パームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)の改質・高性能化に適した窒素ファインバブル(FB)の拡散技術の確立
変圧器などの電気機器に用いられる生分解性電気絶縁油(エステル油)は、従来の主な電気絶縁油である石油由来の鉱油に比べて持続可能で環境負荷が低いため、需要拡大が見込まれています。エステル油は、鉱油に比べて一部の性能が劣っているため、改質による高性能化が求められています。近年、エステル油や鉱油にナノサイズの粒子(ナノ粒子)を適量添加することで、高性能化を実現できる可能性が報告されています。しかし、ナノ粒子が凝集すると絶縁油の性能が低下し、ナノ粒子の粒径が小さいほど人体や環境に対する毒性が増加することが問題となっています。本事業では、ナノ粒子に代わる安全・安心・微小な材料として、窒素ファインバブル(FB)や非イオン界面活性剤(Non-ion)を用いた新たな改質基盤技術の研究開発を行うことを考案し、その第一歩として、エステル油の一種である「パームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)の改質・高性能化に適した窒素FBの拡散技術の確立」を目指しています。特に、「窒素FBの発生時間、原料窒素ガス供給量、発生後の静置時間」がPFAEの代表性状と窒素FBの直径や量に及ぼす影響を解明し、PFAEの改質・高性能化に必要な条件と機序を明らかにしていきます。