エクセルギー(エネルギーの質)の理論に基づき適切な化学反応を利用した高効率発電法
熱機関を利用した従来の発電方法によるバイオマス、褐炭からの発電効率は10~30 %程度と低く、バイオマス、褐炭発電が普及しない大きな一因となっている。発電効率が低い第一の原因は、天然ガスや高品位の石炭よりも著しく低い発熱量にも拘わらず、まず燃焼により熱エネルギーに変換する点にある。燃焼により熱エネルギーに変換すれば、そもそもエクセルギーの損失が大きいが、発熱量が低いため得られる温度レベルが低く、さらに損失が大きくなってしまう(図左)。したがって、バイオマス、褐炭を用いた発電を従来の実績を大きく上回る50 %以上の高効率とするためには、エクセルギー率の低い熱エネルギーへの変換に依存しない新たな変換方法の開発ができるかどうかに懸っている。
そこで私たちは、金属イオンを媒体にバイオマス、褐炭を適切な化学エネルギーに変換することでエクセルギー損失を小さく抑え、さらにその化学エネルギーを電気エネルギーに変換するプロセスを提案し(図右)、研究開発を進めている。