車から電動推進船,電気自動車まで~

USE CASE 01架線とパンタグラフの摩耗によるメンテナンス,急速充電時の発熱による架線の劣化を解決!

APPLICATION

APPLICATION

安全かつメンテナンスフリーな蓄電池電車を現実に

提案システムにより超急速充電が実現すれば,駅停車中に各駅で充電が可能となり,蓄電池車両に搭載するバッテリ容量を低減することができます。さらに,架線のメンテナンスを省くことができます。

USE CASE 02充電コネクタによる感電を無くす!

APPLICATION

APPLICATION

電気推進船の充電をより安全に

船の電動化も進んでいます。一方,充電方法はコネクタを用いることが一般的ですが,水回りであるために感電の恐れがあり非常に危険です。これに対して,提案システムを用いれば非接触で大電力を送電できます。

USE CASE 03電気自動車の「充電の渋滞」を解消する!

APPLICATION

APPLICATION

充電時間をより早くして,長距離走行を可能に

既存の充電技術では電気自動車への充電時間は,ガソリン車の給油時間に比べて数10倍長くなってしまいます。この問題に対して,提案システムを適用することで短時間充電を実現することができます。

STRENGTHS

強み

高温超電導コイルにより「大電力」,「高効率」,「高エネルギー密度」な非接触給電システムを提供

STRENGTHS 01

送受信コイルの損失を大幅削減

超電導技術により低損失な導体を提供することに加えて,コイル形状を工夫することで,大電流通電可能なコイルを提案します。

TECHNOLOGY

テクノロジー

既存の銅コイルを用いた非接触給電システムに対して充電時間を3分の1に抑えます

TECHNOLOGY 01

超電導技術により送受信コイルの損失を大幅に低減

同じの自己インダクタンスを持つ高温超電導コイルおよび銅コイルのQ値(コイルの指標:高ければ高いほど有利)を測定した結果,高温超電導コイルは銅コイルに比べて,10 kHz以下の低い周波数において約100倍高いQ値が得られることがわかりました。これにより,高温超電導コイルを用いた非接触給電システムは,銅コイルを用いた既存の非接触給電システムに比べて,大容量かつ高効率な電力伝送が可能です。
【参考文献】 : R. Inoue, et al.,IEEE Trans. Appl. Supercond. vol.27, no.1, (2017) ,5400106

TECHNOLOGY 02

動作周波数の低周波化により車体やレールに発生する鉄損を低減

高温超電導コイルは,10 kHz以下の低い周波数において高いQ値が得られます。そのため,従来の銅コイルを用いた非接触給電システムの動作周波数(数10kHz以上)に比べて,提案システムの動作周波数は約10分の1以下(数kHz)まで低周波化が可能です。その結果,大電力送電を行いながら,車体やレールなどの筐体に発生する鉄損を抑えることができる可能性があります。
【参考文献】 : 井上良太 他, 低温工学 55巻,1号 (2020)

PRESENTATION

共同研究仮説

2050年カーボンニュートラル達成のために必要な「新しい技術」を創出しませんか?

共同研究仮説01

600 kW級の提案する非接触給電システムの開発

実規模レベルの提案システムを試作し,有効性の評価を行う。

提案システムのみ最適設計を行ったとしても,車両の種類によって必要な電力容量が異なることから,蓄電池電車全体を最適化することができません。そこで,実車全体に適したシステム設計を行う必要があり,技術的な障壁を解決するための鉄道関連会社との共同研究を求めています。

共同研究仮説02

実車の車体やレールに発生する損失および電力変換器の損失測定

筐体に発生する損失の評価を行う。

大容量非接触給電システムを実現させるためには,提案する非接触給電部のみではなく,漏洩磁場の影響や電力変換器における損失の評価を行う必要があります。そのため,パワエレ関連企業との共同研究を求めています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

井上良太 岡山大学 学術研究院 
自然科学学域(工)(助教)
経歴

“主に高周波磁気デバイス,非接触給電,ならびに超電導コイルや

超電導交流機器の開発に従事。

■経歴
2017年4月-2020年03月 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員(DC)
2017年4月-2020年03月 東北大学 大学院工学研究科 博士課程後期課程
2020年04月-現在 岡山大学 大学院自然科学研究科 助教

■受賞歴
パワーアカデミー 萌芽研究優秀賞(2022)
27th International Conference on MAGNET TECHNOLOGY Outstanding Presentation Awards(2021)
低温工学・超電導学会 優良発表賞(2021)
電気学会全国大会 電気学会優秀論文発表賞(2017)

■researchmap
https://researchmap.jp/r_inoue”

研究者からのメッセージ

2050年カーボンニュートラル実現に向けた新たな技術を構築する共同研究パートナーを探しています!

2050年カーボンニュートラルを実現するためには,既存の技術をより良くするだけではなく,新しい技術も必要になると私は考えています。その新しい技術の1つとして,超電導技術に着目してみませんか?私が今回提案している超電導コイルを用いた非接触給電システムは,既存の技術ではできなかったことを超電導技術によってブレイクスルーする新しい技術だと信じています。ぜひ一度,お話だけでも聞いていただければ幸いです。