2021年度公募 seeds-2333 - 【中国】 未来の超小型電源用集積磁気デバイスへの挑戦
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VISION

ビジョン

より小型で高効率な電源回路を目指して,磁気デバイスの新たな可能性を探る

超高周波で駆動する次世代パワー半導体の性能を最大限に引き出すための新たな磁気デバイス構造の創出を目指して

SiCやGaNを利用した次世代パワー半導体の登場によって,電源回路はMHz帯を超える超高周波で動作することが可能となりました。しかし,次世代パワー半導体の性能を最大限に引き出すうえで,高周波で発生する磁気デバイスの損失が重い足枷となっています。
私たちの研究チームでは,「MHz帯での損失が少ないデバイス構造の開発」と「磁気デバイス・回路の垂直統合による小型化の実現」に着手し,まったく新しい磁気デバイスの設計思想の確立を目指します。これらの実現には「磁気デバイス同士の相互干渉」や「磁気デバイス損失」の発生メカニズムの解析が不可欠です。解析技術と回路基板設計技術の高度な融合が,磁気デバイス設計の新たな選択肢を切り開くきっかけになると信じています。

デジタルトランスフォーメンションを支える超小型・高効率な電源システムの実現

5Gやクラウドサービスなど通信技術の発展を下地として,デジタルトランスフォーメンションによるIoT,AIの活用が期待されるなか,データセンターなどの情報・通信設備が取り扱う情報量は加速度的に増加しています。限られた施設の中で情報処理量を増やすためには,サーバー等の情報・通信機器の小型化が必要とされており,情報・通信機器の電源回路にも従来以上の小型・高効率化が求められています。
世の中が便利になるように技術が発展すればするほど,社会全体のエネルギー使用量が増加するのは避けられません。電気エネルギーの需要がさらに増加した近い将来では,電気エネルギーのやり取りを担う電源回路の高性能化が与える恩恵はとても大きなものとなると確信しています。

USE CASE

最終用途例

超高周波磁気デバイスにより電気エネルギーをより便利で効率的に -電気自動車から身近な充電器まで-

USE CASE 01身近なデバイスの充電をより便利に!

APPLICATION

APPLICATION

タブレットPCやスマホなど電子デバイスの高速充電器

スマホやタブレットPCなどの充電器の持ち運びを煩わしく感じたことはありませんか?超高周波磁気デバイスの実現によって多くの電子デバイスの充電器は小型・高速化できる可能性があります。

USE CASE 02電気自動車の車内空間をより広く

APPLICATION

APPLICATION

電気自動車の電源システム

電源回路の小型化により,車内のわずかな隙間に電源回路を収めることが可能となります。スペースを有効活用することで,車内空間をより広く確保し快適性を向上させます。

USE CASE 03データセンターのスペース不足の解決

APPLICATION

APPLICATION

情報・通信機器の電源

通信量の増加によって情報通信の要となるデータセンターのスペース不足が問題となっています。電源回路の小型・高効率化によって,この問題を解決すると共に更なる省エネ化にも貢献します。

STRENGTHS

強み

次世代パワー半導体やPCB(プリント配線基板)の高性能化に備えた,磁気デバイスの新たな設計指針を提供

STRENGTHS 01

MHz帯域での巻線損失低減

磁気デバイス用巻線の薄型化や並列化により,MHz帯でも損失の少ない巻線構造を提案します。解析的アプローチによって巻線損失のメカニズムから最適な巻線構造を導き出します。

STRENGTHS 02

磁気デバイス・回路の垂直統合による小型化の実現

多くの場合,電源回路は複数の機能をいくつかの回路に分けて構成されています。このような複数の回路で必要とされる磁気的な機能を一つのデバイスに統合し大幅な小型化を実現します。

STRENGTHS 03

次世代技術の発展に先駆けたアプローチ

半導体素子のさらなる薄型化やPCBの多層・複雑化といった次世代の技術発展を想定し,現状の量産技術より一歩進んだ技術基盤に基づいた磁気デバイスの設計開発に取り組んでいます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

磁気デバイスの構成部品を高度に融合・集積化,3割の損失低減・3割の小型化の両立を目指す

TECHNOLOGY 01

整流回路と巻線の融合による高周波損失の大幅低減

磁気デバイス巻線とパワー半導体などを一つのPCB(プリント配線基板)として融合させることで,高周波ならではの導通損失の悪化を低減します。具体的には3割の損失低減を目指しています。

TECHNOLOGY 02

磁気デバイス巻線の損失解析技術

これまで開発してきた簡便な損失解析技術を応用することで,直感的かつ理論的視点で磁気デバイスの巻線構造開発に取り組みます。巻線構造設計の試行錯誤を減らし,磁気デバイス設計の能率向上を実現します。

PRESENTATION

共同研究仮説

磁気デバイスから地球に優しい未来の電源技術を共に創出しましょう

共同研究仮説01

磁気デバイスの最先端技術を網羅することで見えた未来の電源の姿

本研究で開発する要素技術を集結させて見えるのは,複数の磁気デバイスを統合し,巻線上に回路部品を搭載する,いわば磁気デバイスを中心に電源をモジュール化する未来の電源の姿。ぜひ,共に創出しましょう。

RESEARCHER

研究者

梅谷 和弘 岡山大学 学術研究院 自然科学学域 
経歴

2004 年 3 月京都大学大学院人間環境学研究科博士前期課程修了。 2007 年 3 月同大学同学科博士後期課程修了。同年 4 月株式会社東芝入社,回路設計業務に従事。2008 年 9 月株式会社デンソー入社,同基礎研究所を経て,2014 年 10 月岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻助教に着任,2020 年4月東北大学大学院工学研究科准教授に着任,その後,2021年4月岡山大学学術研究院自然科学学域准教授に赴任し現在に至る。2015 年 9 月島根大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。博士(工学)。電気自動車,電力用磁気部品,スイッチングコンバータの研究に従事。

白川 知秀 有明工業高等専門学校 
経歴

2017 年 3 月岡山大学自然科学研究科電子情報システム工学専攻博士前期課程修了。2021年3月,岡山大学産業創成工学専攻博士後期課程卒業。同年4月,有明高等学校助教に赴任,現在に至る。主に磁気部品の解析・損失低減, DC/DC コンバータの研究に従事。