昆虫食品を食産業として成長させていくために、ヒトの嗜好に寄り添った研究開発が不可欠
世界的な人口増に伴い増大するタンパク質需要への対応として、代替タンパク質の普及は喫緊の課題とされています。なかでも、昆虫は低コスト・高効率でタンパク質生産ができる素材と考えられ、現在、世界各国で利用の検討が進められています。しかしながら、コオロギなどの昆虫は独特の風味を持ち、食品として用いる場合にその用途が限られているのが現状です。このことは、他の素材を活かした食品や、昆虫素材を高濃度配合したタンパク質源の開発において、大きな課題となっています。消費者が、昆虫を自然に食卓に並べ、抵抗感なく食べるためには、味や香りの改善が求められます。私たちの研究チームでは,このような風味の原因となる物質を分析し、風味改善に有効な生産・加工技術の開発を進めています。検討技術の一つとして減圧マイクロ波加熱を用い、高品質なコオロギパウダーの加工を目指しています。また、同時にコオロギ由来のエッセンシャルオイルの抽出も試み、その中に含まれる有用成分の探索も行っています。