2020年度公募 seeds-0268 - 【東海】 新しい商品開発とその生産工程最適化に貢献する低粘度水溶液の粘弾性計測システム
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VISION

ビジョン

理論に裏付けられた製品・装置の開発に貢献する

低粘度水溶液の粘弾性 “伸び・切れ” の計測技術の開発

従来困難であった、液体の粘弾性を計測するために独自のシステムを構築します。
液体の落下装置を制御し計測対象とする流れを実験装置上で再現します。
ハイスピードカメラと、LEDライトを組み合わせ撮影し、理論に基づいたアルゴリズムにより、伸び・切れを表すパラメータを獲得します。

理論に裏付けられた製品・装置の開発に貢献する

従来困難であった、インクや化粧水などの低粘度の液体が「伸びたり、切れたり」する際の動きの把握や、「伸び方・切れ方」を示すパラメータの獲得が可能になります。
計測された「伸び方・切れ方」 のデータを応用することで、製造工程の改善や、製品自体の品質向上が期待されます。

USE CASE

最終用途例

ノズルからの噴射・散布・塗布等の流れを伴う製造工程や商品の改善

USE CASE 01製造工程の最適化

APPLICATION

APPLICATION

インクジェットプリントや食品コーティングなどの工程

インクジェットプリントや食品コーティングなどの工程での、液体の性質を考慮した設計・制御や、製造設備に合わせて、液体の性質自体の改善に寄与できると考えています。

USE CASE 02「伸び・切れ」を熟慮した商品開発

APPLICATION

APPLICATION

ユーザーニーズに合わせた商品開発

ユーザーニーズに合わせた切れの良いインクや乳液の開発や、散布しやすい農薬、肌ノリのよい化粧水の開発にも役立てることが出来るのではないかと考えています。

STRENGTHS

強み

既存計測機器では計測不可能な低粘度流体の計測が可能

STRENGTHS 01

低粘度流体の一軸伸長粘度を3次元・非定常で計測可能

従来、希薄な溶液ではフィラメントが形成・維持されず、低粘度流体の粘弾性計測ができませんでした。また、低粘度流体の3次元的な時間変化の計測もできていませんでした。本研究では低粘度流体のフィラメントを形成させ、独自の計装システムにより、3次元的な時間変化の計測を実現し、挙動の解明やパラメータの獲得を目指しています。

TECHNOLOGY

テクノロジー

3次元・非定常レオロジー診断技術

TECHNOLOGY 01

微細なフィラメントの高速変形の撮像

2台の高速カメラとLED証明を組み合わせ、3次元性および非定常性が強い場合におけるフィラメントの構造変化を正確に捉える。従来研究よりも格段に空間解像度を向上させた撮影が可能になり、1μm未満の微細なフィラメントの高速変形が捉えられるようになると期待される。

PRESENTATION

共同研究仮説

社会実装を目指した共同研究

共同研究仮説01

個別製品の品質・製造プロセスの向上のための物理現象及びパラメータの理解

想定している企業

個別製品の品質や、製造プロセスの向上のために、ノズルからの液体の噴射・散布・塗布等の流れと関連する製品・製造設備を扱う企業様とご一緒できればと考えております。

共同研究仮説02

粘弾性流体の液滴落下を伴う流れにおける数値シミュレーション技術の開発

共同研究のスコープ

数値シミュレーション技術の開発のための共同研究です。本技術を活用し、得られた低粘度溶液の液滴落下の挙動は、より汎用性のある数値シミュレーション技術へ活用できると考えております。

LABORATORY

研究設備

研究設備等

LABORATORY 01

独自の計測システム

直交する2方向から高速度カメラ2台による同時計測により、フィラメントおよび液滴の3次元構造を捉える。2台のカメラ、アクチュエータはPC制御される。高速度カメラには拡大レンズが装着されている。フィラメントは2台の高出力LED光源により照射される。拡大レンズの倍率を変えての撮影が可能である。

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LABORATORY 02

円錐平板粘度計(TPE-100,東機産業株式会社)

購入した市販品のせん断粘度計です。保有している関連装置になります。

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LABORATORY 03

表面張力計(DY-300,協和界面科学株式会社)

購入した市販の表面表力計です。保有している関連装置になります。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

玉野真司 名古屋工業大学 大学院工学研究科
機械工学分野
経歴

経歴
名古屋工業大学 大学院工学研究科 機械工学分野 教授

1998年3⽉ 名古屋工業大学 工学部機械工学科 卒業
2002年3⽉ 名古屋工業大学 博士後期課程 工学研究科生産システム工学専攻 修了
2002年4⽉ 名古屋工業大学 工学部機械工学科 助手
2007年4⽉ 名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教
2010年3⽉ 米国ウィスコンシン大学マディソン校(客員研究員)2010.3~2011.3
2012年4⽉ 名古屋工業大学 大学院工学研究科 准教授
2021年4⽉ 名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授(現在に至る)

所属学会
日本機械学会(1999年4⽉~継続中)
日本流体力学会(2001年4⽉~継続中)
日本レオロジー学会(2004年4⽉~継続中)
The Society of Rheology(2009年4⽉~継続中)

主な受賞実績
2010年4月 平成21年度 日本機械学会奨励賞(研究)
2013年2月 平成24年度 日本流体力学会 竜門賞
2013年3月 2012年度 日本機械学会 東海支部 研究賞
2013年5月 平成24年度 日本レオロジー学会 奨励賞
2015年4月 平成27年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
2016年4月 2015年度 日本機械学会賞(論文)
2019年11月 2019年度 日本機械学会 流体工学部門賞(貢献表彰)

研究者からのメッセージ

粘弾性流体の物理現象の理解を通して性能・品質向上に関わる共同開発をしたい

希薄な粘弾性流体の伸長粘度に代表されるレオロジー(流体物性)については、信頼性の高い計測技術が確立されていないこともあり、化粧水やインク、食品やコーティング剤等の製品開発の現場においては、その知見は十分に活用されていないようです。また、細管から噴出する希薄な粘弾性流体の流動は産業・工業において多数見られるにも関わらず、学術的には未解明な物理現象が非常に多いです。製品の品質向上や機器の性能向上、さらには数値シミュレーションのモデル構築のためには、伸長粘度を始めとするレオロジーの理解、ならびに流れの不安定や3次元性を伴う物理の理解が欠かせません。本研究では、独自の実験装置、計測装置を用いた研究開発を進めるため、例えば、径の異なるノズルからの異なる溶液の同時計測が可能な装置への改良であったり、カメラの撮影倍率を撮影方向毎に変えた機構に変化したりすることが可能であるため、企業ニーズに応じた計測システムへのきめ細かい展開が可能です。また、本測定装置は、高速流体噴射やノズル機構自体の改良などにも対応可能です。理論に裏付けられた製品・装置の開発を一緒に進められる共同研究を希望します。