2021年度公募 seeds-1608 - 【関東】 小型ミューオン加速器による革新的イメージング技術
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VISION

ビジョン

小型ミューオン加速器による革新的イメージング技術の実現

透過力の高い素粒子ミューオンを用いた透過イメージング技術によってコンテナや道路などのインフラ検査実現を目指す

ミューオンは素粒子の一種で、非常に高い透過力を持っている。この特徴を活かし、これまでに宇宙線ミューオンを用いてピラミッドや原子炉などの透視が行われてきた。しかし、エネルギーも到来方向も不定な宇宙線ミューオンでは分解能・測定時間ともに限界がある。一方、エネルギー・方向ともに制御可能な人工の加速ミューオンでは短時間で高分解能の透過イメージングを得ることができるが、加速器の小型化が必須になる。そこで、加速ミューオンによるイメージング技術のボトルネックになっているミューオン加速器の小型化にむけた、ミューオン加速技術のブレークスルーに挑戦する。

高周波四重極加速器と交差櫛型加速空洞によるミューオン加速

申請者は高周波四重極型加速器RFQを用いて世界で初めてミューオン加速を実証した(2021年アジア太平洋物理学会連合C.N. Yang賞を受賞)。現在、ミューオン専用の交差櫛型加速空洞IH-DTLを開発し、さらに高いエネルギーまでの加速実証に着手している。本図の奥がRFQ、手前がIH-DTLで、全長約5メートルの加速器で高速の約30パーセントまでミューオンを加速する。しかし、加速ミューオンを用いたイメージング技術には、追加速によってミューオンをほぼ光速度まで加速するとともに、ミューオン加速器の小型化が必要となる。本研究では、ミューオン加速技術の更なる発展によって、同程度の長さでミューオンをほぼ光速度まで加速する技術に挑戦する。

USE CASE

最終用途例

ミューオンビームによる超高分解能コンテナスキャン

USE CASE 01コンテナ全量検査法の正式施行で数千億規模の市場が創出

APPLICATION

APPLICATION

X線や宇宙線ミューオンなどの既存技術を凌駕する分解能でイメージングが可能に

主要な港湾において、現状では世界的にも主流な大型のX線透過装置が専ら用いられているが、シルエットのみしか透視できず異常時は開封検査が求められる。ミューオンビームによるイメージング技術が実現すれば、少量(g単位)の危険物を未開封で同定可能になるため、グローバル物流を通じて安心・安全な社会の実現に貢献する。

STRENGTHS

強み

世界で唯一、ミューオン加速を実証した研究技術

STRENGTHS 01

2マイクロ秒の寿命を持つ素粒子ミューオンを高効率で加速する

ミューオンは様々な応用展開への期待から加速に向けた研究開発が進められてきました。近年、私たちはミューオンの冷却技術と高い効率を持つ加速空洞技術によって世界で初めてミューオンの加速に成功し、世界をリードしています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

これまでにない高い指向性を持つミューオンビームをつくる

TECHNOLOGY 01

極超短波の電磁場を用いた粒子加速

ミューオンや電子・陽子といった微粒子を高周波電磁場によって加速するために、銅材や超伝導材料を用いた高周波空洞を用いる。

TECHNOLOGY 02

3桁~10桁以上のエネルギー減速を実現するミューオン冷却技術

金属薄膜やシリカエアロゲルを用いて、メガ電子ボルトのエネルギーを持つミューオンを数百電子ボルトから数十ミリ電子ボルトのエネルギーまで減速してから加速することで、高い指向性を持つミューオンビームを実現する。

PRESENTATION

共同研究仮説

加速技術開発からミューオンビームの利用研究まで

共同研究仮説01

粒子加速技術の開発

高い加速効率が求められるミューオン加速技術は、近年世界で開発が盛んな小型医療用加速器や産業用加速器と高い親和性があります。ミューオン加速を軸に、20世紀初頭から現在に至る量子ビーム技術に新風を巻き起こしましょう。

共同研究仮説02

ミューオンビームによるイメージング

ミューオンビームによるイメージングが実現すれば、コンテナスキャンやSMRのモニタリングなど、持続可能な世界発展に貢献することができると考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

大谷 将士 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設、JST創発研究者(兼務)
経歴

所属:高エネルギー加速器研究機構加速器研究施設
経歴:
・2017年~現在        高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 助教
・2013年~2017年    高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 博士研究員
・2012年~2013年    東北大学ニュートリノ科学研究センター 教育研究支援者

【受賞歴】
2021年 アジア太平洋物理学会連合(AAPPS)C.N. Yang Award