2021年度公募 seeds-1851 - 【中国】 植物のバイタルサインを監視するワイヤレスIoTデバイスの実現を目指したセンシング技術
  • エレクトロニクス
  • 食品・農業
  • IT・通信
  • サービス
  • 電気電子工学
  • その他工学
  • 農学
  • 「食」課題(安全性・飢餓等)
  • バイオテクノロジー
  • センサ・計測・解析
  • 次世代通信 IoT
VISIONビジョン

このシーズに
問い合わせる

VISION

ビジョン

植物専用ウェアラブルセンサーで拓く、農業生産現場の高度な自動化

生産現場に応用できる、鮮度の高いセンシング

農作物の生産現場では、インプットである栽培環境のモニタリングや制御技術が発達している一方で、アウトプットである植物のバイタルサインのモニタリングや評価技術が未発達であるために、植物の生育状態を環境制御にフィードバックするような栽培管理の高度な自動化が実現できていません。

植物の外観から病害を検出したり収量を予想したりする技術が開発されています。一方で、植物の外観からは環境に応じてダイナミックに変化する植物体内の生理情報を取得できません。また、軽度なストレスだと、外観に影響が現れるまでにタイムラグがあります。こうしたことから、画像計測のみでは緻密な栽培管理が難しい現状があります。

施設園芸や植物工場においても、作物の栽培環境や生育は不均一です。また、作物の生育段階によって環境応答は異なります。そこで、作物の生育に合わせた栽培環境の最適化やストレス処理による高付加価値化(果実の糖度向上など)を実現するには、植物の環境応答を高時空間分解能でセンシングする必要があります。

私は、植物の環境応答をリアルタイムで計測できる小型・低消費電力・低コストのセンシング技術を開発しています。

植物のバイタルサインをセンシングする新たなデバイスの実現を目指して

光合成は植物の成長源であり、植物の内的・外的環境にダイナミックに応答しています。また、植物の水分状態は、光合成をはじめとする様々な代謝反応に最も影響する内的環境です。植物を理解する上で欠かせないこれらの生理メカニズムは植物生理学分野で盛んに研究されており、最も重要なバイタルサインだと考えられます。一方で、植物の光合成や水分状態を評価する既存のセンシング技術やデバイスは研究目的で開発されてきたため、生産現場における実用性や利便性が乏しく、アプリケーションに不向きです。そこで、より生産現場へのアプリケーションに特化した、利便性の高い、新たなセンシング技術やデバイスが必要です。

私はこれまでに、葉の光合成を評価する上で必要不可欠な生理パラメーターを既存の方法よりも簡便かつ精確に測定できる方法を開発しました。本技術を応用して、葉の光合成と水分状態をセンシングする、植物専用ウェアラブルセンサーの開発を目指しています。

USE CASE

最終用途例

植物のバイタルサインは、農業分野、環境分野、研究・教育分野など、幅広い用途のアプリケーションに期待

USE CASE 01作物の健康診断

APPLICATION

APPLICATION

栽培管理自動化や生産者支援のための植物ウェアラブルセンサー

植物の光合成や水分状態(バイタルサイン)は作物の生産性や品質に直結しています。これらの生理活性をリアルタイムに診断できれば、栽培管理の高度な自動化が期待されます。また、熟練生産者の「勘」をデータ化することで、栽培技術の継承や新規生産者の支援サービスを提供できます。

USE CASE 02気候変動影響のモニタリング

APPLICATION

APPLICATION

気候変動予測プロジェクトのための観測機器

将来の農業や地球環境を予測するには、気候変動と共に植物の環境応答を長期的にモニタリングする必要があります。このようなプロジェクトから気候変動へのより具体的な適応策を提案できるようになるかもしれません。

USE CASE 03研究・教育などへのアプリケーション

APPLICATION

APPLICATION

植物科学のための研究・学習ツール

オンサイトでの多点センシングは、光合成や水分生理の制御メカニズムに新たな知見をもたらします。また、気軽に利用できるデバイスは生態系のインターフェイスとしてSTEM教育やICTプロジェクトの可能性を拡げます。

STRENGTHS

強み

“葉内CO2濃度の直接測定 → 光合成測定デバイスの小型化を実現”

STRENGTHS 01

計算に必要な測定パラメーターを省くことで、測定システムを大幅に簡素化した

光合成評価の「要」である葉内CO2濃度を計算する為に、光合成の測定デバイスには高性能な環境制御・計測機能が搭載されています。その結果、既存のデバイスは大きく、高価です。葉内CO2濃度を直接測定することで、測定システムを大幅に簡素化できます。

STRENGTHS 02

「葉内湿度」=植物水分状態の新たな指標

葉内CO2濃度の直接測定をもとに、植物水分状態の新たな指標として葉内湿度に着目しています。葉内湿度を測定することで、破壊計測によるこれまでの限定的なアプリケーションの幅を大きく拡げることができます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

「葉内との平衡状態を直接測定する」ことで得られた革新的センシング技術

TECHNOLOGY 01

フラックス計測の技術的な課題を回避することで、シンプルな測定が可能に

葉のCO2や水蒸気のフラックス(流れ)を計測する従来の光合成測定法には複雑な制御・計測システムが必要とされ、安定した計測が困難です。一方、平衡状態での直接測定はシンプルかつ安定しています。

TECHNOLOGY 02

計算モデルの仮定を回避することで、測定精度が向上

光合成パラメーターの計算に用いられる葉のガス交換モデルは、簡略化のためにいくつかの仮定を含んでいます。葉内CO2濃度の計算値と直接測定値を比較することで、環境ストレス(乾燥など)条件において、直接測定の精度がより高いことを確認しました。

PRESENTATION

共同研究仮説

植物のバイタルサインをセンシングする新製品や診断・活用するシステム・アプリケーションを共に創りませんか

共同研究仮説01

「小型・フルワイヤレス・低価格」な植物ウェアラブルセンサー

社会や現場ニーズに合わせて御社の実現したい商品を共に考え、シーズ技術を活用しながら、開発に挑戦したいです。

共同研究仮説02

「気軽に光合成測定」が生み出す新アプリケーション

栽培自動化システムや取得される光合成や水分状態(バイタルサイン)による健康診断アルゴリズムやAIソフトウェアの開発、それらを利用した生産者の支援サービスやアプリケーションを共に開発したいと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

冨永淳 広島大学大学院統合生命科学研究科
経歴

2018/4-2021/3 広島大学大学院統合生命科学研究科 JSPS特別研究員(PD)

2018/6-2020/4 米国University of New Mexico, Biology Department, Visiting Scholar

2021/4-  広島大学大学院統合生命科学研究科 助教

【受賞歴】

2016 日本生物環境工学会 (Environmental Control in Biology) 論文賞 

など

【個人ページ(論文など)】

https://seeds.office.hiroshima-u.ac.jp/profile/ja.9cf8338aed72561f520e17560c007669.html

研究者からのメッセージ

自分の好きなサイエンスをしながら、社会にインパクトのある仕事をしたい!

私は物言わぬ植物のダイナミックな環境応答に魅せられてきました。アメリカで研究室発のスタートアップ企業立上げを目の当たりにして、社会や産業にインパクトを与えたいという思いが強くなりました。広島→日本→世界の持続可能な農業に貢献したいです!