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ビジョン
本シーズは生体適合性材料のみで構成する簡素な構造のナノ粒子に特殊な光を当て、ナノ粒子の制御された回転動作を実現する技術です。この技術は、細胞やウィルス、もしくはその一部分(内部や表面の1粒子/1分子)に力学的作用を与えることで分子や粒子の切断・分離を可能とします。さらにプラズモン場を有効利用することで、分離した1粒子/1分子の組成分析までを一貫して行う分析装置に必要な要素技術です。これまでに実現できてない革新的な分析装置につながる技術だと考えています。
最終用途例
APPLICATION
特殊な光で励起する疑似プラズモン共鳴を動作原理とする新しいナノモータの開発し、生理学、医学、薬学をはじめとした幅広い分野への貢献を目指します。
APPLICATION
本シーズである簡素な粒子と特殊な光で実現するナノモータは、3次元の回転自由度を持ちます。バイオ材料にモータをぶつけた際の光学応答の変化から力学特性を間接的に評価可できると考えています。
強み
これまでにもプラズモン共鳴を応用したナノモータはいくつか提案されてきましたが、特殊な光を用いることで化学合成法やボトムアップ手法により大量に作成できる「簡素な構造」でナノモータの回転動作を実現します。また、3次元軸に対して制御された回転が実現できる点も強みです。
テクノロジー
スピン角運動量だけでなく軌道角運動量ももった特殊な光をナノ構造に照射することで、強制的に所望する次数の(疑似的な)プラズモン共鳴を励起できます。この光の位相は空間的・時間的に変化するため、それに伴ってナノ粒子が回転します。粒子の構造を非対称な場合には、光の位相変化に依存した3次元軸に対する回転が可能となります。非対称な構造の例としてナノスフィアの一部分だけが金属で覆われたコアシェル構造を採用すると、入射光の波長や偏光によって回転方向や各回転軸に対するトルクの大きさが異なるため、それらを制御することが可能となります。
共同研究仮説
企業との共同研究により、計算と実験によるナノモータの詳細な設計を行う。具体的には材料の選定や構造パラメータの最適化を数値シミュレーションから実施し、生体適合性材料の中でもっとも回転トルクが安定的に制御できる材料、および構造パラメータを決定する。
研究者
2008年より東京工業大学 梶川研究室にて局在プラズモン共鳴と非線形光学に関する研究に従事。2012年3月に工学博士を取得(短期)。2012年から2014年までの2年間、ポスドクとして九州大学先導物質化学研究所 玉田研究室にて金属2次元ナノシートの関する研究に従事。その後、大分工業高等専門学校に着任。自身の研究室を立ち上げ、非対称ナノ構造の光学特性に関する研究をスタート。現在はベクトルビームとプラズモン共鳴に関して離散双極子近似シミュレーションと光学実験の両方からアプローチしている。
https://researchmap.jp/daisuke_tanaka