化合物の分子構造からAIによる熱力学状態方程式パラメータの予測
化学プロセス設計・開発には密度や蒸気圧など多種多様な物性推算が必要不可欠です.しかしながら,物性測定は専門的な装置・技術を必要とし,その測定には長時間を要します.そのため,日々の研究開発の成果で生み出される化学物質に対して物性データは不足しているのが現状です.化学工学物性を予測する方法も培われてきました.熱力学状態方程式は多様な物性の推算を可能にする強力な理論式です.推算には状態方程式のパラメータが必要とされます.未知の物質に対してはグループ寄与法といった方法で推算する方法が報告されてきました.しかしながら,開発されていく化学物質の分子構造の複雑化など,予測できる適用範囲が追いついていません.既存の方法では1つの物質が持つ複数の官能基が相互しあった結果など,複雑化したパターンの表現をすることができません.複雑化したパターンの表現を得意とするのが人工知能(AI),中でも人工ニューラルネットワークである.化合物の分子構造を入力変数,熱力学状態方程式のパラメータを目的変数とした人工ニューラルネットワークを開発することで,新規開発されていく化学物質の多種多様な物性推算を実現します.