2025年度公募 seeds-008-0046 - 【中国】 冷凍された果物や魚介類などの食品を高品質かつ高速で解凍する技術
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研究の成熟度

  1. TRL1

    基本原理・
    現象の確認

    基礎研究

  2. TRL2

    原理・現象の
    定式化

    基礎研究

  3. TRL3

    実験による
    概念実証

    応用研究

  4. TRL4

    実験室での
    技術検証

    応用研究

  5. TRL5

    使用環境に
    応じた技術検証

    実証

  6. TRL6

    実環境での
    技術検証

    実証

  7. TRL7以上

    実環境での
    技術検証

※TRL(TRL(Technology Readiness Level):特定技術の成熟度を表す指標で、異なったタイプの技術の成熟度を比較することができる定量尺度

VISIONビジョン

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VISION

ビジョン

日本が世界に誇る「食」に関する文化を増進するためには、
食品の長期保存、復元技術が鍵となる

不在となっている高品質解凍技術を開発し、国産生鮮食品のサプライチェーンの強靭化を目指す

日本には様々な果物や魚介類といった特産品がありますが、
鮮度を長期間維持することは非常に困難です。
鮮度保持に有用な急速冷凍技術が進歩してきた一方で、
解凍手法も食品の風味や食感を左右することも近年わかってきました。
例えば電子レンジでは数分程度で手軽に解凍ができますが、
マイクロ波が冷凍食品中の加熱ムラを引き起こすため風味が劣化しやすい難点があります。
自然解凍であればムラは抑制できますが、解凍時間が数時間以上になり利便性はよくありません。
本研究では、冷凍果物や魚介類を高速かつ加熱ムラなく高品質で解凍する機能を持った解凍装置を実現し、国産食品のサプライチェーンの強靭化を目指します。

USE CASE

最終用途例

冷凍された果物や魚介類、薬剤等を低温のまま
高速かつ高品質で解凍する装置の実現を目指す

USE CASE 01業務用の連続式解凍装置

APPLICATION

APPLICATION

ホテルや給食センターにおいて短時間で連続的に食品を解凍

小分けにした冷凍食品を連続的に投入し、5~10個/分で食品を順次解凍する装置を製作し、
大人数に一度に食事を提供する状況(ホテル、給食センター)で、
新鮮味のある果物や寿司等を提供可能にします。

USE CASE 02家庭用のバッチ式解凍装置

APPLICATION

APPLICATION

一般家庭で少量の食品を高品質で解凍

真空パックした少量の冷凍食品を投入し、10~20分で解凍を完了する装置を製作します。
自然解凍よりも速く、電子レンジよりも美味しい解凍を実現します。

USE CASE 03冷凍薬剤の高速解凍

APPLICATION

APPLICATION

薬剤の解凍時間を大幅短縮

m-RNAワクチン等の冷凍薬剤の解凍時間を1~2時間から10分程度に短縮して接種、
投与プロトコルの効率化に寄与する可能性があると考えています。

STRENGTHS

強み

解凍速度と美味しさを両立する高速解凍技術

STRENGTHS 01

高速で解凍できます!

本技術を用いることで、自然解凍などよりも高速で冷凍果実を解凍できます

STRENGTHS 02

美味しく解凍できます!

自然解凍・・・食感や香りが劣化
電子レンジ・・・解凍具合が不均一に
本技術・・・冷凍前以上の風味に

STRENGTHS 03

適用場所を選びません!

湯煎・・・大量の清浄な水が必要
マイクロ波・・・温度の精密制御難
本技術・・・電源さえあればOK

TECHNOLOGY

テクノロジー

高度な伝熱現象制御による解凍高速化と品質維持の両立

TECHNOLOGY 01

熱ふく射を用いた高品質解凍装置の開発

熱ふく射は主にオーブントースターや炭火など食品を高温に加熱したい場面で
使用される伝熱形態であり、解凍装置としては応用されてきませんでした。
本グループでは「ふく射による伝熱量は周囲空気の温度には影響されない」
という特徴を活かし、網状の台に載せた冷凍生鮮食品に一様にふく射を照射しながら
冷風により過熱を防ぐ、新しい解凍技術を開発しました。
ふく射と対流熱伝達といった異なる伝熱現象を融合した本技術により、
他のあらゆる解凍技術が抱えていた解凍の高速化と加熱ムラの抑制を両立する
という難題の打破を目指します。

TECHNOLOGY 02

凝縮現象を用いた高品質解凍装置の開発

凝縮は蒸気が潜熱を放出しながら液体に変化する現象であり、通常の対流熱伝達の数百倍の加熱性能を発揮します。
しかし、湿った温かい空気を直接冷凍食品に吹きかけると、食品表面に霜や液膜が付着することで解凍速度が低下するだけでなく、風味が劣化し衛生上も問題があります。
本グループでは、食品表面をフィルムで覆うことで食品と凝縮水を分離し、短時間かつ衛生的に解凍する技術を開発しました。
本技術は過熱の恐れがない再現性の高い解凍手法であるため、一般個人でも扱える家電の様なイメージでの製品化を目指します。

PRESENTATION

共同研究仮説

高速高品質解凍装置の製品化へ向けた研究開発
あるいは解凍手法の高度化へ向けた共同研究

共同研究仮説01

高速高品質解凍装置の製品化へ向けた研究開発

製品化へ向けた解凍装置の研究開発

本グループの保有技術を業務用あるいは家庭用の新しい解凍装置として製品化するため、
解凍速度の高速化と食品加工装置としての安全性や省コスト化を両立した技術改良に関する共同開発を進めていきたいと考えています。

共同研究仮説02

解凍手法の高度化に関する共同研究

解凍手法が美味しさに与える影響の解明

本グループの保有技術を含む解凍手法の違いが解凍後の食品含有成分の残存性に与える影響を解明し、
より栄養価や美味しさを高める解凍手法への高度化に関する共同研究を実施できればと考えております。

RESEARCHER

研究者

磯部和真 岡山大学 学術研究院
環境生命自然科学学域 助教
経歴

2015年3月 東京工業大学 工学部 機械科学科 卒業
2020年3月 東京工業大学 工学院 機械系 機械コース 修了 博士(工学)の学位を取得
2020年4月 岡山大学 大学院自然科学研究科 (現 学術研究院 環境生命自然科学学域) 助教に着任(現職)
2024年6月 2024 AUTSE Young Scientist Award 受賞

研究者からのメッセージ

熱制御の高度化により食文化の未来を拓きましょう!

「食」は人間の生活に不可欠であり、「美味しい」という特徴は経済活動を引き起こすに足る付加価値です。
特に現代では様々な側面から冷凍食品の利活用がもはや当たり前となっており、美味しさを向上させる解凍手法の重要性は高まっていると考えています。
また、本研究ではあくまで新しい解凍装置の開発や保有技術が解凍後品質に与える影響の定量分析に主眼を置きますが、
仮に冷凍生鮮食品を高品質で高速解凍する装置が一般に普及すれば、冷凍生鮮食品の潜在あるいは新規需要を国内外で喚起することができます。
これは、農林水産業や食品加工業、輸送、輸出業といった、食のサプライチェーンに関わる幅広い業種の振興や就業促進に繋がるものであるため、
人口動態や流行を踏まえると、これからの日本にとっても鍵となる技術であると考えています。
本事業を通じて、日本が世界に誇る「食」に関する文化を増進し、海外展開へと波及させることが、私が思い描いている理想図です。