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ビジョン
半導体は近赤外光に対しては部分的な透過性を示します。しかし、その狭いバンドギャップ故に、わずかな入熱によって励起状態が高速に変動します。この変動の影響を受けない、緻密に波形整形された新たなレーザー光源を開発します。
最終用途例
APPLICATION
デジタル化の進展に伴い更なる成長が見込まれる半導体市場において、半導体の微細加工を高速かつ精密に施す技術が求められています。本研究では、半導体内部の電子状態を精密制御することで、高速性と精密性を両立したフェムト秒レーザー加工技術を開発します。
APPLICATION
半導体への超高速・精密加工が実現すれば、製造装置の駆動時間が大幅に低減し、それに伴うCO2 削減効果が期待できます。
強み
提案者は2018年に、ガラスやサファイア等の透明硬脆材料を対象に、「過渡選択的レーザー加工法」を提案・実証し(Y. Ito, et al., Appl. Phys. Lett., 2018)、透明硬脆材料の微細加工を従来比5000倍の超高速で、なおかつクラックの全く存在しない超精密に実現しました。本技術は、応用物理学を代表する論文誌の表紙を飾るなど、世界的に高い評価を受けていますが、適用対象が透明材料に限定されるため、光透過性の低い半導体材料は加工できません。本研究では、超高速計測技術と物性制御技術を開発し、半導体の透過性を向上させ、その領域を金属化します。本提案は、提案者が従来技術の開発者だからこそ実現し得る技術です。
本研究開発では、加工の専門家、物性制御の専門家、光源開発の専門家が共同して一つのチームを組んでいます。異なる専門分野の融合により、従来にない技術を生み出します。
テクノロジー
提案者はこれまでに、透明材料に対して、時間分解撮像法と高速度カメラ複合したイメージングシステムを開発し、超高速現象の可視化をピコ秒からミリ秒(10の12乗の時間幅)に至る極めて広い時間スケールで実現してきました(Y. Ito, et al., Opt. Express, 2019)。また、干渉縞から圧力分布を抽出する手法を開発してきました(Y. Ito, et al., Commun. Phys., 2020)。これらの技術を発展させ、位相差情報と電子密度分布を対応づけることで、電子密度分布の3次元情報を抽出し、その時間発展を超高速(< 10 ps)で追跡します。
既存のレーザー光源では、電子密度の高速制御は困難です。本研究では、光の発振手法を革新し、緻密に制御されたレーザーパルスを発振可能な新しいレーザー光源を開発することで電子密度を制御し、超高速加工を実現します。
共同研究仮説
本研究では、半導体の加工を従来比5000倍速で実現することを目指しています。1穴加工の高速化という要素技術の開発と、溝加工を始めとした複雑形状加工の高速化という実用化技術の開発について、一緒に取り組ませていただきたいと思っています。
イベント動画
研究者
2013年3月 東京大学 工学部 機械工学科 卒業
2014年1–9月 ライス大学(米国) 材料科学科 留学
2015年9月 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 修士課程修了
2016年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)採用
2016年10–11月 サンパウロ大学(ブラジル) 工学部 電気機械工学科 留学
2017年9月–2018年3月 マサチューセッツ工科大学(米国) 理学部 化学科 留学
2018年12月 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 博士課程修了
2019年1–3月 日本学術振興会 特別研究員(PD)資格変更
2019年4月–現在 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 助教