2020年度公募 seeds-0225 - 【関東】 窒素・ホウ素コドープ技術を用いた、低コストかつ安定な低抵抗4H-SiC単結晶成長技術
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VISION

ビジョン

4H-SiCバルク単結晶成長技術の改良を行い、より低抵抗なSiC製造技術の確立を目指します

窒素・ホウ素コドープ成長技術を用いて低抵抗SiC結晶成長の更なる安定化を実現

低抵抗な4H-SiCバルク単結晶成長を実現する窒素・ホウ素コドープ(共添加)成長の技術開発を行います。既に、窒素・ホウ素コドープ成長では窒素単独ドープSiC成長で生じる積層欠陥発生を抑える効果が確認されていますが、初期のホウ素ドープの不安定性に伴う貫通転位発生などの欠陥抑制が新たな課題であると考えています。本研究では、成長初期界面の歪みを緩和する技術を開発することで、欠陥抑制を試みます。低抵抗種結晶を用いた際の結晶成長の欠陥発生の有無や歪みの程度を、通常の種結晶を用いた場合と比較検討することを通じて、欠陥発生の少ない窒素・ホウ素コドープ低抵抗SiC成長技術開発を行います。

窒素ガスのみ成長による低抵抗SiC結晶成長を採用し、プロセスの簡素化を実現

従来のSiC成長は、アルゴンガスと窒素ガスを混合した雰囲気での結晶成長プロセスですが、窒素・ホウ素コドープ成長を用いた成長においては、窒素ガスのみの雰囲気で安定した成長が実現できる可能性があります。そのため、安価な窒素ガスのみでの成長法の確立により、現状の手法よりもコストを削減した製造が期待されます。本研究においては、窒素ガスのみ成長を実施した際に結晶成長で生じる現象のホウ素ドープ量や種結晶の抵抗率との相関を把握し、窒素ガスのみ条件でのSiC成長技術開発を行います。

USE CASE

最終用途例

低抵抗SiCウェハの量産化によって、SiCパワーデバイスの迅速な高性能化を実現します

USE CASE 01SiCを用いたパワーデバイスの製造コストを削減

APPLICATION

APPLICATION

パワーデバイスの基板由来のオン抵抗の低減

低抵抗ウェハを安価に製造する技術を確立すれば、基板由来のオン抵抗低減によりデバイス形成後のバックグラインディングによる基板の薄化工程が不要になり、SiCを用いたパワーデバイスのコスト削減が期待されます。

MARKET

MARKET

半導体製造メーカー、パワー半導体デバイスメーカー

本研究ではSiC単結晶成長の技術開発を目指します。低抵抗SiCウェハの普及には、材料開発だけでなく、窒素・ホウ素コドープ成長した低抵抗ウェハを用いたデバイス作製の技術開発も進展させる必要があります。

STRENGTHS

強み

従来のSiC製造技術と比べ、本技術ではより安価、かつ、より低抵抗なSiCウェハを製造可能です

STRENGTHS 01

より安価、かつ、より低抵抗なSiCウェハ製造技術

SiCウェハの製造技術開発が進められていますが、Siと比べると依然として製造コストや安定性が問題であり、安価で高品質なSiCウェハ製造技術開発が求められています。本技術は、基板の低抵抗化と成長工程の簡素化を両立する技術であり、SiCデバイス製造の高性能化と低コスト化の両方に寄与することが期待できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

窒素・ホウ素コドープ成長による高品質な4H-SiC低抵抗ウェハの作製

TECHNOLOGY 01

約10mΩcmの4H-SiC 3インチウェハの作製実績あり

本研究の類似技術として、我々のグループでこれまで取り組んだ実績である、予備昇華工程を用いたホウ素ドープ原料の使用など、やや複雑な工程での低抵抗成長をある程度実現できています。本研究では、従来の一般的なSiC結晶成長と同等もしくはより簡素なプロセスでの結晶成長技術開発を狙っており、かつ低抵抗なウェハによる高機能性も確保できる技術になる見込みです。我々の先行研究で窒素・ホウ素コドープ成長で得られたウェハへのエピタキシャル成長も特に問題無く可能であることが確認できており、解決すべき課題として、複雑な工程を使うことなく良い結晶成長が可能かどうかの追求と実証試験の積み重ねが重要になると想定しています。

PRESENTATION

共同研究仮説

低抵抗SiC結晶の成長工程に関する企業目線からの共同開発や低抵抗ウェハの評価・試験

共同研究仮説01

窒素・ホウ素コドープ成長SiCの使いこなし技術開発

実際の製造工程への展開を目指す

本研究では、条件の検討を行い、窒素・ホウ素コドープを用いた成長における高品質な結晶成長に必要な要素とメカニズムを明らかにします。実際の製造工程への展開を目指し、3~4インチ径でのウェハ取得が安定に得られること、及び得られたウェハでのデバイス実証を進める必要があり、このような共同研究を期待しています。

LABORATORY

研究設備

本開発を行う環境・設備

LABORATORY 01

大型昇華炉と成長させた4H-SiCバルク単結晶

小径~大口径の4H-SiC単結晶の成長技術開発を行っている昇華炉です。高周波加熱により、黒鉛坩堝を2000度以上に高温加熱することにより、SiC原料を昇華させ結晶成長を行います。写真は3~4インチ成長に適した高周波炉ですが、6インチ大口径のSiC結晶成長が可能な更なる大型炉も有しています。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

江藤数馬 産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター ウェハプロセスチーム
経歴

産業技術総合研究所 研究員
所属:先進パワーエレクトロニクス研究センター ウェハプロセスチーム

経歴:2013年大阪大学工学研究科応用科学専攻博士後期課程修了
「トポロジカル絶縁体関連物質の結晶成長と評価の研究」
2013年~現在 産業技術総合研究所にて「昇華法によるSiC単結晶成長」に関する研究開発。主に高濃度ドーピングを伴うSiC成長技術開発に取り組んでいる。

学会発表:ボロンドープSiC 原料を用いた窒素・ホウ素コドープ4H-SiC結晶成長(2020年 応用物理学会)
Growth and characterization of Al-doped p-type 4H-SiC grown by PVT (2019年ICSCRM)

代表論文:Growth of P-type 4H-SiC single crystals by physical vapor transport using aluminum and nitrogen co-doping(Journal of Crystal Growth 470 (2017) p154.)

研究者からのメッセージ

材料からのSiCパワーエレクトロニクス技術開発に興味をお持ちの場合はぜひ一緒に研究開発しましょう。

本研究はSiCの結晶成長というパワーエレクトロニクスの上流である材料の研究になります。Siと比べてSiCの結晶成長は難しく、本研究で提示する低抵抗化成長はより難度が高い技術ではあります。ただ、近年では海外でのSiCウェハ製造が国内と比べて盛んになり、パワエレデバイスの製造コストや生産量は海外のウェハメーカーに大きく影響を受けることになりかねません。国内での今後のパワエレ産業を支えるためには、海外メーカーに依存しなくても問題無いように、国内での安価で高品質なSiCウェハ製造技術開発がどんどん必要だと思います。本研究ではまさにそのSiCウェハのコスト削減と機能性向上に貢献できる技術開発になると思っています。低抵抗なSiCウェハの昇華法での開発は国内外含め他ではまだ本格的な取り組みが行われていませんので、低抵抗SiCウェハを用いる事で他よりも優位なSiC材料・デバイス開発につながる研究を目指してご一緒に出来ればと思います。