水の着色を引き起こすフミン質を、短期間で高効率に回収する不織布を用いる水質浄化技術です。
閉鎖水循環システムのような水環境において、着色や水槽の黄ばみは換水・清掃が必要となります。一般的な水環境におけるフミン質除去に関する研究では、紫外線やオゾン処理、薬剤の使用が提案され、専用の設備が必要となります。本研究で開発する不織布は、水環境内に設置するだけで、着色を引き起こすフミン質を回収できるものです。
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ビジョン
閉鎖水循環システムのような水環境において、着色や水槽の黄ばみは換水・清掃が必要となります。一般的な水環境におけるフミン質除去に関する研究では、紫外線やオゾン処理、薬剤の使用が提案され、専用の設備が必要となります。本研究で開発する不織布は、水環境内に設置するだけで、着色を引き起こすフミン質を回収できるものです。
回収するフミン質は野菜の育成を促す効果が知られています。水環境から除去する不要物質の取り扱いは、市場価値の高い貴金属類を除くと、ほとんど検討されていないのが現状です。本研究で対象とするフミン質を、農業分野で有価物として活用することができれば、環境技術として広く社会に展開でき、新産業の創出につながります。
最終用途例
APPLICATION
ろ過水槽内に設置することで使用できます。不織布の着色状況から交換時期を判断します。
強み
一般的な吸着材料ではフミン質除去特性が十分でない場合があり、無色化に時間がかかり、効率的に水処理を行うには多くの材料が必要になります。本研究で扱う不織布はこれまでの材料よりも高効率で短期間で無色化処理できる点が強みとなります。
テクノロジー
生分解性のポリ乳酸を基材として、従来の吸着材料よりも優れたフミン質吸着特性を持つガーネット型結晶(土と類似の化学組成)を複合化した複合不織布を用いることで、短期間で着色水の無色化を実現します。不織布の作製にはエレクトロスピニング法を用います。配合量等の調整により流水下においても不織布が崩壊しない強度を持つことから、取り扱いに苦労することはほとんどありません。
共同研究仮説
フミン質の循環利用による新しい産業の創出のため、以下の3点を中心に共同研究テーマを見据えています。
・不織布の量産技術
・実環境における着色水の無色化試験
・農業分野への展開を見据えた食物育成効果の検証
研究者
2006年名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了 博士(工学)。同年東北大学大学院環境科学研究科助教、2011年名古屋工業大学テニュア・トラック助教、准教授等を経て2020年教授。専門は無機材料化学・環境材料。
業績リンク:http://researcher.nitech.ac.jp/html/100000160_ja.html