2020年度公募 seeds-0270 - 【関東】 独自の高活性触媒と多段階反応を用いた、植物ホルモン(エチレン)を高精度・低コスト・リアルタイムで観測する小型センサの開発
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VISIONビジョン

VISION

ビジョン

野菜や果物の最適な輸送・保管を可能にし、「食べ頃」の調整、フードロスの削減に貢献

植物ホルモン(エチレン)を高精度・低コスト・リアルタイムで測定する小型センサを開発

エチレンは野菜や果物から放出されるガス分子で、野菜や果物の熟成を促進させる植物ホルモンです。
本研究は、エチレンを高精度・低コスト・リアルタイムで測定する小型センサの実用化を目指します。
本研究を担当する研究者は、エチレンを選択的にアセトアルデヒドに変換する高活性触媒、アセトアルデヒドと反応して酸性ガスを発生する試薬、そして酸性ガスを高感度に検出する単層カーボンナノチューブで修飾した電極の三要素を組み合わせて、エチレンの測定技術を確立しました。今後は、小型センサのプロトタイプをもとに、実用化に向けて、技術課題の克服等を進めます。

Society5.0に資する、野菜や果物の「食べ頃」の最適化、フードロスの削減ソリューションを実現

小型センサにより、輸送・保管時における野菜や果物の熟成の進行状況をリアルタイムでモニタリングすることができます。センサは小型かつ低コストであるため、複数のセンサを設置すれば、より小単位(荷箱単位など)でのモニタリングも可能です。
さらに、測定した熟成の進行状況データを活用することで、周辺環境データと組み合わせた進行状況の予測、エチレン濃度等の制御技術と組み合わせた追熟コントロール等の実現が期待されます。
本研究で開発する小型センサと、データ解析や制御技術を組み合わせることで、Society5.0に資する、野菜や果物の「食べ頃」の最適化、フードロスの削減ソリューションを実現します。

USE CASE

最終用途例

野菜や果物の熟成の進行状況のリアルタイム・モニタリング、ならびに測定データを活用した予測・制御

USE CASE 01小型センサとデータ解析や制御技術を組み合わせることで、「食べ頃」の最適化やフードロスの削減が可能に

APPLICATION

APPLICATION

コンテナや倉庫にセンサを設置し、熟成の進行状況をモニタリング

野菜や果物の輸送・保管時に、小型センサを活用して熟成の進行状況をモニタリングします。さらに、そのデータを活用して、進行状況の予測や、出荷時期などに合わせた進行状況の制御を実施します。

MARKET

MARKET

海外やグローバルの食品輸送・保管の高度化

国内では食品輸送に多くの日数を要しないですが、長期間の輸送・保管を要する国や、国際輸送では、小型センサの導入による「食べ頃」の最適化やフードロスの削減へのニーズ(ペインポイント)は大きいと言えます。

STRENGTHS

強み

世界最高レベルの精度と低コスト

STRENGTHS 01

小型センサで高精度・低コスト・リアルタイム性を両立

現在市販されているエチレンセンサは、高精度だが大型のガスクロマトグラフィー式か、安価で小型だが精度は高くない半導体式・電気化学式が主流です。これに対して、本研究で開発する高活性触媒と多段階反応を活用したセンサは、写真のように構成部品は小型で、世界最高レベルの精度、低コストやリアルタイム性を誇ります。

TECHNOLOGY

テクノロジー

高活性触媒と多段階反応を活用した測定技術が、センサの小型化と高精度・低コスト・リアルタイム性を実現

TECHNOLOGY 01

高活性触媒と多段階反応を活用した測定技術

まず、高活性触媒によりエチレンをアセトアルデヒドに変換し、アセトアルデヒドと試薬の反応により酸性ガスを発生させます。この酸性ガスによる電気抵抗値の変化を測定することで、世界最高レベルの精度(1ppmのエチレンに対して約10%の電流変化量)と、高い選択性を実現します。なお、複数センサを活用することで、アセトアルデヒド、エタノールと識別することも可能です。
このセンサは室温で駆動し低消費電力であるため小型でも動作可能で、かつ素材の原価も安価です。さらに、高活性触媒は、空気中の酸素を反応剤としてエチレンをアセトアルデヒドに変換するため、繰り返し利用することも可能です。

