2021年度公募 seeds-1266 - 【九州】 産業用モータ駆動インバータの高信頼化に資するセンサレス寿命診断システムの開発
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VISION

ビジョン

次世代パワーエレクトロニクスに求められる高信頼性、省エネ、低コスト化に貢献するインバータ寿命診断技術

電流センサレスで外部から測定可能な新しいモニタリング技術の実現

持続可能なエネルギー社会の実現には、インバータをはじめとしたパワーエレクトロニクス(以下パワエレ)回路の普及拡大が必要不可欠です。パワエレは送配電設備や鉄道、ハイブリッド電気自動車などのインフラを支える根幹技術であり、今後も年率10%程度の市場拡大が予想され、膨大な数の機器が世界中で使用されることが見込まれています。パワエレ回路の故障はインフラの麻痺を引き起こすことになるため、従来とは桁違いの高い信頼性が要求されるようになっています。

パワエレ回路の中のキャパシタ(コンデンサ)という受動部品に着目し、電流センサレスの新しいモニタリング技術によって、大電力・高電圧パワーエレクトロニクス回路の信頼性向上を目指します。

USE CASE

最終用途例

産業用インバータの高信頼化

USE CASE 01キャパシタ(コンデンサ)の寿命診断システム

APPLICATION

APPLICATION

センサレスでかつ回路の改造を必要としないキャパシタ(コンデンサ)の寿命診断システム。新規だけでなく既存のインバータへも対応

本研究開発では、ポンプやコンプレッサ駆動などの産業用インバータでもっと広く普及している電源側に三相ダイオード整流器を用いたシステムを対象としています。このシステムにおいて低コストでモニタリングを実現できれば、ほとんどの産業用インバータの高信頼化が実現できます。

STRENGTHS

強み

インバータ外部から観測できる電圧・電流で、キャパシタ(コンデンサ)の寿命がモニタリング可能

STRENGTHS 01

インバータのモニタリングシステムは、従来は高価なセンサありきで構築されていました。本技術では、センサレスの低コストモニタリングシステムの実現を目指しています。

インバータのモニタリングの実施にあたってはキャパシタ(コンデンサ)の電圧・電流情報が必要です。本技術では、インバータ外部から観測できる電圧・電流で、インバータの配線構造を変えることなく寿命診断を実装できる点に新規性があります。導入コストが低いだけでなく、既設のインバータにも容易に実装可能です。外部情報から動作中にモニタリングするためオンライン性が確保でき、長時間の連続運転が求められる電力設備やプラントなどインフラ用途にも対応しています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

キャパシタ寿命の指標であるESRとキャパシタンス双方をリアルタイムでモニタリングする技術を構築

TECHNOLOGY 01

従来のESRのみから劣化を予測するのではなく、キャパシタンスのモニタリングも可能

インバータの主要な故障要因であるキャパシタの故障を完全に防ぐことが困難でも、ESRとキャパシタンスのモニタリングによりその種類と使用条件を問わず経時変化を捉え信頼性向上が実現します。

TECHNOLOGY 02

インバータ外部から観測できる電圧・電流情報からモニタリングを実現

このESRとキャパシタンス双方をリアルタイムでモニタリングする技術を新規の電流センサ導入や回路構造の大きな改造をもとに実用化した場合は、大幅なコスト増が想定されます。そのため、インバータ外部から観測できる電圧・電流からモニタリングできる技術を研究開発しています。

PRESENTATION

共同研究仮説

持続可能なエネルギー社会を目指し、パワーエレクトロニクスの分野で共に研究開発を進めませんか

共同研究仮説01

パワーエレクトロニクスを軸とした高効率・高信頼な電気エネルギー変換技術

当研究室では、本技術のように特にキャパシタ(コンデンサ)などの受動部品やパワー半導体の寄生パラメータに着目した大電力・高電圧パワーエレクトロニクス回路の信頼性向上を目指した研究を行っています。産業界と連携し、次世代パワーエレクトロニクスの高信頼性、省エネ、低コスト化に貢献していきたいと考えています。

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

長谷川 一徳 九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授
経歴

【経歴】

2020年 – 現在     九州工業大学 大学院工学研究院 准教授

2018年 – 2020年 九州工業大学 大学院生命体工学研究科 准教授

2013年 – 2018年 九州工業大学 大学院生命体工学研究科 助教

2012年 – 2013年 東京工業大学 大学院理工学研究科 特任助教

2010年 – 2012年 日本学術振興会 特別研究員

【受賞】

2020年   電気学会産業応用部門 論文査読促進賞

2018年   IEEE Transactions on Power Electronics Prize Letter Award

2017年   電気学会 優秀論文発表賞 部門表彰(産業応用部門大会)

2010年   IEEE/電気学会IPEC-Sapporo Student Paper Award

【研究紹介参考リンク】

http://www.powerele.ele.kyutech.ac.jp/index.html

研究者からのメッセージ

パワーエレクトロニクスの研究を通じて、電気エネルギーの柔軟な利用を図り、低炭素社会の実現に貢献します。

2050年には最終消費エネルギーに対する電気エネルギーの割合(電力化率)は50%を超えると予想されております。これに伴いパワーエレクトロニクスの需要がさらに拡大し、機器の小型化と同時に信頼性の向上も必要となってきます。回路・制御方式だけでなく,キャパシタ等の受動部品やパワー半導体などの個別部品の信頼性評価も網羅した研究に取り組んでいます。