2020年度公募 seeds-0965 - 【九州】 水中で動作するワイヤレス・コイルレスな光ナノモータによる生体分子分析技術
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VISION

ビジョン

細胞内の特定のオルガネラや細胞やウィルス表面の蛋白質分子の1分子/1粒子分析装置を目指して

疑似プラズモン共鳴現象で実現する水中で動くワイヤレス・コイルレスなナノモータ

光と金属ナノ構造が共鳴する現象(プラズモン共鳴)は回折限界以下のナノ空間で光を扱えるユニークな現象です。我々独自の光学シミュレーションにより、特殊な光を用いて”強制的”に疑似的なプラズモン共鳴を起こすと、ナノ粒子に所望する方向のトルクが生まれることが示されました。コイルレス・ワイヤレスな光駆動モータの運動は光の強さや光の状態でコントロールできるため、大きな強みを持っています。

革新的な1分子/1粒子分析装置のための要素技術

本シーズは生体適合性材料のみで構成する簡素な構造のナノ粒子に特殊な光を当て、ナノ粒子の制御された回転動作を実現する技術です。この技術は、細胞やウィルス、もしくはその一部分(内部や表面の1粒子/1分子)に力学的作用を与えることで分子や粒子の切断・分離を可能とします。さらにプラズモン場を有効利用することで、分離した1粒子/1分子の組成分析までを一貫して行う分析装置に必要な要素技術です。これまでに実現できてない革新的な分析装置につながる技術だと考えています。

USE CASE

最終用途例

光駆動ナノモータによる力学的作用のバイオ・医療分野への応用

USE CASE 01液中に浮遊する細胞やウィルス、および一部分の分子組成をその場分析可能な装置

APPLICATION

APPLICATION

所望する力学特性を特定のバイオ材料に物理的与える技術の応用

特殊な光で励起する疑似プラズモン共鳴を動作原理とする新しいナノモータの開発し、生理学、医学、薬学をはじめとした幅広い分野への貢献を目指します。

USE CASE 02液中に浮遊する細胞やウィルスなどの力学特性評価技術への展開

APPLICATION

APPLICATION

ソフトバイオマテリアルの粘性や固さを評価

本シーズである簡素な粒子と特殊な光で実現するナノモータは、3次元の回転自由度を持ちます。バイオ材料にモータをぶつけた際の光学応答の変化から力学特性を間接的に評価可できると考えています。

STRENGTHS

強み

従来技術にはない3次元軸に対するナノモータの回転動作

STRENGTHS 01

特殊な光と簡素な構造の組み合わせで独創的なモータ技術へ

これまでにもプラズモン共鳴を応用したナノモータはいくつか提案されてきましたが、特殊な光を用いることで化学合成法やボトムアップ手法により大量に作成できる「簡素な構造」でナノモータの回転動作を実現します。また、3次元軸に対して制御された回転が実現できる点も強みです。

TECHNOLOGY

テクノロジー

非対称構造と角運動量を有する光を組み合わせたユニークな光ナノモータ技術

TECHNOLOGY 01

光の角運動量による制御された回転動作を簡素な粒子で実現

スピン角運動量だけでなく軌道角運動量ももった特殊な光をナノ構造に照射することで、強制的に所望する次数の(疑似的な)プラズモン共鳴を励起できます。この光の位相は空間的・時間的に変化するため、それに伴ってナノ粒子が回転します。粒子の構造を非対称な場合には、光の位相変化に依存した3次元軸に対する回転が可能となります。非対称な構造の例としてナノスフィアの一部分だけが金属で覆われたコアシェル構造を採用すると、入射光の波長や偏光によって回転方向や各回転軸に対するトルクの大きさが異なるため、それらを制御することが可能となります。

PRESENTATION

共同研究仮説

水中で特殊な光によって回転動作するナノモータの設計

共同研究仮説01

モータ特性を最大限引き出すための材料の選定と構造最適化

モータ特性を最大限引き出すための材料の選定と構造最適化

企業との共同研究により、計算と実験によるナノモータの詳細な設計を行う。具体的には材料の選定や構造パラメータの最適化を数値シミュレーションから実施し、生体適合性材料の中でもっとも回転トルクが安定的に制御できる材料、および構造パラメータを決定する。

RESEARCHER

研究者

田中 大輔 大分工業高等専門学校 電気電子工学科
経歴

2008年より東京工業大学 梶川研究室にて局在プラズモン共鳴と非線形光学に関する研究に従事。2012年3月に工学博士を取得(短期)。2012年から2014年までの2年間、ポスドクとして九州大学先導物質化学研究所 玉田研究室にて金属2次元ナノシートの関する研究に従事。その後、大分工業高等専門学校に着任。自身の研究室を立ち上げ、非対称ナノ構造の光学特性に関する研究をスタート。現在はベクトルビームとプラズモン共鳴に関して離散双極子近似シミュレーションと光学実験の両方からアプローチしている。
https://researchmap.jp/daisuke_tanaka

研究者からのメッセージ

ナノ粒子と光波のユニークな応答の実用化に向けた共同研究

当研究室では金属ナノ構造や金属/誘電材複合ナノ構造のさまざまな光学現象に関する基礎研究を行っています。簡素なナノ構造で発現するユニークな光学応答をデバイス化し、実社会への展開・実用化を目指しています。本研究では、これまでに提案されていない革新的デバイスのバイオ・医療分野への展開を目指し、産学官連携での開発に挑戦したいと考えています。