RNA標的低分子の合理的デザインが可能になる
ヒトゲノムの塩基配列のうち、「機能を持つ」とされている領域は約80%と言われています。そのうちタンパク質にまで翻訳される領域は約3%ほどで、残りの77%は転写されたRNAの状態で機能を発揮していると言われています。RNAは次世代の創薬標的として注目されており、RNAを標的とした低分子創薬研究は欧米では勢いを増しています。しかしながら、日本国内でのRNAを標的とする低分子薬開発はほとんど進んでいません。RNA標的低分子研究のボトルネックとなっているのは、「低分子化合物-RNAペア」の具体例が少ないこと、低分子化合物の分子デザイン指針が未整備なことにあります。
そこで、本研究開発では、「低分子化合物-RNAペア」データ収集を迅速にスクリーニングする手法を確立します。具体的には、miRNA前駆体中に設計したランダム領域に対する、任意の低分子化合物の結合能を評価するスクリーニング手法です。さらに、このスクリーニング法を利用して得た「低分子化合物-RNAペア」のビックデータを基に、RNA標的低分子デザインに資する「低分子化合物-RNAペア」予測法を構築しRNA標的低分子薬開発における手法を標準化することで、低分子化合物の分子デザイン指針の整備を実現します。