PRESENTATION

共同研究仮説

植物ホルモン(エチレン)を高精度・低コスト・リアルタイムで測定する小型センサの実用化

共同研究仮説01

企業ニーズを踏まえて技術課題を解決し、実用可能な小型センサを開発

想定している共同研究

現在は、センサ構造の改良、触媒の更なる高活性化(常温での連続駆動性の実現)、長期安定性試験の実施等を想定しています。企業との共同研究では、企業のニーズや技術・ノウハウを取り入れることで、小型センサの製品化・量産化に向けた検討を進めたいと考えています。

LABORATORY

研究設備

センサの開発・評価に必要な装置

LABORATORY 01

エチレンセンサ評価装置

一定濃度に調整したエチレンガスを含む空気を触媒およびセンサへと流し、電気抵抗値の変化をポテンシオスタットで測定

LABORATORY 02

湿度調整装置

相対湿度が一定の空気を供給する自作装置

EVENT MOVIE

イベント動画

RESEARCHER

研究者

石原伸輔 物質・材料研究機構
経歴

2020年4月-現在 国立研究開発法人物質・材料研究機構 主幹研究員
2016年4月-2020年3月 同上 主任研究員                
2014年4月-2016年3月 同上 研究員
2014年5月-2016年5月 日本学術振興会海外特別研究員マサチューセッツ工科大学                               
実績(受賞歴・特許実績等)
平成31年度文部科学大臣表彰若手科学者賞
代表論文
(1) Controlled Release of H2S and NO Through CO2-stimulated Anion Exchange, Nat. Commun. 2020, 11, 453.
(2) Ultratrace Detection of Toxic Chemicals: Triggered Disassembly of Supramolecular Nanotube Wrappers, J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 8221.

研究者からのメッセージ

材料科学に立脚して、社会問題の解決に貢献したい

野菜・果物の約半分が食卓に上がる前に廃棄されている現状下、IT技術による農業およびフードサプライチェーンの最適化は、食料問題解決の一助となるとともに、貴重なエネルギー/水資源の有効活用にもつながると期待されています。ナノ材料と触媒反応を高度に集積した本エチレン検出技術は、小型センサとしては圧倒的な感度と選択性を有しており、上述の社会問題解決に貢献できると期待しています。未だ実験室レベルの試作段階ですが、共同開発を通じて企業の技術/ノウハウを取り入れることで、実用的な製品に仕上げていきたいと考えております。アルデヒド検出を目的として開発に着手した本研究ですが、触媒を用いた分子変換技術との融合によって、様々なガス種へ展開できる可能性を秘めています。ご関心がありましたら是非お声がけください。

洪 達超 産業技術総合研究所
経歴

2020年10月-現在 産業技術総合研究所 主任研究員
2016年11月-2020年9月 同上 研究員
2015年4月-2016年10月 筑波大学 日本学術振興会特別研究員
2014年4月-2015年3月  カリフォルニア大学バークレー校 博士研究員
実績(受賞歴・特許実績等)
公益財団法人井上科学振興財団 第32回井上研究奨励賞(2016年/2月)
代表論文
(1)Cooperative Effects of Heterodinuclear IrIII-MII Complexes on Catalytic H2 Evolution from Formic Acid Dehydrogenation in Water, Inorg. Chem. 2020, 59, 11976–11985.
(2)Plasmonic Ag@TiO2 Core–Shell Nanoparticles for Enhanced CO2 Photoconversion to CH4, ACS Sustain. Chem. Eng. 2019, 7, 18955–18964.

研究者からのメッセージ

触媒を活用したデバイス開発と実用化

分子や化合物を自由に変換するために、触媒は欠かせない存在で、様々な種類があります。触媒を活用したデバイスは、分子変換のみに留まらず、センサ、除菌・消毒や燃料電池開発など様々な場面で利用できると考えています。本センサシステムは、触媒を活用することで、高選択的かつ高感度にエチレンガスの検出を可能にし、同時に触媒の可能性をも広げました。皆様と共同研究を通じて本エチレンセンサの社会実装を目指したいです。また、本センサシステムは、エチレンガスのみならず、触媒などの組み合わせで、多種なガスや分子のセンシングも可能ですので、気軽にご相談ください。