超伝導量子コンピュータの実現に向けた超伝導量子マルチプレクシング回路の開発
極低温インターフェースを開発することで、量子計算回路と制御装置の間にある拡張性のギャップを埋めることが本提案です。量子計算機は、量子性を情報処理に応用し計算を高速に実行できる新原理の装置です。情報処理量が爆発的に増加し続ける現代社会においてその計算能力は要求がさらに高くなっています。量子計算機を実現し得る分野の一つとして、近年、超伝導量子回路は目覚ましい成長を遂げてきました。実装されている量子ビット数は百個に届こうとしていますが、この集積数では到底、社会や産業の実用に足らないのが現状です。現在、量子計算回路と制御機構との間にはスケールアップする際に繋目の問題があり、量子計算回路だけでなくその周辺機器も集積に合わせて刷新しなければいけません。その機器の一つが量子ビットを制御する配線です。配線数を量子ビットの数につれて増やすのは、周辺機器を構築する際に現実的ではないのです。このような現状を打開するために、シームレスな拡張を可能とする新規な極低温用超伝導インターフェースを提案し、極低温下で動作するマルチプレクサー型の信号分配器を開発します。この超伝導マルチプレクサーは、低消費電力、拡張性、マイクロ波技術の移植性という量子計算機の実現にとても魅力的な特徴を備えています。この提案は、量子ビットの集積に欠かすことのできないシームレスな配線の拡張を目指すものです。