バッチ型晶析に基づいたデラセミ化の連続化によりあらゆるキラル化合物の製造を効率化する
本研究開発は、晶析による光学分割法「デラセミ化」を連続化するための技術開発を行い、キラルな化学品製造における生産効率の向上に貢献します。デラセミ化はエナンチオマーをラセミ化条件下で結晶化させることにより、不要な異性体を所望の異性体へと変換しつつ結晶として得る光学分割手法です。不要な異性体が生じないため、非常に有望な技術ではありますが、バッチ型晶析では時間のかかるプロセスであることが実用化への課題となっております。
近年、有機合成化学の分野ではフローケミストリーの台頭によって、連続プロセスによる合成技術が進歩しており、化学品の製造効率の向上が見込まれます。実用化に向けて、これに対応できる精製プロセスが求められており、トラブルが多い晶析の連続プロセス化は非常に重要な課題です。特にキラル化合物は高付加価値な化合物が多く、晶析による光学分割を連続プロセスとすることができれば、大きな利益につなげることができます。
本研究開発では、結晶化槽に原料を連続的に供給しつつ、結晶を取り出すアプローチにより、効率的な「デラセミ化の連続プロセス化」の開発に挑戦します。キラル化合物を扱う医薬品業界や、キラルな構造体をつかった材料開発の基盤技術としての応用が期待できます。