高速液体クロマトグラフィーシステムに必要な高圧ポンプやカラムを不要した安価なオンサイト分析装置の実現
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、数々の分析装置を実用化につなげるのに最も貢献した分離・検出技術です。HPLCは、ターゲット化合物群を成分ごとに分離する「カラム」と、それぞれの化合物の量をシグナルに変換する「検出器」がオンラインでつながったシステムです。分子と弱く相互作用する微粒子が詰まったカラム中に溶液を流し、異なる速度で各分子が進むことで、空間的に化合物が分離されます。残念ながら、試料成分の移動速度を全体的に遅くする本手法では、とりわけ分離すべき成分が多い場合に分析時間が長期化します。特に微量分子がターゲットの場合、カラム内をゆっくり通過している間に、分子拡散により濃度がうすまり分析困難になります。さらに、測定成分すべてに対する標準試料による検量線作成の手間や、高圧ポンプが必要でありオンサイト分析に不適です。
以上の問題に対し、本研究では、HPLCに必要であった高圧ポンプ、カラム、検量線作成の手間を省き得る、選択性に優れた複数の電気化学検出器(電極触媒)が集積化された電気化学システムを開発します。