2020年度公募 seeds-0185 - 【中部】 次世代伝導ノイズ規格を満足するノイズフィルタレス力率改善回路の開発
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VISION

ビジョン

次世代のノイズ規格も満たす、ノイズフィルタ不要な小型・軽量・低ノイズ回路の開発

従来とは異なる電圧調整方法で、ノイズフィルタのいらない回路を開発

新たに導入されることが予想される伝導ノイズの国際規格に対し、ノイズフィルタ無しで規格を満たすことのできる力率改善(PFC)回路を開発します。ノイズ発生の原因となっていた従来のMOSFETのスイッチングを用いた電圧変換を使用せず、MOSFETの線形増幅機能を用いた回路の研究開発を行い、より厳しいノイズ規格を満たせるようにします。

ノイズフィルタをなくし、電源アダプタ等の大型化を防ぐ

電力変換回路から生じるノイズによりスマートメーター等の電子機器が誤作動する問題が指摘されています。これを受けIEC(国際電気標準会議)では、従前よりもさらに低周波数帯にまで規制が設定されることが議論されています。しかし、新たな規制値を満足させるためにはノイズフィルタを追加・大型化して対応する必要があり、電源アダプタ等が大型化し、重くなることが予想されます。そこで、ノイズフィルタなしで新たな規格を満足させる力率改善回路を開発し、電源アダプタ等の大型化を防ぐことを狙います。さらには、ノイズフィルタ製造部分のコスト低下も期待できます。

USE CASE

最終用途例

ノイズフィルタを使わずに、次世代のノイズ規格を満たす回路トポロジー

USE CASE 01PCや携帯電話等の電源アダプタ

APPLICATION

APPLICATION

小型化かつ軽量化された電源アダプタ

ノイズフィルタが不要になることで、次世代のノイズ規格が適用された場合でも軽量かつ小型な電源アダプタを実現します。

USE CASE 02低ノイズ性が求められる医療機器向け電源

APPLICATION

APPLICATION

低ノイズ性が求められる医療機器向け電源

医療機器に使用される電源には,周辺の医療機器の誤動作を防ぐため,厳しい規制がかけられています。本シーズを適用すれば,フィルタなしで低ノイズな電源を実現できるため,例えば可搬型の電源なども実現できます。

STRENGTHS

強み

ノイズフィルタなしで回路から発生するノイズを抑制できる日本でも数少ない技術

STRENGTHS 01

従来のスイッチング動作とは根本から発想が異なる電圧調整

従来のスイッチング動作とは発想が全く異なる電圧調整法(N型半導体の線形増幅(リニアアンプ)動作)を用い、ノイズフィルタを使用せずにノイズを低減する回路の実現を目指します。また、本技術のようなノイズフィルタレス回路の研究を行っている国内の研究者は数少ない状態です。

STRENGTHS 02

N型半導体のみで実現可能な線形増幅動作

他の線形増幅回路ではN型とP型の半導体の両者が必要であり,特にP型半導体は特性が劣るため実用化に至っていません。本回路は特性がよく入手性も良好なN型半導体のみで線形増幅動作を実現するため,低コスト化や,高効率化に適しています。

STRENGTHS 03

製造コストの低減,設計試作フェーズの短縮

電力変換回路の中でフィルタ回路を構成するインダクタ及びコンデンサの占めるコスト割合が増加しています。本回路はフィルタがそもそも不要な回路トポロジーであるため、これらのコストを低減できます。加えて,製品化にあたってノイズの測定・評価・対策に要する時間を短縮できます。

TECHNOLOGY

テクノロジー

従来の発想とは根本から異なる電圧調整法で、ノイズフィルタなしでノイズを低減する回路を実現

TECHNOLOGY 01

半導体の線形増幅動作を用いてノイズを低減

従来は半導体スイッチのオンとオフの切り替えによって出力電圧を変化させる手法が用いられ、それに伴い発生するノイズをノイズフィルタで抑制していました。本研究ではスイッチングではなく、半導体の線形増幅(リニアアンプ)動作を用いて電圧を調整するため、ノイズ自体が発生せず、ノイズフィルタ不要の回路が実現可能です。特に、マルチレベルトポロジーと組み合わせることで,線形増幅回路であっても電圧の調整が可能となります。

PRESENTATION

共同研究仮説

ノイズフィルタのいらない電源アダプタ等の実用化

共同研究仮説01

制御システムの実現

制御システムの実現

本技術で用いている線形増幅動作は、一般の電力変換回路では用いられない技術であり、汎用の制御ICの使用が困難です。そのため実用化に耐えうるコストとなるよう、制御システムの構築方法を共同開発します。さらに、量産に向けては,専用の制御ICを半導体メーカー等と共同開発できればと思います。

共同研究仮説02

信頼性の評価

信頼性の評価

本研究で実現する回路は多数の半導体デバイスを用いて構成されるため、システム全体の故障率は各半導体デバイスの故障率の乗算となります。従来回路と同等の信頼性を確保するためには、各半導体デバイスの故障率が従来回路よりも低くなければなりません。そのため信頼性の評価及び向上をメーカーと共同開発できればと思います。

LABORATORY

研究設備

ノイズ評価装置

LABORATORY 01

簡易シールドルーム

電磁波の外部からの侵入と内部からの漏えいを防ぐことができる簡易式の実験室です。試験回路から発生するノイズを簡易的に評価することができます。

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LABORATORY 02

疑似電源回路網 (LISN)

電源回路から発生する伝導ノイズを測定する際に,電源からみたインピーダンス条件を均一にし,公正な測定条件を確保するために使用されます。

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EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

日下 佳祐 長岡技術科学大学

研究者からのメッセージ

伝導ノイズが発生しない小型軽量な電源回路を開発したい

電源回路から発生する伝導ノイズは,他の電子機器の誤動作を引き起こす可能性があり,規格の厳格化が進められています。新たな規格に対して,現在一般的な力率改善(PFC)回路では,大型のノイズフィルタを追加せざるをえないため,ユーザの利便性を損ないます。この問題を解決するため,ノイズフィルタが不要でありながらノイズが発生しない新たな電源回路トポロジーを開発します。最終的には,本回路をPFC回路の新たな標準トポロジーとすることを目指しています。